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    【入試ルポ】理想の生徒求め21世紀型入試…三田国際

     東京都の私立中学入試が2月1日にスタートし、三田国際学園中学校・高等学校(東京都世田谷区)でもこの日、第1回入試が行われた。今年は第5回本科クラスの入試に、学習歴や論述、面談から総合的に評価する「21世紀型」入試を初めて導入した。来年も、新設予定の医学系クラスに対応した新入試を準備しているという。目覚ましい革新を続ける同校の入試をリポートする。

    雪の予報で駅前のカフェに早朝スタンバイ

    • 続々と受験生が集まり、入試会場へ入っていく
      続々と受験生が集まり、入試会場へ入っていく

     2月1日は同校の入試日程全5回の初日だ。受け付け開始1時間前の午前7時、最寄りの東急田園都市線「用賀駅」前のカフェには受験生の親子と思われる客が多くの席を占めていた。この日は夕方から雪の予報があり、天候が危ぶまれていたため、何が起きても間に合うように、早めに現地入りしたのだろう。

     「おはようございます」「いってらっしゃい」。午前7時45分、校門前はすでに活気づいていた。校門前に塾関係者が列をつくって受験生たちを激励している。塾の先生たちの顔を見つけ、(うれ)しそうに駆け寄ってくる受験生もいれば、緊張で下を向いたまま素通りしそうになる子もいる。塾の先生たちは受験生らに積極的に声を掛け、握手をしたり何げない会話をしたりしてリラックスさせるように努めていた。

     激励に来たSAPIX小学部東京校の中川慎一先生は、「朝の様子から受験生の状態を察知し、適切なフォローをすることが重要なんです」と話す。

     「受験初日の出来栄えが今後の精神面に関わってくるので、私たちも細心の注意を払います。普段と変わらない様子だったり、あちらから私たちを見つけられるくらい心の余裕があったりすると安心しますね」

     中川先生によると、入試が始まるこの時期は、子どもたちも塾の授業がすでに終了していることもあり、周囲とのコミュニケーションが薄くなる。そんな時に気持ちが沈んだり、不安になったりすると回復が難しくなるので、外からのサポートが重要になるという。「視野を広げてあげることで気持ちを持ち直すこともあるので、丁寧なコミュニケーションを心がけて状況を把握できるように目を配っています」

     8時15分を過ぎると校門前に受験生の姿はなくなった。トラブルもなく予定の同30分には入室が完了し、10分後に試験が開始された。

    名目22・7倍、実受験者数も増加

     今年は本科とインターナショナルの両クラス合わせて160人の募集定員に対し、延べ3639人の出願があった。名目倍率は約22.7倍と高い人気を見せている。昨年の同3757人と比べると微減だが、2科試験(国・算)を今年から中止した影響と見られ、実受験者数は増加していると同校は話している。

     その理由について、大橋清貫(きよみち)学園長は、こう分析する。「今の受験生や保護者は、学校の教育内容をしっかり研究し、自分の目で学校を見て、志望校を選ぶようになっています。共学化から今年4月に4年目となる本校は、まだ大学進学実績もありませんし、偏差値も高くありませんが、アンケートを取ると本校を第1志望に選んでくれる方が増えているのです。これは、『相互通行型授業』を取り入れ、生徒の資質や能力を最大限に伸ばす教育を実践してきたことが評価されたからではないでしょうか」

     「相互通行型授業」とは、知識を与えるだけの一方通行の授業ではなく、アクティブラーニングの考えに基づいて、生徒が自主的に調べ、考え、まとめていく授業方法だ。同校の授業はすべて、この方法を取り入れており、考える力・英語力・コミュニケーション力・サイエンスリテラシー・ICTリテラシーの「五つの力」の養成を目指している。

    来年は医学系進学を視野に新中学入試

    • 「新しい入試でどんな生徒が集まるのか楽しみ」と語る今井教頭
      「新しい入試でどんな生徒が集まるのか楽しみ」と語る今井教頭

     同校の今年の入試の特徴は、従来の「4教科(国・算・社・理)」「英語」と並んで、新たに「21世紀型」の入試方法を導入したことだ。「21世紀型」入試では、4教科の試験は課されず、これまでの学習歴や入学後の学習計画を記入する「自己表現シート」、設定された課題に対する論述試験、面接試験の3本立てで評価する。自発的に考え、自分の意見を発表し、仲間とディスカッションする、そうした教育環境にマッチングした生徒を集める狙いがある。同校の理想とする「発想の自由人」たる素地を見極める試験だ。

     「21世紀型」入試の採点には、「ルーブリック」という学習到達度の指標を用いる。同校のルーブリックは、横軸にRecognition(認識)・Logical Thinking(論理的思考)・Creative Thinking(創造的思考)を取り、縦軸は同校の教育理念である知・好・楽を取った表になっている。この表を基に評価基準を定め、入試の客観性を担保するのだという。

     今井誠教頭が解説する。「入試では、本校の教育のベースになっているルーブリックという指標をさらに具体化した指標を使って採点を行います。求められる能力とその評価基準を公開していますから、受験生にとっては自分の課題が明確になりますし、採点者による偏りがない客観的な評価ができるのです」

     来年は、2019年度新設予定のメディカルサイエンステクノロジー(MST)クラスに対応した中学入試もスタートする。それに先立ち、高校では2018年度から既存の理系に特化したコースをMSTコースと改称し、医学系志望者への対応を強化する。

     「今年、三田国際の1期生が高校に進学します。受験生、在校生ともに医学系への要望は年々高まっており、より一貫性の高い教育を行うために、中学にもMSTクラスを新設し、来年度の中学受験ではそれに対応した試験を実施する予定です」と今井教頭は話した。

     開校から4年目。時代のニーズに対応して矢継ぎ早に教育改革にチャレンジしている同校に、受験生と保護者も熱い視線を注いでいる。

     (文と写真:深澤恭兵)

    2018年03月20日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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