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    歯から生命を考える3年目の「浦安人生学」…東海大浦安

     東海大学付属浦安高等学校中等部(千葉県浦安市)で6月23日、中3生を対象として特別プログラム「浦安人生学」の土曜講座が開かれた。今回は日本大学松戸歯学部の平山聡司教授に「口腔の機能について」と題する講義を受け、その内容についてのディスカッションや発表で理解を深め合った。今年で3年目となる「浦安人生学」を通じて生徒たちがどう成長してきたかを中等部教頭の酒井孝允先生に聞いた。

    歯の健康は人生の質につながる

    • 「生徒のレベルが高いのに驚いた」と話す平山教授
      「生徒のレベルが高いのに驚いた」と話す平山教授

     同校1階の図書室に中3生約50人が集まった。将来の医療人を目指す、あるいは医療に関心がある生徒たちだ。ここで日本大学松戸歯学部の平山聡司教授を講師に招いての「浦安人生学」土曜講座が始まる。テーマは「口腔の機能について」だ。

     土曜講座には「自然科学系」「比較文化学系」「健康医科学系」の三つのジャンルがある。中でも今回のような健康医科学系の講座は人気が高いという。酒井教頭によると、この土曜講座が始まった2016年度に、生徒たちのスマートフォンを使い、身体についてのデータを収集する体験学習を行ったことがあり、当時1年生だった現3年生は特に健康についての関心が高いのだそうだ。

     「日本で唯一成功している国策なんて言われることもあります」

     平山教授は、「8020(ハチマルニイマル)運動」について説明を始めた。8020運動は、80歳までに20本以上の歯を残そうと国と日本歯科医師会が進めている運動だ。平山教授によると1975年には、日本人女性の平均寿命は76.9歳で、歯の残存数は平均6.9本だったという。1989年から8020運動が始まり、16年後の2005年には16.4本と、約10本も増えた。同時に平均寿命も85.5歳まで延びた。

     「これからも分かるように、歯の残存数と平均寿命は相関関係にあります。さらに言えば、8020の達成者は、達成できなかった人と比べて、バランス能力、敏捷(びんしょう)性や脚力といった運動能力が優れていることも分かっています」

     講座が始まる前には「事前学習で口の中の細菌数などを調べてみましたがなかなか調べにくく、思ったよりも知られていない分野なのかなと思いました」「健康には気を付けていますが、口や歯がどう関係するのかは分かりませんでした」と話していた生徒たちも、得心の行った表情だ。

    全員が発表することの大切さ

    • 自分の唾液を採取してアルカリ性の強さを判定する
      自分の唾液を採取してアルカリ性の強さを判定する

     ここまで説明したところで、平山教授は生徒たちに「唾液の力」「咀嚼(そしゃく)力」「歯の色」という三つのテーマについて課題を投げかけた。実際に自分の唾液を取って、量を測ったり、洗浄力や中和力のもととなるアルカリ性の強さを調べたりする。ピーナツを20回かんでどれだけかみ砕けて消化できるかを見る。そして、「シェードガイド」と呼ばれる歯の色見本と自分の歯の色を見比べることだ。

     生徒たちは五つの班に分かれ、三つの課題の中から一つを選んで取り組んだ。歯の色について観察していたグループでディスカッションが始まった。

     「みんなは白いほうがいい。それともちょっと色が着いてるほうがいい」と、Nさんが、班の他の生徒9人に聞いた。

     「ちょっと色が着いてるほうがいい」「真っ白は嫌だけど、黄ばみすぎても嫌」などと意見が飛び交う。実験観察からディスカッションまでの流れで班の中に自然に役割分担ができあがっていた。リーダー的存在となっていたNさんが、もう一度聞き直す。「じゃあ、この色見本の中で、いいなと思うのはどれくらいの色」

    • シェードガイドと自分たちの歯を見比べる
      シェードガイドと自分たちの歯を見比べる

     9人はあらためてシェードガイドを見直した。「A1くらい」「私はB1」「私も」。最も多かったのは、B1と呼ばれるレベルだ。そこでまず、B1を班としての理想の歯の色と決めた。

     ここから議論の内容をポスターにまとめる作業が始まった。「理想の歯の色」に対して、実際の歯の色を比較、考察する。歯の色は日常生活によって異なる。たばこを吸う人の歯にはヤニが付いて黄色味がかってくる。コーヒーやお茶、着色料を含む飲料などでも色が着く。健康状態によっても見え方は違う。こうした視点を盛り込んで考察を模造紙1枚にまとめあげる。

     五つの班のポスター内容を発表するにあたって、「ポスターツアー」というアクティブラーニングの手法が使われた。異なる斑から1人ずつ選んで5人の班を作り直し、5組の「ツアーグループ」とする。この「ツアーグループ」で実験結果を書いた五つのポスターを見て回る。自分が作成したポスターの前に来たら、その人が残りの4人に対して内容をプレゼンテーションし、質疑応答する。こうすることで、参加者全員が発表者となる。今回の体験学習では、この「全員が発表する」ということも大きなポイントだった。

    • ポスター発表の内容に対して鋭い質問が飛ぶ
      ポスター発表の内容に対して鋭い質問が飛ぶ

     歯の色を調べる班に参加した看護師志望のIさんは、「今年の講座は昨年とは随分違っていた」と話した。昨年は「ガンについて」という講座があり、その仕組みや恐ろしさは分かったが、いざ発表となると、内容が健康のこと全般に広がってしまい、テーマがぼやけてしまったという。今回は口腔について、それも「歯の色」についてテーマを絞り込むことができたので、短時間で深いところまで考え話し合うことができたという。さらに、一人ずつ全員が発表する形式を取ったので、「発表内容を投げかける側と聞いている側の両方の立場がよく分かり、理解が深まりました」とにこやかに話した。

    土曜講座で人間力を高める

     酒井教頭は、この日の生徒たちの様子を見ながら「3年生は土曜講座の最初の世代ですが、1年の時とは大分違ってきています」と話した。1年時には、互いに他の生徒を頼り合っているところがあったが、今や一人一人が「これはこうしたほうがいい」「それは違う」など、積極的に自分の意見を出し合って、1枚のポスターを仕上げた。3年生たちは「浦安人生学」入門編である「ファーストステージ」(中学1~3年)を通じてしっかりとプレゼンテーションの能力を身に付けてきた。「一人一人が、この講座で学んだことを、日常の生活に取り込んで、自分の気持ちを変えて人間力を高めてきた結果だ」と酒井教頭は話す。

     「浦安人生学」が始まって3年目。来年は、高校に進学してより実践的な「セカンドステージ」(高校1年)に入るという。「浦安人生学」の最終目標は「大学の先にある人としての在り方、生き方を見いだすこと」だという。酒井教頭は、この日の講座で、確かな手応えを感じ取っていたようだ。

     (文:鶴見知也 写真:中学受験サポート)

     東海大付属浦安高等学校中等部について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年10月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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