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    女子部にグローバルな「CCクラス」誕生…國學院久我山

     國學院大學久我山中学高等学校(東京都杉並区)は今年、女子部の「一般クラス」のカリキュラムを変更し、中学新1年生を対象に「カルチュラル・コミュニケーション(CC)クラス」をスタートさせた。このクラスでは、独自の授業「グローバル・スタディー(GS)」などを導入して、生徒が将来、グローバル社会で生きるための素養を育てる。改革の経緯や目的などについて、女子部長を務める高橋秀明教頭に聞いた。

    日本文化の学びにグローバル教育をプラス

    • CCクラスについて語る高橋秀明教頭
      CCクラスについて語る高橋秀明教頭

     國學院大學久我山中学高等学校は、男子部と女子部に分かれた中高一貫校だ。これまでは男子部・女子部ともに、最難関大学を目指す「STクラス」と「一般クラス」が設けられていた。

     「『一般クラス』にも優秀な生徒はたくさんいます。下位のクラスという印象を脱するとともに、今後の社会に即した教育を導入したいと思い、グローバルをコンセプトにしました。ただし英語教育だけでなく、日本のことをしっかり発信できる真のグローバルを目指したい。その前提に立てば、本校には大きな強みがあります」

     高橋教頭が「強み」と語るのは、日本文化の研究・発信に力を注いでいる國學院大學の付属校としての伝統だ。男子部には武道、女子部には伝統文化の授業があり、特に女子部では中1で「ことば」シリーズという特別講座で、アナウンサーや旅客機の客室乗務員を講師に招いてコミュニケーションの観点から言葉の使い方を学ぶなどしている。

     「CCクラス」は、こうした同校女子部ならではの教育に、グローバルの観点から「Diversity(他の国の文化や伝統を相互に尊重し合える人)」「Friendship(英語を意欲的に学びフレンドシップを深められる人)」「Communicator(日本の文化や伝統を学び世界に発信できる人)」をキーワードとした教育を加えて、個性を打ち出したクラスだ。

     同校では、各国からの留学生を招いて海外のことを学んだり、地元や日本文化の紹介をしたり、数学の授業を英語で体験するなどのプログラムを、希望者向けに行ってきたが、「CCクラス」ではこれが必修となる。さらに、毎週土曜の3、4限目に行われる「GS」の授業は特長的だ。

    • 中1女子特別講座「はなしことば教室」
      中1女子特別講座「はなしことば教室」

     「GS」の授業は、世界の多様性に気付き、互いの違いを尊重し、世界の人々と協働する気持ちを育てることを目標とする授業だ。英語科の川本ゆり子教諭を中心に、各教科横断的に11人の教員が2年前から準備を進めてきた。

     「GS」では、中1から高2までの5年間、「世界に友達をつくろう」(中1)、「世界に向けて日本を伝えよう」(中2)、「グローバルな視点を育てよう」(中3)などの学年目標が設定される。生徒たちは学年ごとのテーマに合わせて情報収集やインタビュー、討論、発表に取り組む。発表は徐々に英語で行うことになっており、外国人と交流する「フレンドシップ・ミーティング」なども年に数回行う。

    • グローバル・スタディーを推進する英語科の川本ゆり子教諭
      グローバル・スタディーを推進する英語科の川本ゆり子教諭

     各学年に五つの単元が設けられ、1単元あたり1~2か月かけて学習に取り組む。どの学年も最後の単元は「グローバル・イシュー」という題で、現代の国際社会の諸問題を考える。今年の中1生は、「自分を紹介する」「障がいがある人との出会い」「久我山中学校を紹介する」「世界の人の暮らしを知る」の単元を経て「グローバル・イシュー:学校に通えない子供たち」に取り組む予定。

     GS授業は教科横断的な内容なので、CCクラス担任でもある川本教諭は、各教科の教員に意見やサポートを求めながら、慎重に初年度の授業を進めているという。

    障害をテーマにビブリオバトル

     6月は、二つ目の単元「障がいがある人との出会い」の授業が行われ、特別支援学校の教員を招いて話を聞くほか、専門の講師による手話講座、校内のユニバーサルデザイン実施状況の調査などを5回にわたって行ってきた。

     「GS」で障害者をテーマとして取り上げる理由について、川本教諭は「障害者を知ることは多様性への認識を深め、グローバルな意識につながります。また中1の初期は英語で発表とまでいかないため、日本語でできるテーマを取り入れました」と説明する。

     取材では、その最終授業で行われたビブリオバトルを見学した。これまでの授業を踏まえて「障がいに関する本を1冊読む」という課題が出されており、自分の読んだ本についてプレゼンテーションを競う。

     4人ずつ10班に分かれ、各班1人あたり3分間プレゼンテーションする。2分間の質疑応答の後、互選で代表者を選ぶ。10人からさらに4人に絞り、最後は決勝戦。複数の発表が同時に行われ、教室はにぎやかだったが、生徒たちは、発表にきちんと耳を傾け、活発に質問を行っていた。

     授業の最後には、1か月間の授業内容を10分ほどにまとめた記録映像を見て、今週の授業の振り返りカードを記入する。さらに自分が学んだことを「コミュニケーション」「思いやり」などの一言で表し、花びらをかたどったカードに記入した。

    • 障害に関する本のビブリオバトル
      障害に関する本のビブリオバトル

     これらのカードは全員分を花の形にして掲示するという。授業内容を生徒の心に残す工夫だ。また、この授業のあり方について川本教諭は、先入観を与えないよう心がけているという。「多様性への理解を深めるのが大きな目的なので、生徒の発表に修正などは加えず、そのまま共有するようにしています」

     終了後、生徒2人にGS授業の感想を聞いた。「毎週この時間が楽しみ」という能登昌永さんは、「障害者は特別という見方が変わりました。出会った時どう接するべきかを教わったのも良かったと思います」と気付きを語った。長崎智美さんはユニバーサルデザインについての授業で行った「学校探検」が印象的だったという。「手すりやトイレのドアなど、校舎の建った年によって工夫が違っていたのが発見でした」と楽しそうだった。

    海外研修生との交流を学びにつなげる

     高橋教頭によると近年は、海外の学校との交流が増えているという。

     「日本文化に対する関心の高まりから、研修旅行に来る学校が増えているようです。本校も数年前にある学校から多くの人数を受け入れたことがあり、それをきっかけに、度々、研修旅行の話をいただくようになりました」

    • 外国人と交流の取り組み「フレンドシップ・ミーティング」
      外国人と交流の取り組み「フレンドシップ・ミーティング」

     こうした状況を踏まえ、同校は川本教諭を委員長とする「国際教育推進委員会」を設置した。研修に訪れた学校との交流を、GSの「フレンドシップ・ミーティング」に組み入れるなどし、生徒の学びに結びつけていく方針だ。

     川本教諭は「スタート間もないので構想中のことも多いですが、社会の動きを踏まえて生きた内容を盛り込みたい。生徒たちの進路に良い影響を及ぼす授業にしたいし、ゆくゆくは本校女子部の柱となる授業に育てていければと思っています」と抱負を語った。

    (文・写真:上田大朗 一部写真提供:國學院大學久我山中学高等学校)

     國學院大學久我山中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年08月24日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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