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    進む教育改革、青山学院の系属校へ…浦和ルーテル

     浦和ルーテル学院中・高等学校(さいたま市)は、徹底した少人数教育で生徒一人一人の「ギフト(才能)」を見いだし、伸ばしていく教育を行っている。きめ細かな指導によって進学実績も好調で、2017年度入試では現役の9割が大学進学を果たし、国公立大学や早・慶・上・理などの難関私立大にも多くの合格者を出した。また、来年4月からは青山学院大学の系属校となる。大きな教育改革に向けて踏み出した同校の取り組みの実際を福島宏政校長と増田諭・中等部部長に聞いた。

    一人一人に目が届く少人数教育

    • 「本校で学び、早いうちに自分の才能と使命を見つけてほしい」と話す福島校長
      「本校で学び、早いうちに自分の才能と使命を見つけてほしい」と話す福島校長

     「すべての人に、神からの贈り物、すなわち『ギフト』である才能や長所があります。それを見つけて伸ばしてあげるのが、私たち教師の役割です」と福島宏政校長は話した。福島校長は浦和ルーテル学院の小中高校の校長を兼ねている。「医師になって患者を助けたり、芸術家になって人の心を癒やしたり、そういった善い行いは、必ず自分に返ってきます。人を幸せにすることが、自らの幸せにもつながるのです。本校で学びながら、早いうちに自分の才能と使命を見つけ、それを生かす道を模索し、目標を実現した時に得られる喜びに気付いてもらえればと思います」

     生徒たちが神から受けた「ギフト」をいかに見いだし、伸ばしていくか。同校の教育はこの点に力を注いでいる。

     同校の徹底した少人数教育はその姿勢の表れだ。近年、少人数教育のメリットが認識され、公立学校でも1クラス35人前後の学校が増えているが、浦和ルーテル中等部は「1クラス20~25人まで、1学年3クラス」の基準を守っている。

    • 中等部を統括する増田部長
      中等部を統括する増田部長

     中等部1~3年の教師を統括する立場にある増田諭部長は「担任だけでなく各教科の教師も、一人一人の生徒の顔と名前を覚えています。今日はいつもとちょっと表情が違う、といったときにもすぐに気付くことができます」と話す。「教師に相談したいことがあるとき、わざわざ職員室に訪ねてくる必要はありません。教室で一緒に昼食を取っているときや、ラウンジで世間話をしているときなどに、いつでも自分の言いたいことを伝えることができます。よその学校にはなかなかない環境ですね」

     福島校長は、「中学生という多感な時期だからこそ、本校のような少人数制が大きな意味を持ちます」と話す。「友人関係や勉強でつまずいている生徒がいたときは、じっくり時間をかけて丁寧に話を聞き、一緒に解決策を考えます。中間試験や期末試験の前後には補習を行い、弱点を一つ一つ克服していきます。生徒の個性や特徴を理解しているからこそ、親身な指導が可能になるのです」

     教師と生徒の日常的なコミュニケーションだけでなく、1学期の間に3回程度、定期的に生徒との二者面談または保護者を交えた三者面談を実施している。そのほかにも、学校が折々に生徒の状況を保護者に連絡しており、家庭と緊密な連携体制を整えている。

    きめ細かい指導で進学率91%、専門分野への進路も

     こうした細やかな見守りは進学指導の面でもいかんなく発揮されている。

     「例えば東大を目指す生徒がいる場合、私たち教師が過去の入試問題を分析し、一緒に受験対策プランを立てます。早稲田、慶応、上智、東京理科、国際基督教(ICU)やGMARCH(学習院・明治・青山・立教・中央・法政)についても過去の入試問題の傾向を調べ、生徒に配布しています」と増田部長は話す。

     2015年度と2016年度には2年続けて東京大学合格者が出た。また、2017年度の現役生の大学進学率は91%に達している。このうち33%が早・慶・上・理・ICU・GMARCHなどの難関私大に合格。筑波大学にも1人合格者が出ている。

     医歯薬系や芸術系など、専門の分野に進む生徒が多いのも大きな特徴だ。「早くから生徒の希望を聞き、どこの大学で何を学べばよいか教師と話し合っています。ただ漠然と大学に進むのではなく、『これがやりたいから、この大学に行く』という目標が立てやすいのです。医歯薬系・芸術系の大学を受ける際にも、私たちとともに受験対策を練ります」

     なお、今年7月には青山学院大学と系属校協定を結んだ。これにより一定の募集枠内で進学基準を満たす卒業生は、青山学院大学に進学することができる。12年後には全入を目指すという。

    「フィールドプログラム」で将来の目標を描く

    • ネイティブの教師によるフィールドプログラムE
      ネイティブの教師によるフィールドプログラムE

     2017年度から、中学で「フィールドプログラム」という選択授業を開始した。「A(アーツ)」「S(サイエンス)」「E(イングリッシュ)」の中から一つを選び、調べる・体験する・発表するという過程を含めたアクティブラーニングを行う。これも同校のギフト教育を具体化したものだ。「自分の好きなこと、興味があることに早いうちからじっくり取り組み、自分が将来進みたい道を明確にすることができるようになってほしい」と福島校長はその狙いを説明する。

     増田部長によると2017年度は、「A」で兵庫県の姫路城、秋田県・青森県の白神山地など世界遺産を巡る仮想ツアーを企画し、授業でプレゼンテーションを行った。「S」はビオトープ(生態系の観察所)作り・熱気球作りなど体を動かす作業を中心に取り組んだ。「E」ではネイティブ・スピーカーの教師と英語劇やスピーチの練習を行い、インターナショナルスクールとの交流も行ったという。それぞれ、「世界遺産検定」「理科検定」「英検」といった検定試験の合格を目標としているという。

    • フィールドプログラムSでは熱気球を作った
      フィールドプログラムSでは熱気球を作った

     「フィールドプログラム」は生徒のそれぞれが自分の「ギフト」を見つける手がかりとなるだけでなく、キャリア教育の側面も持つ。「たとえば『E』では大使館訪問なども行うため、英語を使って仕事をするとはどういうことか、具体的にイメージすることができるでしょう」と福島校長は語る。

     「フィールドプログラム」の選択授業「E」ばかりでなく、同校の英語教育の特徴はコミュニケーションツールとしての生きた英語力の養成に重点を置いていることだ。

     大学入試改革で求められる英語4技能(読む・聞く・書く・話す)についても、同校は小学校から4技能を視野に入れ、バランスの取れた学習を行っている。「小学校1年からネイティブ・スピーカーの話す英語を聞いてそのまままねるという学習を始めています。中学校では1年生で英語エッセーを書き、2年生で英語劇を行い、3年生では英語でディベートができるようにします。中3までに全員英検準2級合格を目標としています」と増田部長は話す。

     スピーチに関しては校内でコンテストを開催している。中学生でも英語で環境問題を語るなど本格的だ。コンテストの上位入賞者はさいたま市の英語弁論・暗唱大会にも出場する。1位を獲得した生徒もいるそうだ。

     また、中学から海外留学の機会を設けている。毎年夏、アメリカのカリフォルニア州コンコーディア大学アーバイン校とアリゾナ州フェニックスのクライストルーサラン教会付属中学校で、合わせて約4週間の研修に参加することができる。これらの海外校から教師、生徒が来日し、浦和ルーテルでスピーチコンテストの審査員を務めたり、生徒宅でホームステイをしたりする研修も毎年行っている。

     生きた英語教育を受けた生徒たちの中には、海外に活躍の場を求める者もいる。「彼は東京芸大を出てアメリカのジュリアード音楽院に行ったそうだ」「彼女は歯学部を出て、今ベトナムで歯医者をやっている」。気軽に学校に遊びに来た卒業生たちの口からこんな近況が語られるという。ユニークな進路の話に耳を傾けながら。まさに、ギフト教育の賜物(たまもの)と感じた。

     (文・写真:足立恵子 写真提供:浦和ルーテル学院中・高等学校)

     浦和ルーテル学院中・高等学校についてさらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年10月15日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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