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    「パッション」傾けた男子校の文化祭…高輪

     高輪中学校・高等学校(東京都港区)で昨年9月29、30の両日、71回目となる文化祭「高学祭」が開かれた。あいにくの雨模様を吹き飛ばす生徒たちのエネルギーは今回のテーマ「パッション」を感じさせるに十分。高学祭の実行委員長や、毎年多くの人を集める人気クラブの部長に、部活の魅力や、展示に向けた準備の苦労などを聞いた。

    実行委員の魅力は一体感や達成感

     高輪中学校・高等学校の「高学祭」は71回目を迎えた。今回のテーマは「パッション」だという。これを踏まえて同校の坂本正校長は学校ホームページの「高学祭」紹介に、「来校して下さる皆さんに、高学祭に『熱中』する姿を見せてほしい。何事に対しても真摯(しんし)に向き合うのが高輪生。高輪生の熱い『情熱』がほとばしるような高学祭になることを期待している」と、生徒たちに激励の言葉を贈った。

     ちょうど西日本に台風24号が迫っているタイミングで、天候に期待できないことは分かっていた。初日の29日は雨のため、校庭のステージで予定されていた中1の全体合唱が中止され、中3が準備していた「三線&エイサー」は体育館に場を移すなど、さまざまな困難はあったが、取材に訪れた翌30日も多くの来場者でにぎわい、明治以来の歴史ある男子校にふさわしい、生き生きした生徒たちの姿を見ることができた。

     まず、「高学祭」の準備、運営を主体的に進める「高学祭」実行委員長の加藤立樹(りき)君(高2)に話を聞いた。加藤君は本部室に待機し、現場の実行委員から次々に入ってくる情報を黒板に書いて整理していた。忘れ物や迷子の情報が入ると放送室にアナウンスを指示するなど、臨機応変な働きぶりを見せていた。前年は予想されるタスクを分単位でスケジュール表に落とし込んだというが、「ガチガチに決めてしまうと、崩れた時に立て直すのが大変だと分かりました」と話す。実行委員経験も今回で4年目といい、堂に入ったものだ。

     中2から実行委員を続けていることについて「中毒性が高いみたいですね。周りも4、5年続けている人ばかり」と笑う。その魅力は、なんといっても「仲間と分かち合う一体感や達成感」にあるという。

     「ここまで生徒に多くを任せてくれる学校は他にないと思います」。加藤君はそう誇らしげに語る。高学祭を切り盛りするのは生徒自身だ。予算の総額は学校が決めているが、割り振りはすべて実行委員会に委ねられている。実行委員たちは総務・販売・催事・広報・装飾の5部門に分かれ、各部門の長を中心に毎年4、5月から準備を重ねて、ようやく秋の本番を迎える。

     加藤君は、4年間の実行委員で得た経験を「これからの人生すべてにおいて役立つと思います」と締めくくった。

    入部時のテーマを探究し続ける理科研究部

     毎年、来場者の人気を集めるクラブ・同好会の展示を見ていこう。

     理科研究部が出展していた生物室・化学室は多くの親子連れでにぎわっていた。同部は生物班と化学班に分かれているが、約70人の部員はジャンルにとらわれずに自由なテーマで実験、調査、研究活動を行っている。

     部長の酒井良輔君(高2)は、「理科研のいいところは、それぞれやりたい研究ができること。オーロラの発生実験を行う後輩もいれば、潜水艦などに使われるスターリングエンジンの構造を研究している同級生もいます」と話す。魚に関心がある酒井君は月に1度は多摩川に行き、川に住む生き物の生態を調べている。多くの部員は入部時に決めたテーマを引退するまで研究し続けるという。

    • 理科研究部の化学班はスーパーボール作りの体験を行った
      理科研究部の化学班はスーパーボール作りの体験を行った

     高学祭の出展では、生物班は昆虫標本や生きた魚の展示などを行い、化学班はスーパーボール作り体験を行っていた。酒井君が所属する生物班は、展示用の生き物をそろえるため一苦労したという。夏の終わりに暖流に乗ってやってくるチョウチョウウオやスズメダイなどカラフルな魚を狙い、神奈川県三浦市の城ヶ島まで出かけたそうだ。

     「大学でもっと本格的に魚の生態について勉強し、河川の保全に関わりたい」と酒井君は話す。最近、テレビ番組で話題の「かい掘り」や外来種の増加について聞くと、「駆除はきりがない。在来種を保護するためには、在来種が好む環境の整備に力を入れた方がいい。それだけでも外来種は増えにくくなるんじゃないかと思います」と魚の研究者らしい答えが返ってきた。

    模型好きと旅行好きが半々

    • 旅行・鉄道研究部による細部まで作り込んでいる鉄道模型のジオラマ
      旅行・鉄道研究部による細部まで作り込んでいる鉄道模型のジオラマ

     旅行・鉄道研究部も人気が高い。同部は約70人が所属していて鉄道模型を作る模型班と、活動状況や研究を載せるホームページの更新などを行うHP班がある。「模型好きと旅行好きが半々で、鉄道写真好きの『撮り鉄』は10人くらい。ダイヤ改正があるたびに時刻表を買ってくる部員や、鉄道のクイズ大会で毎回、好成績を収めている同級生もいます」と部長の中田好星(こうせい)君(高2)が説明する。

     高学祭では模型班が鉄道模型展示を、HP班が部誌と下敷きの配布を行っていた。模型は教室の半分を占めるほど大きなジオラマで、細部まで作り込んであった。展示された部誌「停車場」は、旅行記や鉄道会社の研究をまとめた230ページの大作だ。「103系の行方」「羽田空港アクセスのこれから」など多彩なテーマを取り上げている。

     活動の一番の魅力は、休みのたびに鉄道旅行をすることだという。春休みには4泊5日で北海道や九州など遠方にも出かける。夜行列車やフェリーも使い、駅弁や観光を満喫する。

     乗車券の紛失や乗り過ごしなど、トラブルもたくさん経験したが、「大変だったことも含めて、全部が楽しかった」と中田君は振り返る。「国内は行き尽くした感があって、行きたいところが思いつかない」と話した。

    担任教諭のサポートで合唱コンクールに優勝

    • 合唱コンクールで、ゆずの「夏色」を歌って優勝した中学1年D組
      合唱コンクールで、ゆずの「夏色」を歌って優勝した中学1年D組

     午後は台風が接近してきたので、通常の展示を切り上げ、午後1時から「後夜祭」となった。中1による合唱コンクールで盛り上がり、自由曲で人気男性デュオ・ゆずの「夏色」を歌ったD組が優勝した。

     指揮を務めた安生(あんじょう)梓里(あすり)君によると、夏休み前に曲を決め、2学期から練習を始めた。放課後に集まって何度も歌い、全体のバランスを取っていったという。「『夏色』の魅力は疾走感です。速いテンポに遅れずに歌うのが何より難しかった」

     音楽好きの担任教諭も、各パートのメロディー、全パートを合わせたもの、ピアノ伴奏などさまざまな音源を用意してくれて、これが自主練習に大いに役立ったそうだ。安生さんは「優勝して一番喜んでいたのは先生です」と笑った。

    • ダーツ部は何台もボードを設置してダーツ体験を行った
      ダーツ部は何台もボードを設置してダーツ体験を行った

     このほか、部活動としては珍しいダーツ部の話も聞いた。「ダーツの魅力は、一筋縄ではいかないところ」と部長の高坂亮君(高2)は話す。活動は週に2回。2~3か月に1度は大会に出場している。競技人口が少ないためすべて全国大会で、ユースの大会以外は大人も交えて行われる。決勝で大人と対戦したことがあり、結果的には負けたが「頑張れば実力のある大人にも勝てると思えるようになり、本気で練習するようになりました」。

     数年前に、先輩が世界大会に出場して全校生徒に注目されたことがあるが、部員は現在15~20人程度と多くはない。同好会に格下げされないよう、校内にポスターを貼るなどして部員増に努めているという。「大きな功績を残して、またダーツ部に注目してもらいたい」と高坂君は話した。

     今回の来場者の中にも、素晴らしい展示を用意した生徒たちの「パッション」を感じ、入学したいと決意した小学生がいることだろう。

    (文・写真:佐々木志野 一部写真:高輪中学校・高等学校提供)

     高輪中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2019年01月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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