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    独自の「クルー・メソッド」で生きた英語力…神戸女学院

     神戸女学院中学部・高等学部(兵庫県西宮市)は、国際社会や学術界で活躍する卒業生を数多く輩出している。その語学力やコミュニケーション能力の礎となっているのが、女学院独自の英語教育法「Crew Method(クルー・メソッド)」だ。70年以上前に導入されて以来、常に進化してきた教授法の集大成だという。中学部・高等学部の校長にあたる林真理子部長と、英語科主任の稲垣祐子先生に、その内容や特徴、英語の早期教育についての考えなどを聞いた。

    独自の教育法でオールラウンドな英語力

    ――「クルー・メソッド」に基づいた英語教育とはどういうものですか。

    • 英語教育の基礎を作ったアンジー・クルー先生
      英語教育の基礎を作ったアンジー・クルー先生

     本校では70年以上前から「クルー・メソッド」をもとに授業を進めています。本校の英語教育の基礎を作ったアメリカ人アンジー・クルー(Angie Crew)先生の名前を取った英語教育法です。クルー先生は、当時のさまざまな英語教育法を組み合わせて日本の女子生徒に最適な教授法を作り上げました。その教授法をベースとして進化させてきたのが「クルー・メソッド」です。


    • ペアティーチングで行う英語の授業
      ペアティーチングで行う英語の授業

     特徴を説明すると、まず、オールイングリッシュで中学3年間の授業を行うこと。中1生の1学期は2時間を1単元とし、最初の1時間にネイティブスピーカーの教師と日本人教師によるペアティーチングで新しい教材を導入します。次の1時間は1クラスを二つに分けて日本人教師による復習を行います。単語を学ぶ際はスペルを覚える前に発音から入ります。特に、動詞を学ぶ際は、実際の動作を生徒たちが行いながら習得する「トータル・フィジカル・レスポンス(TPR)」を行っています。卒業時には「聞く・話す・読む・書く」の4技能を駆使して、日常生活で意思疎通ができるだけではなく、英語で討論したり、英語の論文を読んだり書いたりできるようになることが目標です。

    • 英語科主任の稲垣祐子先生
      英語科主任の稲垣祐子先生

    稲垣 中学3年生では各生徒のレベル別で自分のペースでさまざまなストーリーを読んで読解力を身に付ける「SRA」という教材を使用した多読の授業もあります。分からない単語が出てきても辞書を使わず、前後の文脈などから類推して読み進めることが語学習得には不可欠です。また、夏休みに1週間、英語漬けの毎日を送る「エンパワーメントプログラム」にも取り組んでいます。トレーニングを受けたアメリカ人女子大学生が5、6人のグループに1人ずつ付いてサポートし、女性のリーダーシップについて英語でのプレゼンテーションや議論を行います。

    ――そうした英語教育によって、どんな能力が身に付きますか。

     一つは相手の意見をしっかり理解し、自分の考えが表現できる能力です。本校の生徒の多くは卒業後、さまざまな場面でプレゼンテーションしたり、研究発表したりする機会があり、高校時代に取り組んだ英語でエッセーを書く訓練が役に立っています。二つ目は英語だけでなく第2、第3の言語をスムーズに習得できる能力です。英語は外国語の第一歩であって、将来は色々な言語を話す人とコミュニケーションを取ることもあるかと思います。「クルー・メソッド」を応用することで多言語習得のチャンスが広がることを期待しています。

    ――英語力を生かして国際社会で活躍する卒業生が多いそうですね。「グローバル人材」についてはどう考えますか。

     「グローバル人材=海外経験がある」という意味ではないと思います。国籍や信条、宗教の違いで排除するのではなく、異なる文化や価値観などを受容、共感し、対話とコミュニケーションができることが基本です。そのツールとして英語があるのかもしれないし、人によってはもしかしたらジェスチャーがそれなのかもしれない。相手の立場を理解し、寄り添い、対話で徐々に相手と共感する。そのうえで新しい価値を(つく)り出すことができる人がグローバル人材ではないかと考えます。

    稲垣 それぞれの個性を尊重し、受け入れることはもちろん、日本人としてのアイデンティティーを大切にしながら相手と同等の立場で対話や議論ができる人がグローバル人材ではないでしょうか。日本の良いところも悪いところも知ったうえで、日本を客観視できることも大切です。

    まずは日本語でのアイデンティティー確立を

    ――神戸女学院に入学する生徒は帰国子女やインターナショナルスクール出身が多いイメージがあります。

    稲垣 昨年度、中1のクラスを担当しましたが、ほとんどの生徒は帰国子女やインターナショナルスクール出身ではなく、小学校で英語を学んだだけという生徒が大多数でした。英語を学んでいく上で大切なことは、興味を持って能動的に関わっていく姿勢です。真っ白な状態で入学してきて、初めて触れる外国語である英語を耳で聞いて、話してみて、心から楽しいと感じる生徒ほど伸びていくように思います。一方、海外経験のある生徒にとってもその能力を存分に発揮できる機会がたくさんありますので、さらに英語力に磨きをかけることができます。

    ――2020年度から完全実施される新しい学習指導要領では、英語が小学校の正式な教科となります。早期教育のあり方についてはどう考えますか。

     早期教育のメリットは音声教育の面で大きく、確かに発音は良くなります、さらに、年齢が低い方が曖昧なことに対する許容度が高いです。このような幼少期の方がメリットのある分野を上手に活用する小学校の英語教育はうまくいくと思います。一方で、英語と日本語という相()れない二つの言語が混在することにより、子どもの中で「私は一体誰なの」と混乱が起きることもあるでしょう。日本語が第1言語であるならば、子ども自身がしっかり日本語でアイデンティティーを確立することが大切です。新しい言語を受け入れる力が育つのはそれからだと思います。 

    ――いつごろ、受験科目に英語を導入される予定ですか。

    • 「子供の探究心を育ててほしい」と話す林真理子部長
      「子供の探究心を育ててほしい」と話す林真理子部長

     小学校で本格的に教科としてスタートしてからの対応となりますので、少なくともこの1、2年の間に導入する予定はありません。機が熟していよいよ導入するという時は、十分な時間的余裕を持って告知をしますので、今のところはご心配していただかなくてよいと思います。


    読書の習慣付けと生活感覚の養成が大切

    ――これから神戸女学院を目指す家庭に向けてアドバイスを。

    稲垣 「想像力」と「自分で考える力」を育てる教育をご家庭でしていただきたいです。社会に出た時、相手の立場や状況を想像して適切に対処するには、これらの能力が不可欠だからです。そのためには本を読む習慣付けと、常日頃から体を動かしてたくさんの経験を積み重ねていくことが大切だと思います。

     子ども自身が身近な自然の移り変わりなどに目を向けられるように気を配り、「なぜ」という探求心を育てていただきたいです。そして生まれた疑問を家族みんなで考えたり、読んだ本の感想を家族間で交換したりするような時間を大切にしていただきたいです。また、受験勉強で忙しいと思いますが、何か一つ小さなことでもよいですから、責任を持って子どもがやり遂げることができるお手伝いをさせてあげて下さい。子どものころにきちんとした生活感覚を養うことは、その先の学校生活はもちろん、社会に出てからも「生きる力」となるからです。

     (文・写真:櫨本恭子)

     神戸女学院中学部・高等学部について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年07月30日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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