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    国際交流プログラム「ICEP」で意欲向上…逗子開成

     海洋教育で知られる中高一貫の男子校、逗子開成中学校・高等学校(神奈川県逗子市)は、近年、英語力と豊かな国際感覚を養うことを目標に国際交流プログラムの充実を図っている。海外研修、留学の制度に加え、モチベーションを高めるため新たに導入した「ICEP」と呼ぶプログラムについて、その意図や生徒たちの活用ぶりを国際交流委員長の浦部亮教諭に聞いた。

    楽しく英語を使いながら異文化理解へ

    • 国際交流委員長の浦部教諭
      国際交流委員長の浦部教諭

     同校はこの夏休み、中3生と高1生を対象に「ICEP(International Cultures in English Program)」と呼ぶ3日間のプログラムを実施した。英会話に重点を置いた国際交流プログラムで、昨年12月の冬休みに中1生と中2生を対象に実施したプログラムを強化したものだ。取材に訪れたのは最終日の8月29日で、約100人がプログラムを締めくくるプレゼンテーションに向けて、真剣に準備を進めていた。

     このプログラムでは各教室10人程度の生徒たちに対し、ネイティブの講師1人と英語を母語としない国の留学生を含めた数人のメンターが付く。初日は英語で「古今東西ゲーム」をするなどして、まずは互いの緊張をほぐすアイスブレーキング。2日目は講師や留学生による出身国の紹介や、日本についてのスピーキング、日本の魅力に関するディスカッション、実用英語技能検定の2次試験対策などを行い、英語を使いながら日本と諸外国の文化に触れた。

     浦部教諭は「まずは英語を使う楽しさを味わうことが大切だと思っています。その上で英語学習や異文化への興味を深めるきっかけになることを期待して、授業で学んだ知識を生かせるように、アカデミックな要素も取り入れています」とプログラムの目的を説明する。

     最終日のプレゼンテーションで、中3生は「日本の魅力を世界にアピールする」というテーマ、高1生は「2020年の東京オリンピックに海外からやって来るゲストをどうもてなすか」というテーマにそれぞれ取り組んだ。数人でチームをつくり、内容を決め、英語の原稿を書き、講師のチェックを受けて手直しを加え、説明用のポスターなども作成しながら、最後にプレゼンテーションの練習をして本番に備えた。

    成長を促す段階的なプログラム構成

    • プログラムを締めくくるプレゼンテーションに向けて準備
      プログラムを締めくくるプレゼンテーションに向けて準備

     中3生のプレゼンテーションでは、日本の魅力として神社仏閣、お祭り、茶道、コミック、温泉文化などを紹介し、高1生は、おもてなしの方法としてメディアの活用などを提案していた。

     講師から「手元の原稿を読むのではなく、顔を上げて聴衆の目を見る」「身ぶり手ぶりを加えてアピールする」などのアドバイスを受けながら、どのチームも工夫を凝らしたポスターや説明用のイラストなどを活用しつつ、クラスメートの前で堂々と発表。「短時間にもかかわらず、分かりやすく情報をまとめられた」など講師も高く評価していた。

     参加した中3の内田佑吾君は「昨年も参加しましたが、講師やメンターの方たちと親しく会話でき、課題もレベルアップしていて手応えがありました。最後は英語でのプレゼンテーションという不慣れなことにも挑戦できてよかった」と達成感を得た様子だった。

     「今回、中3生と高1生向けのICEPを開始したことで、中1から高2まで、すべての学年で何らかの国際交流プログラムに参加できる体制が整いました」と浦部教諭は話す。

     ICEPに限らず、同校の国際交流プログラムは、学年に合わせてステップアップしていけるようにカリキュラムを構成しているのが特長だ。

    • 「日本の魅力を世界にアピールする」をテーマとする中3の発表
      「日本の魅力を世界にアピールする」をテーマとする中3の発表

     生徒が全員参加するプログラムとしては、「ニュージーランド研修」が中3の3月に、その経験をもとに英語コミュニケーション能力を高める「グローバルビレッジ(英語を母語としない日本への留学生とともにグループワークなどを行う宿泊研修)」が高1の4月に行われる。さらに、国内を含めて東アジア各国から生徒が行き先を選ぶ「アジア研究旅行」も高2の6月に実施される。

     このほかに、希望者を対象とするさまざまな海外研修、短期・長期留学、模擬国連などのプログラムが数多く用意されている。これらのプログラムを活用することによって、生徒たちは、英語力の向上や異文化理解へのモチベーションを眠らせることなく、より高い目標へと向かうことができる。

    挑戦し、課題を見つけること、達成感を得ること

     「これからの時代には、国内にいたとしても、仕事や日常生活で英語を使う機会が間違いなく増えるはずです。その時に物おじせずに対応できる土台を作ることが、これらのプログラムの基本的な狙いです」と浦部教諭は話す。

     夏のICEPは中3生にとって、3月に出発するニュージーランド研修へのステップとなる。ICEPのプログラムにはホームステイで使われる英語も組み込まれていて、ネイティブの講師や留学生と話しながら、異文化体験やホームステイへの心構えを作る効果がある。また、ICEPで成功体験を得たり、弱点に気づいたりすることで英語学習への意欲が高まるという。また、高1生にとってICEPは、ニュージーランド研修で高まった英語学習への意欲を持続させる機会となる。

    • 「2020年の東京オリンピックに海外からやって来るゲストをどうもてなすか」をテーマとする高1の発表
      「2020年の東京オリンピックに海外からやって来るゲストをどうもてなすか」をテーマとする高1の発表

     プログラムに参加した高1の三浦遼太郎君は「ニュージーランド研修でリスニング力が不足していると感じ、ネイティブの先生と話すことでその力を伸ばしたいと考えて、参加を決めました」という。「会話では、難しい単語を使わなくても言いたいことが伝わることが分かりました。また、英語圏以外の国の人の英語を聞けたことも、将来、留学するとしたら、多国籍のクラスで学ぶ心構えにもなり、良い経験になりました。高2で行くアジア研究旅行までにさらに英語力を上げ、現地の人と積極的に交流を図りたいです」と抱負を語った。ニュージーランド研修の後、間を開けずに国内で異文化体験ができるICEPが、モチベーションを高める貴重な機会となっていることは確かなようだ。

     浦部教諭は「プログラムを終えた後、ある生徒が『難しかったけれど、だからよかった』と言っていました。ナチュラルスピードに近い会話や、母国語が英語でない国の人の英語を聞き取るなど、今の彼らにとって少し難しい内容だったからこそ、挑戦のしがいがあったのでしょう」と見定めている。

     小学校でも既に5、6年生は年間35単位(週1コマ程度)の英語授業が行われており、中学高校では、さらに英語力を伸ばす教育が求められているのは言うまでもない。楽しみながらステップアップできる逗子開成の国際交流プログラムは、生徒たちを力強くバックアップしてくれるはずだ。

     (文・写真:山口俊成 一部写真提供:逗子開成中学校・高等学校)

     逗子開成中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年11月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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