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    「グローバル・コンピテンシー」身に付けて世界へ…富士見丘

     富士見丘中学高等学校(東京都渋谷区)は、文部科学省の「スーパーグローバルハイスクール」(SGH)の指定を受け、2015年からグローバルリーダーの育成教育を推進している。今年は新たに、世界で活躍するために必要な能力・資質「グローバル・コンピテンシー」の養成を目標として掲げた。理事長を兼ねる吉田晋校長に同校の取り組みを聞いた。

    思考力・発想と思いやりを兼ね備えた人材に

    • 「グローバルに活躍する生徒たちが増えてほしい」と語る吉田校長
      「グローバルに活躍する生徒たちが増えてほしい」と語る吉田校長

     「暗記型の教育では海外で通用しない、子供たちの思考力・判断力を伸ばす必要がある、と教育の世界では現在盛んに言われていますが、本校ではもう20年ほど前から、自分で考え、発表する力を育てる教育を行ってきました。英語圏の学校を参考とし、生徒が学習に主体的に参加するアクティブ・ラーニングにもいち早く取り組んでいます」

     吉田校長は、日本私立中学高等学校連合会会長や日本私学教育研究所理事長を務め、日本の教育全体の課題に関わってきた。グローバル化と英語教育にも以前から熱心に取り組んでおり、今年4月の同校入学式では、生徒たちに「グローバル・コンピテンシー」を身に付けることの大切さについて語った。

     「『コンピテンシー(competency)』とは、英語で能力、資質といった意味であり、近年、人材育成や教育の分野で注目されるようになった言葉です。本校では、『21世紀社会を生き抜く真のグローバル人材として必要な能力、資質』を指す表現として使っています」

     SGHの指定を受けた「サステナビリティから創造するグローバル社会」のプロジェクトに代表されるように同校は、自分たちで課題を見つけ、解決法を考え、その方法を発表する学習を行ってきた。

     「人間に代わってAI(人工知能)が仕事をする社会を迎えるとき、これからの人間に必要とされるのはAIを使いこなすことができるような、柔軟な思考と発想です。また、女子校であることを生かし、しなやかな思いやりの心を持って異文化と融和することができるよう努めています」

    中高6年でCEFRのB2レベルへ

     グローバル・コンピテンシーを身に付けるために最も重要なツールとなるのは、やはり英語である。近年、中学、高校の英語の授業では、教師が英語を話すようになってきたが、「全国の中学校で、授業を英語で行う教員の割合は6~7割。これが高校になると、4~6割に下がってしまうのです。やはり、読む・書くを中心とした大学入試の影響だと言わざるを得ません」と吉田校長は話す。

    • ネイティブの教師によるオール・イングリッシュの授業
      ネイティブの教師によるオール・イングリッシュの授業

     その点、同校は英語科教師が、ネイティブ・スピーカーの教師も交えて教科の会議をすべて英語で行うなど、「話す・聞く」英語の使用を徹底している。中学でも週に最長6時間、ネイティブの教師がオール・イングリッシュで授業を行う「中学英語特別コース」などの英語教育プログラムがある。さまざまな英語教育プログラムの全コースを通じて、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能を習得することができるように指導している。

     「毎週末、英語でエッセーを書いて週明けに提出し、ネイティブの教師がそれを添削して日本人教師がコメントします。また、ネイティブの教師は各クラスのホームルームを訪問し、生徒たちと英語でやりとりを行います。放課後も、申し込み制で1対1の英会話を練習することが可能であり、英語での会話を気軽に楽しんでいます。英語を話すのは特別なことではなく、ごく当たり前のこととして接する環境があるのです」

    • 海外姉妹校の生徒と英語で交流
      海外姉妹校の生徒と英語で交流

     海外校との強い連携も、英語力の養成に役立っている。中学生は修学旅行でオーストラリアへ、高校生はアメリカ・ロサンゼルスに行き、現地の姉妹校と交流する。また、中2から高2にかけ、希望者はイギリスで3週間、ホームステイでの語学研修を体験するチャンスがある。

     「普段からインターネットのコミュニケーションツール『Skype(スカイプ)』を利用し、姉妹校の生徒たちとよく英語で交流授業をしています。オーストラリアから姉妹校の生徒たちが訪ねてきたときは、皆で浅草を案内してあげました。こういった経験がモチベーションを高め、より積極的に英語学習に取り組むようになります」

     ドバイを中心として急速に発展しているUAE(アラブ首長国連邦)の大学とも、異文化を理解することを目的に以前から交流があり、生徒たちが現地を訪ねたり、UAE大学の教師が来日して同校で講演を行ったりすることがある。

     富士見丘は、英語力の目安として欧州評議会で発表された国際基準CEFR(セファール)を採用しているが、中・高6年間で、CEFRのB1~B2レベル(英検準1級程度)に達することを目標としているそうだ。

    「WILL入試」で意志・意欲をみる

     吉田校長は1993年に校長に就任し、95年に理事長になった後も校長を兼ねている。「やはり、現場で子供たちの声を聞きたいんです。中学、高校の6年間で、子供は大きく変わります。入学時の試験の成績だけで判断したくないという思いから、本校は面接重視の『WILL入試』という制度を設けました。『ぜひ富士見丘で学びたい、本校のグローバル教育や先進的な英語教育を受けたい』というWILL(意志・意欲)を、面接で話してもらうようにしています。帰国生の数も多く、『この学校なら英語が話せることを、恥ずかしがる必要がない』『英語力が落ちてしまう心配がない』と生き生き通っています」

     視察に来た専門家から、「女子校ならではのよさがある」と評価されたこともあるという。「異性に遠慮したり恥ずかしがったりすることがなく、自分の意見を堂々と言い、行動に移すことができる。女子校だからこそ、伸び伸びと成長する機会があるのです。女性も表舞台に立つ時代です。ぜひグローバルに活躍する生徒たちが増えてほしいと願っています」

     高校卒業後はイギリスやオーストラリアの大学に進学する推薦制度もある。まさに海外に直結した学校だと言える。

    (文・写真:足立恵子 写真提供:富士見丘中学高等学校)

     富士見丘中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年08月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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