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    部活動で身に付けるグローバルな「平和」…啓明学園

     啓明学園中学校高等学校(東京都昭島市)は、全生徒の3分の1を帰国生らが占めるグローバルな教育環境で知られる。部活動もまたグローバルな人間関係を反映し、互いを尊重し合う姿勢が特長となっている。「人間性」を磨くことで年々実力を高めているサッカー部と、家族的な雰囲気ながら作曲家も輩出している実力派、ブラスバンド部の活動を紹介する。

    人間性を磨いてこそサッカーも強くなる

    • 厳しい練習と勉強を両立させているサッカー部
      厳しい練習と勉強を両立させているサッカー部

     「すべての活動はサッカーにつながる」

     これがサッカー部監督・加藤拓也教諭のモットーだ。「学校生活、家での生活、すべてがグラウンドでのプレーに反映されます。勉強に集中できなければ、それがゴール前のミスにつながります。詰めの甘さが出るのです。ですから、『人間性』を一番に教えています。挨拶(あいさつ)や規律を守ることは、基本中の基本です」

     取材中に出会った部員たちは歩きながらではなく、立ち止まって丁寧にお辞儀をしていく。監督の教えが徹底されているからだろう。メディテーション(黙想)から練習が始まるのも印象的だ。加藤監督は「本校はキリスト教の学校ですから、練習の前に必ず行い、心を落ち着かせます」と説明した。

     加藤監督がサッカー部を指導するようになったのは5年前。それ以前は、極端に言えば「負けることに慣れていた」という。0対17で大敗することさえあったというが、加藤監督のもと「人間性の育成」に軸をすえて練習に励む中、選手たちの意識は変わってきた。日頃の練習に真面目に取り組むのはもちろん、なにより勝利を目指す強い思いが湧いてきた。

     部長の浅見駿弥くん(高3)は、中1から加藤監督に指導を受けてきた。「サッカーも人間性も鍛えられました。サッカーも大事だけど、社会に出てからのマナーも大事です。自分でも成長したと思います。最近も『プレーで見せろ』と叱られ、行動に移していかなければ伝わらないと考えたばかりです」

     同じく部員の田村拓也くん(高3)は、「目上の人とどう会話するかを学びました。先生は厳しいけれど、僕たちのために言ってくれるのだと感じます。先生に自分の内面を指摘されたことで、自分を冷静に見つめ直したこともあります」と話す。

     2017年度からは都内のU-18地区リーグの第8地区ユースリーグに参加した。5月の試合では、今まで一度も勝てなかった高校に3対0で勝利できたという。都大会への出場、地区トップリーグへの昇格という目標も視野に入ってきた。

     クラブチームの指導経験がある守屋陽平コーチは、「試合内容も良かった。強豪校のようにカリスマ指導者が部を左右するのではなく、みんなでチームを作り上げてきて、非常にいい状態になってきた」と語った。「人間性」の成長はメンタルの強さにつながる。また、選手たちは自らのプレーの意味を反省し、チームプレーを育てることができるようになるのだろう。

    「文武両道」貫いて、しっかり結果を出す

    • 何よりも人間性を教えると話す加藤拓也監督と守屋陽平コーチ
      何よりも人間性を教えると話す加藤拓也監督と守屋陽平コーチ

     同校サッカー部には「人間性の育成」と並んでもう一つ、「文武両道」の理念がある。

     高3の部員は、春のインターハイ予選後も部活を続け、今も8月の全国高等学校サッカー選手権に向けて練習を積んでいる。その一方、来春の大学受験に向け、勉強にも全力投球する。部活が終わった後、自習室で勉強に励む部員たちの姿が見えた。浅見くんは「将来の目標はパイロット」、田村くんは「技術者になりたいので、国立大の理系学部を目指す」。成績はなかなか優秀だという。

     加藤監督は「勉強も大事にしているので、テスト前になると部員たちは早朝から集まって授業前の勉強をしています。成績が悪いと部活動には出させません。長期休みのときは、午前中は勉強し、午後から練習しています」と話す。

     その成果は大学進学実績に表れている。今春受験した部員は全員、早稲田大学、上智大学、中央大学などの有名校に現役合格したそうだ。

    OB・OGも含めた大家族的なブラスバンド部

    • 卒業しても指導に来る卒業生が多く、先輩後輩のつながりが深いブラスバンド部
      卒業しても指導に来る卒業生が多く、先輩後輩のつながりが深いブラスバンド部

     厳しい雰囲気のサッカー部と対照的に、和気藹々(わきあいあい)なのがブラスバンド部だ。9月の文化祭と3月の卒業公演という2大イベントを目標に、日々楽しく練習している。

     この部活に入る生徒は初心者が多く、楽器ごとに先輩が一から後輩を指導する。そのため、先輩と後輩のつながりが深く、卒業後もOB、OGが合宿などへ指導に来ることがある。演奏家や作曲家の道に入った先輩もいて、彼らの曲を演奏することもあるという。

     30年以上顧問を務めている長廻裕実教諭は、「音楽とは作り上げるもの。卒業や入学で部員が変わると、また音楽が違ってくる。純粋に音楽を楽しんで、音楽の喜びを感じてほしい。生徒の自主性を尊重して指導しています」と語る。

    • 生徒の自主性を尊重して活動していると話す長廻裕実教諭
      生徒の自主性を尊重して活動していると話す長廻裕実教諭

     部長の久江耶衣さん(高2)は、母親も同校のブラスバンド部出身。母娘ともに長廻教諭に指導を受けている。久江さんは、「ブラスバンド部は先輩、後輩、先生、保護者、みんなあったかい大家族のような雰囲気です。部員のみんなは、たとえ疲れていても、楽器を手に取り、楽譜を見れば元気が出てきます。アットホームな場にしたいと心がけています」と話した。

     ただ、部活動で演奏技術の向上を目指す以上、ときに厳しい指導もある。「中1のとき、部活を時々さぼっていたので、先輩に『慢心は敵だ』と言われ、はっとしました。忘れられない一言です」と久江さんが振り返る。野口花音さん(中2)も、「合宿のとき、先輩の指導に対してきちんとした返事ができず、注意を受けました。普段は優しくても、音楽をやるときには厳しいのです」と話す。

     もちろん、そうした厳しさも後輩を思ってこそだ。武田彩夢里さん(同)は、「中学に入ってフルートを始めたので、先輩が丁寧に教えてくれました。助けてくれることもあれば、注意もしてくれる。自分のためにそこまでしてくれる先輩がいて、自分は幸せだと感じました」と話した。先輩たちの思いは、しっかり届いているようだ。

    二つの部活動に共通する「平和」の雰囲気

     サッカー部とブラスバンド部という違った雰囲気の部活を取材していて、両方の部員から「平和」という言葉を聞いた。サッカー部の田村くんは、「啓明は他の学校とは違う雰囲気があります。みんなが平和なのです」と、ブラスバンド部の久江さんは「将来は発展途上国を助ける仕事に就き、平和をつくるピースメーカーになりたい」と語っていた。

     生徒たちが口にした「平和」の意味を加藤監督は、「本校は帰国生や外国籍の生徒、インターナショナルスクール出身の生徒ら国際生が3分の1を占め、さまざまなバックグラウンドの生徒が集まっています。部活でも同じで、生徒たちはお互いを認め合うことを学んでいるからでしょう」と説明した。

     グローバル社会で、多様な言語、文化、社会などを背景とする人々が「平和」に共生するには、互いに意見を明確に伝え合う姿勢と、意見の違いを冷静に受け止めて、尊重し合う姿勢が必要だ。啓明学園の生徒たちは、部活動の中でも着々と、グローバル時代への備えを固めているようだ。

    (文・写真:小山美香 一部写真提供:啓明学園中学校高等学校)

     啓明学園中学校高等学校についてさらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年06月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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