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    「武」の文字に込められた精神性を磨く…西武台千葉

     西武台千葉中学校・高等学校(千葉県野田市)は、校名にある「武」の精神を生かした教育に力を注いでいる。「武」は、生きる姿勢や高い精神性の象徴であり、「学習活動」「部活動」「体験活動」の3本柱を通して教育に生かされているという。就任3年目を迎えた須田秀伸校長に、その意義や具体的な取り組みを聞いた。

     

     西武台千葉中学校・高等学校は、前身を武陽学園高校という。校名変更後も「武」という漢字は校名に残り、校章のデザインにも生かされている。須田秀伸校長は、2年前に校長として赴任して以来、この「武」の精神に着目し、生徒たちの成長を指導し、見守ってきた。海外体験や地域活動などの「体験活動」や、全校的に力を入れている「部活動」、日常的な「学習活動」を三つの柱とし、「武」の精神の浸透に努めている。

    人と会って体感することの重要性

    ――「体験活動」の中でも国際交流は力を入れていると聞きます。

    • 「武」の精神教育について語る須田校長
      「武」の精神教育について語る須田校長

     国際交流は、私のライフワークで、すでに30年以上、中国、オーストラリアをはじめさまざまな国の人たちと交流を重ねてきました。前任の公立高校やこの学校でも国際理解について話すと、「中国は嫌な国と思っていたけど、いい人もいるんですね」という生徒の感想が実に多かった。インターネットやマスコミの影響による思い込みでしょう。その経験から私は、国際交流には、実際に外国の人と会ってみて、体感することが大事だと思っています。

     私が校長に就任する前も、本校は毎年オーストラリア研修の希望者を募ってきましたが、10人も集まらず、催行できなかった年もあったほど生徒の関心は低かったようです。そこで、私は生徒たちに参加を積極的に呼びかけ、最初の年は24人集まりました。昨年は15人です。修学旅行も行き先を台湾に変えています。中高生の多感な時期に一度は外国に行かないといけないという主旨です。

    ――留学生の受け入れについてはどうですか。

     本校は、中国の駐日特命全権大使・程永華さんの出身校「長春外国語学校」と姉妹校提携を交わしており、そこの生徒が、日本語を学びたいと今年度から編入してきています。

     また、帰国子女・外国人を対象とした入試枠で合格したパキスタン出身の生徒もいます。この生徒は、英語しか話せませんが、私は、担任教員に特に手を差し伸べることはしないようにと話しています。英語しか話せない隣の生徒のことは、周りの生徒たちに任せています。周りの生徒たちは、どうすれば自分たちの気持ちや思いが通じるのか考えるでしょう。そうやって考えたり、苦労をしたりすることが国際交流では大事なことだからです。そのような経験を通じて、英語を学ぶ必要性も分かると思います。それとともに、同じ年代の日本以外の国で育った人たちと1対1で接することで、交流に大事なことは、知識とか、その人がどこの国の人かということではなく、「その人自身を理解することだ」と分かるはずです。

    ――「体験活動」では国際交流のほか、地域に密着した体験教育もしていますね。

    • 授業支援のボランティアにあたる生徒
      授業支援のボランティアにあたる生徒

     本校の生徒の出身比率は、高校でいえば、千葉県65%、埼玉県30%、そのほかの都県が5%です。千葉県出身の65%のうち4割が、地元・野田市出身の生徒です。しかも、野田という地域の特徴なのですが、人と人との付き合いを大事にする土地柄です。その地域性を開校当初から大事にしてきたので、生徒たちに対して授業支援ボランティアの要請などがあるのです。教員を目指す生徒たち30人ほどが自ら進んで小学生に算数を教えるなどのお手伝いをしています。公民館が主催する公開授業でも、小学校高学年を対象とした理科の実験授業の手伝いをしています。

    • マーチングの演奏演技にも力を入れている吹奏楽部
      マーチングの演奏演技にも力を入れている吹奏楽部

     さらに、高校の陸上部員が、中学校の陸上大会の運営に参加したり、吹奏楽部、ダンスドリル部が地域のお祭りに参加したりします。吹奏楽部やダンスドリル部は、そのことを通じて、日頃の部活の成果を披露する喜びを感じることができます。普段、親や先生以外に接することのない大人とも接することができ、それによって、自分たちが暮らす日常とは違う社会を体験できます。

    隣人の喜びを自分の喜びとして共感する

    ――「部活動」はどのように指導していますか。

     32年前の開校時に、部活動が盛んな学校として学校全体をまとめていくという趣旨がありました。その流れを今も受け継いでいて、運動部の活動が盛んだという定評をいただいています。これは高校の話ですが、この5月に千葉県高等学校総合体育大会陸上競技大会で陸上部が総合優勝し、関東高等学校バドミントン大会千葉予選会でもバドミントン部女子が優勝しました。私も高校時代には卓球をやっていたので、運動が盛んなことはとてもいいことだと思っています。

     生徒たちには、「陸上部やバドミントン部が優勝したのは、あなたの隣人が頑張った結果ですが、その隣人の喜びを自分の喜びとして共感できることが、同じ学校に所属していることの意味です」と話します。それは、もちろん、スポーツをやっている人だけに限らず、吹奏楽部などの文化部で頑張っている人や、大学受験で難関校に入れた人たちの喜びを共感できるということでもあります。つまり、頑張っている隣人を応援するということです。

    自分を律して人の役に立つ生き方を身に付ける

    ――最後に「学習活動」のあり方についても紹介してください。

     「体験活動」や「部活動」でも同じことなんですが、勉強も突き詰めていくと、困難にぶち当たったときに、「なぜ勉強をしなければならないのか」ということに行きつきます。このとき、「自分のため」という目的だけではどうしても弱く挫折してしまいがちです。ですが、「誰かの役に立っている」「誰かかが応援してくれている」という意識があれば、困難な場に踏みとどまり、また先に進もうとする意志力となります。

     もっと言えば、これからは、かつてのように、なるべく偏差値の高い大学に入って、名のある大企業に入るのがいい人生という時代ではなくなります。逆に言えば、さまざまな選択肢のある時代です。そのような時代に必要なのは、どう転んでもいいように、常に自分をキャリアアップできるような強さです。それを中学高校の6年間で身に付けることが最終的な目標です。

    ――そうした心構えの基礎となるのが、「武」の精神ということですか。

    • 千葉県高等学校総合体育大会陸上競技大会で総合優勝した陸上部
      千葉県高等学校総合体育大会陸上競技大会で総合優勝した陸上部

     そうです。つまり、西武台千葉は、「武士(もののふ)」ということに縁がある学校なのだと思います。武士といっても、戦うとか、斬り合うとかいう勇ましさを誇っているのではなく、生きる姿勢、精神性のことです。もっとも分かりやすいのは、「武士は食わねど高楊枝(ようじ)」。これは、フランス語でいう「ノブレス・オブリージュ」に近い。きちんと自分を律して人の役に立つという意味です。そういう「武」の精神性を大事にしましょうということですね。

     これは西武台千葉が歩んできた32年間に校風として自然と根付いたものです。本校の新入生は入学して間もなく福島県会津若松市で3日間の宿泊研修を受けます。そこで生徒は、校歌を歌い、あいさつ、行進の練習をします。このようなことを通じて、「武」の精神を身に付けてきたのです。私が初めてこの学校に赴任してきたときに感じたのは、生徒一人一人に、あいさつする態度、人の話を聞く態度が身に付いているということでした。言葉を換えれば、「品」というか「品格」があります。これも「武」の精神があるからです。

     私がこういうことを口にして、先生方も初めて「ああ、そうですね」と気付いたようです。意識されないほどに身近な校風だったのです。

     ですから、私としては、せっかく先人が大切にしてきた伝統として「武」の精神を受け継ぎ、もっと唱導し、いっそう強い愛校心につなげていきたい。西武台千葉中学校・高等学校は開校から32年たちますが、この精神を生徒たちに教えていくことができれば、まだまだ伸びしろがあると思っています。

    (文:鶴見知也 一部写真提供:西武台千葉中学校・高等学校)

     西武台千葉中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年08月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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