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    生徒に寄り添って「壁」を乗り越えさせる…南山女子部

     カトリック系ミッションスクールの南山高等・中学校女子部(名古屋市)は、中部地区を代表する難関進学校だ。特に医学部への進学実績の高さには定評がある。日頃のお祈りを通じて学ぶキリスト教精神を柱とし、生徒たちは互いに認め合い、高め合いながら勉強や部活に励んでいる。校長のヨセフ・ブルーノ・ダシオン神父に同校の教育の特色を聞いた。

    • 校長のヨセフ・ブルーノ・ダシオン神父
      校長のヨセフ・ブルーノ・ダシオン神父

     南山高等・中学校女子部は、1948年に創立した中高6年一貫教育のカトリック系ミッションスクールだ。中部地区を代表する最難関私立校でもあり、高い大学進学実績で知られる。比較的小規模な学校で1学年は200人前後だが、名古屋大、東大、京大などの国公立大学に100人以上が合格している。


    乗り越えるべき「壁」を高めていく

    ――高い進学実績ですね。どのような学習指導をしていますか。

     この10年くらい医学部を含む理系進学を希望する生徒が増えています。毎年、国公立大学の医学部医学科に30人前後が進学しています。南山女子部の生徒はみんなとても優秀です。勉強の面でも自己実現したいという高い志を持った生徒たちがいて、お互いを高め合う雰囲気があります。これは、教員が仕掛けてできるものではありません。学習面でも生活面でも、お互いに「すごい」と認め合うことができる。それが優秀さの証しです。

     学校がやることは、生徒が乗り越えるべき「壁」を作ることです。できないからといって、その程度の教育をするのでなく、できなくても少しずつ乗り越えるべき「壁」を高めていくことで成長できます。

     先生たちは、南山女子部に入学して勉強したいと志し、入学してきた生徒の意欲を大切に受け止め、「壁」を乗り越えられるようにサポートします。失敗してもいいのです。「失敗しました、分からない、先生助けてください」と言える生徒に入学してほしいですね。

    ――校長は男子部の校長でもあるわけですが、男子と比較した場合の女子の教育についてはどう考えますか。

     思春期に、男女別の校舎で、男女それぞれが持つ独特の雰囲気を味わいながら過ごすことは、生徒にとって良いことだと感じます。中2だと男子は幼さが残っているのですが、女子はすでに大人の女性に向かい、背伸びをしていきます。思春期の男女の成長のスピードは異なるので、男子部、女子部の雰囲気は違います。それは生徒たちが自然に作り上げているものです。

     思春期の女子に対しては、気付いてあげることが大切です。男子は心配しなくても自分の気持ちを出します。女子はなかなか自分の気持ちを出せないので、経験のある先生が、家族のように支えてやらなくてはなりません。入学したばかりの中学1年生と大学受験を控えた高校3年生の教室は職員室と同じ階に配置し、特に丁寧に目を配っています。

     本校は、生徒と先生がよく話し合う学校です。職員室や廊下、校内のどこでも、いつでも話し合う姿が見られます。立ち話では難しい相談をしたり、たとえば数学の質問をしにきた生徒と先生が落ち着いて話したりできるよう、職員室の前に面談室も設けています。女子部の教員は、そっと寄り添い、気付いてやり、しっかり支援します。

    知識は「愛」の道具に過ぎない

    ――ミッションスクールとしての教育の特色を教えてください。

     本校は、「高い人格」「広い教養」「強い責任感」を校訓に掲げています。「高い人格」とは、キリストの教える愛を身に付け、互いに愛し合える人となることです。人格を高めるためには「広い教養」が必要ですが、教養の広さとは知識の量のことではなく、愛の深さを意味します。勉強は大事ですが、知識を身に付ければ終わりなのではありません。知識は愛の道具でしかないのです。また、良心に耳を傾け、その呼びかけに応答し、良心に従うとき、初めて人を正しく愛することができます。これが「強い責任感」の意味です。

     学校生活の中にはいろいろな祈りの場があり、これらの校訓を学ぶ機会ともなっています。一番大切にしているのは入学式です。正式には「入学式・感謝祭」と呼んでいます。ここまで支えてくださったご両親や先生など周りの人に感謝し、6年間を一緒に過ごす友と一緒に祈ります。本校の中学入試は毎年4倍近い競争率ですから、「一緒に入学し、学びたいと頑張ってきたけれど、かなわなかったお友達もいたことでしょう。そのお友達の思いを受け止めましょう」と話します。

    • キャンパスの隣の敷地に立つ南山教会で行われる入学式・感謝祭
      キャンパスの隣の敷地に立つ南山教会で行われる入学式・感謝祭

     女子部の朝は、聖歌の歌声から始まります。全校生徒が10人ずつ毎日交代して放送室で歌い、その歌声に合わせて各教室で全校生徒が一緒に歌います。月曜の朝だけは、校長の私と指導司祭が交代で放送室から短いお話をします。「朝のこころ」と呼んでいます。生徒に向かって話した内容は、学校の公式サイトで毎週公開しています。

     「おはようございます」のあいさつとともに生徒を迎えることを、私はとても大切にしています。生徒たちは朝、それぞれの思いを持って登校します。どのような家から通っているのか、朝ご飯に何を食べてきたのか、どのような気持ちでやってきたのか。楽しくないこともあるでしょう。でも、私はいつも等しく「おはようございます」の言葉で生徒たちを迎えています。生徒たちすべてに、一人の人間として、女性として大切にされていることを知ってもらい、毎日をスタートしてほしいからです。

     6限の授業が終われば、放送スタッフが祈りの言葉を朗読します。それを教室で聞きながら全校生徒が一緒に祈ります。1、2分の短い時間ですが、毎日行っています。朝の聖歌や帰りの祈りの言葉は「南山生の祈り」という生徒全員が持つ小冊子に書かれています。中学に入学したばかりの頃は「南山生の祈り」を見ながら歌い、祈りの言葉も文字を追うのですが、学年を重ねるごとに覚えてしまうので、見ることはなくなります。

    • 聖歌と祈りの言葉を収めたパンフレット「南山生の祈り」
      聖歌と祈りの言葉を収めたパンフレット「南山生の祈り」

     また、女子部の校内にあるチャペルでは毎月ミサを行っています。希望者が対象で、在校生だけでなく、保護者や卒業生が参加することもあります。チャペルには静かな時間が流れます。落ち着いて自分を見つめる時間を持つことは、思春期の女子にとってとても大切です。

     卒業生から、「祈りの言葉が思い出され、ハッとする瞬間がある」と聞かされることもよくあります。在学中には分からなかったけれど、子供が生まれてから、祈りの言葉の意味をかみしめる時があるそうです。祈りは単なる暗記でなく、水が染み込むように自然と身に付くものです。

    割烹 ( かっぽう ) 部や盆石部など珍しい部活動も

    ――部活動もとても活発だそうですね。

     中高生が一緒に活動しています。ほとんどの生徒がいずれかの部活動に所属し、学年を超えた関係で、お互いを尊重し合うことを学んでいます。12の運動部と、28の文化部があり、珍しいところでは、和洋中の料理やお菓子作りの基本を学ぶ「割烹部」、黒いお盆の上に白砂や石で自然の風景を表現する「盆石部」があります。

     カトリック研究部はパイプオルガンの会で、南山(なんざん)教会のパイプオルガンで練習し、演奏を披露することもあります。ディベート部は、中高ともにディベート甲子園全国大会に常連校として出場しています。棋道部は第53回全国高校将棋選手権大会の女子団体戦で準優勝しました。数学研究部は数学甲子園2017で準優勝しています。また、第7回ヨーロッパ女子数学オリンピックの日本代表に選出され、イタリアでの世界大会に参加した中3生もいます。生徒たちは放課後も、夢中になれることを精いっぱい楽しんでいます。

     毎年秋に行う文化祭では、そんな部活動の様子を見ることもできます。文化祭は入試説明会と違って予約が不要で、一般に公開しています。生徒と直接話すこともできるので、学校の雰囲気を知ってもらう良い機会ではないでしょうか。

    (文・写真:水崎真智子 写真提供:南山高等・中学校女子部)

     南山高等・中学校女子部についてさらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年06月29日 13時14分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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