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    来年度、時代に対応した3種の新入試…八王子実践

     八王子実践中学校(東京都八王子市)は、2019年度から、これまでの2科・4科入試を廃し、新しい3種類の入試方式を導入する。「自重・自愛・自制・自立」という建学の精神を守りながらも、時代の変化・ニーズに合わせ、学び舎としての形を変えてきた同校の新たな挑戦だ。理事長を兼ねる矢野東校長と入試広報部主任である伊藤栄一郎先生に、教育の特色や新しい入試方式の狙いなどについて聞いた。

    変わらない「建学の精神」が生徒の心を育てる

     「校名である『実践』には、さまざまなことに『挑戦』していこうという教育理念が込められています」。矢野東校長はそう語る。

    • 新しい3種類の入試方式を導入する八王子実践中学校
      新しい3種類の入試方式を導入する八王子実践中学校

     1926年に女子の実業学校として創立され、1961年には日本の工業発展に伴って男子部機械科を設置して男女別学化を果たした。さらに1998年に共学となり、2016年には創立90周年を迎えた。その名の通り、常に社会の課題をとらえ、時代の求めに応じた教育に取り組んできた。現在もまさに、大きな変化の時代を迎えている。

    • 「日本人としての伝統を大切に育てたい」と話す矢野校長
      「日本人としての伝統を大切に育てたい」と話す矢野校長

     「今の小学生が成人する頃には、現在ある仕事の約6割が別の仕事に変わるだろうと言われています。急速に変化する時代において、今後は異文化に接する機会が多くなるでしょう。AIが導入され、異文化とのグローバルな交流が当たり前になっていった時に求められるのは、自分の意見を自らの言葉で発信できる人材だと思っています」

     変化の時代に自分を見失わず、かつ他者を思いやる心を持つ人間を育てること。そんな教育の理想は、同校の建学の精神にも込められている。自分の品位を保つ「自重」、自分を大切にする「自愛」、感情や欲望を抑える「自制」、自分の力でものごとを行う「自立」だ。同校が注力しているのは、この四つの徳目の実践を通して豊かな人間性を持つ人物を育てることにほかならない。

     「大切に育てたいのが、日本人としての生き方、思いやりの精神や、武士道といった伝統です。例えば、サッカーのワールドカップで試合終了後にゴミ拾いをする日本人サポーターの姿は、世界に誇れる日本の精神だと思います。2018年のロシア大会では、対戦相手であるセネガルのサポーターもゴミ拾いに参加したという報道がありました。グローバル化する社会において、日本の精神が世界に広がっている証拠だと感じました。このような日本人の持つ心をグローバルな社会の中で、発信できる子供たちを育てたいと思っています」

     四つの徳目は、コミュニケーションの基本である挨拶(あいさつ)、団体生活を送る上での礼儀作法、身だしなみなど、生徒の日常生活への指導を通じて達成される。矢野校長は就任してから数年、日々指導に努める中で、生徒の内面性に大きな向上を感じるようになったという。

     ある日の通学時のエピソードを矢野校長は笑顔で話した。「八王子駅から本校までの通学路には、なだらかな上り坂があるのですが、ある日、重い荷物を載せて自転車を押す女性がいたそうなのです。それを見かけた我が校の生徒が坂道を上るのを手伝ったようで、後日その女性から感謝のお電話をいただきました。それを聞いた時は本当に(うれ)しかったですね」

     建学の精神が生徒たちの心に根付き、目に見える形となって表れたといえるだろう。

    時代のニーズに合った大胆な入試方式

     豊かな人間性を持った人間の育成に努める一方、時代の求めに敏感に応じていくことも同校の教育の特質だ。2020年度から実施される大学入学共通テストに象徴される「思考力・判断力・表現力」を重視する新しい学力観への対応として、同校は2019年度入試から新しい入試方式を導入する。

     これまで行ってきた2科・4科の学力試験に替えて、新しい学力観に基づく3種類の入試方式を導入する。まず、「英語入試」では英検3、4級程度の難度の筆記試験と、ネイティブの講師との面接による総合評価を行う。次に「適性検査型入試」は作文と総合問題で合否を判定する。最後に、最も大胆な取り組みとなる「自己表現入試」では、受験者は事前配布する「エントリーシート」に自己アピールを記入し、その内容を基に試験官と面接する。問われるのは自己表現力だ。

    • 入試広報部主任の伊藤先生
      入試広報部主任の伊藤先生

     今回の入試改革の全てを統括する入試広報部主任の伊藤栄一郎先生はこう語る。「自己表現入試では、コミュニケーション能力や子供の持つ資質を見たいと思っています。自己表現をする際に、教室に入るものであれば何を持ち込んでも構いません。試験官が質問することに対して答えるだけの、よくある面接では緊張して言いたいことが言えない可能性があります。そのため、受験生には自分の好きなことについて思い切り発表してもらいたいのです」

    生徒それぞれに進路があり、ゴールがある

     新たな試験方式で入学してくる多様な個性を持った生徒たちに対して、同校はその後もきめ細かい教育体制を用意している。

     授業は一人一人にしっかりと目が行き届くよう、1クラス20人を目安とした少人数制で行われる。3年間で3600時間を超える授業時間を設定し、特に英語は公立中学校の1.7倍に当たる735時間を充てる。

    • 「J-Lab.」で学ぶ生徒たち
      「J-Lab.」で学ぶ生徒たち

     個々の学習能力に合わせたフォローができるよう、放課後の学習施設「J-Lab.」を用意。教員や外部講師によるワンランク上の学習指導が受けられる「J-plus’jr.」や、自ら学習プランを作り、担任の管理のもとで学習する「J-mind」、夏休みなどの長期休暇の際に開講する短期講習「J-Trial」と、それぞれの進路を実現させるための学習プランを充実させている。

     課外活動で放課後の予定が詰まっている生徒に対しても、個別にフォロー体制を整えている。女子バレーボールで高い実績がある同校には、毎年バレーボール経験者が入学してくる。また、クラシックバレエや、能を学んでいる子など、バラエティ豊かな課外活動を行う生徒も多いという。「留学の経験を持つ子から英語の必要性を学んだり、普段の生活であまり馴染(なじ)みのない文化や伝統に触れたり、お互いの知らない分野で刺激し合うことは、子供たちに良い変化をもたらします。さまざまな課外活動に全力を尽くせるよう、生徒に対する学習サポートも万全に整えています」と伊藤先生は胸を張る。

     「卒業後の進路は大学進学、海外留学、専門職になるための進学と生徒一人一人異なります。だから学習における目指すゴールもそれぞれ違っていいのです。たとえ、他の生徒より学力が劣っていても、本人が設定した目標を達成できれば、それはゴールなのです」

     現在は教員主体で行っている体育祭や文化祭も、数年後には生徒主導に変えていきたいという。この先、どのように変化が生まれてくるのか、楽しみな中学だ。

    (文・写真:安達悠、一部写真提供:八王子実践中学校)

     八王子実践中学校について詳しく知りたい方はこちら

    2018年08月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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