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    海外研修で世界にはばたく人間づくり…都市大付

     東京都市大学付属中学校・高等学校(東京都世田谷区)は、北米やニュージーランド、マレーシアなどアメリカ、オセアニア、アジア圏への幅広い海外研修プログラムを実施している。高い次元で国際社会に貢献できる人間力を育むことが目的だ。このプログラムが始まった経緯や目的、さらに実際に参加した生徒の声を紹介する。

    世界は日本だけではないことを体感して

    • 「マレーシア異文化体験プログラム」で現地の学校に通い、授業を受ける
      「マレーシア異文化体験プログラム」で現地の学校に通い、授業を受ける

     同校が幅広い「海外研修プログラム」を始めたきっかけを、国際部主幹の松尾浩二先生はこう説明する。「今後、世界におけるグローバル化の流れは避けられません。子供たちは世界と切っても切れない社会に身を置くことになります。生徒たちには日本の慣習にとらわれない、グローバルな感覚を養ってもらいたいと思っています」

     同校には四つの海外研修プログラムが用意されている。中学3年の夏休みに10日間実施される「マレーシア異文化体験プログラム」は、空港から車で3時間ほどの郊外にある村でホームステイをする。期間中は現地の学校に通い、授業を受ける。

     マレーシアを研修先に選んだ理由について松尾先生は「英語が学べる環境であること、親日国であることはもちろんですが、最大の理由は多民族国家であることです。異なる文化、宗教、生活様式を体感することは、世界を知るという意味でとても貴重な経験になると考えています」という。

     2018年から始まった「3か月ターム留学」は、中学3年の3学期全てをニュージーランドで過ごす海外研修プログラムだ。3か月間、現地の学校に通い、修了証や成績表を受け取る。期間中は現地の家庭にホームステイするため、まさに英語漬けの3か月を送ることになる。

     高1の夏休みに3週間実施される「ニュージーランド語学研修」は、30年以上続く海外研修プログラムだ。他の海外研修プログラムと同様、現地の学校の授業に参加する勉強重視の内容になっている。ニュージーランドにある4校の姉妹校から来日する機会がある場合は、生徒の家庭での受け入れも行っている。高1の3月に実施する6泊8日の「アメリカ研修旅行」は原則全員参加となっている。アップルやインテル、グーグルといった世界の先端を行くIT企業の見学やスタンフォード大学、UCLAへの訪問、現地でのホームステイ、海外で活躍する日本企業の見学など、充実のカリキュラムだ。

     「アメリカ研修旅行」を除く3プログラムは、希望者を募る任意プログラムとなっている。その中で「3か月ターム留学」は、初年度の参加が24人だったのに対し、今年度の希望者はすでに28人に達している。人数的には4人の増加だが、現在の中学3年生は高校1年生に比べ2クラス少ない。「初年度に参加した先輩の変化にあこがれを持った生徒や、保護者の口コミが広がっているようです。それだけ、子供にとって好影響を及ぼすプログラムであると思います」と松尾先生は考えている。

    学園生活の中にグローバルな環境がある

    • ニュージーランドで英語漬けの日々を送る「3か月ターム留学」
      ニュージーランドで英語漬けの日々を送る「3か月ターム留学」

     「いくら海外研修プログラムが充実しているといっても、6年という長い時間で見るとわずかです。普段の生活にもグローバルな環境を取り入れたい、ということで力を入れているのが帰国生入試です。毎年、右肩上がりに生徒数は伸びており、現在は約200人の帰国生が我が校で学んでいます」

     松尾先生は、フィリピンからの帰国生が「ドゥテルテは良い大統領だよ」と隣の友人に何げなく話す様子に強い印象を受けたという。世界的には「暴君」として報道されることが多い大統領だが、実際にフィリピンで生活している人にとっては、犯罪撲滅のために尽力する英雄という面もあるのだ。帰国生の増加によって、一つの事象に対して多面的な見方ができる環境が、自然に生まれる。

     日本とは違う文化、習慣の中で生活してきた生徒が隣の席に座っている。そういう空間で学校生活をすることによって、子供たちは世の中にさまざまな考え方が存在することを学び、自分も海外での生活を経験したいと志すようになる。同校には、日本を出たことのない生徒に、このような刺激を与える生活環境がある。

    英語が話せない自分に気付けたことが「財産」

    • 「ニュージーランド語学研修」は現地の学校の授業に参加する勉強重視の内容
      「ニュージーランド語学研修」は現地の学校の授業に参加する勉強重視の内容

     「3か月ターム留学」に参加した高1の佐瀬光雄君は、留学前に実用英語技能検定2級を取得していたが、現地でまず感じたのは「言葉の壁」だという。月曜日から金曜日まで現地の学校で授業を受けるが、そこに日本語は存在しない。「話しかけたくても自分の英語力に自信が持てず、言葉が出てこない」。最初はそんな悶々(もんもん)とした生活だった。

     「英語圏では、英語が話せるのが当たり前として扱われます。自分がどれだけ英語ができないかに気付けたことが、今回の留学で得た一番の宝物です。速くて何を言っているか分からないと思った時もありましたが、実は簡単な英語でゆっくり話していることが分かり、徐々に内容も理解できるようになりました」。語学力はもちろん、自分の意思を相手に伝える「度胸」が身に付き、帰国後はネイティブの先生と普通に会話ができるようになったという。

     「これまでは人よりもちょっと英語が得意というレベルだったのですが、留学を通して全然英語ができていない自分を発見し、英語が話せる自分に成長できました」

     佐瀬君は、滞在中に3軒の家庭にホームステイをした。多民族国家であるニュージーランドでは、1軒目はスリランカ人、2軒目はルーマニア人と、異なる民族の家庭で生活した。「同じ国の中にさまざまな民族が暮らしているのが当然の環境で、日本とはまるで違いました。それぞれの家庭の食生活や文化に触れ、世界にはいろいろな人が暮らしているのだと体感できました」

     「海外に出て、世界には貧富や宗教の差があることを知りました。世界の仕組みや、民族の伝統などを考えると、ある程度差があるのは仕方がないと感じていますが、生命に関わる食料や水、電力に差があってはならないし、そうした最低限の生活環境が整っていないことで失われる命があるなら、1人でも多く救いたいと思うようになりました」

     小学生の頃は漠然と、「医者になりたい」と思っていたそうだが、今の目標は明確だ。「今後は公衆衛生学、医療経済学を学び、国連の職員として世界の人々を救う仕事がしたい」

    「今を全力で生きる」大切さを学ぶ

     高2の宮島蒼一郎君は、ロータリー青少年交換として2017年6月から1年間、インドに留学し、カルチャーショックを経験した。「滞在中、3か月かけてインドを周遊旅行しました。2日間寝台電車に揺られて目的地にたどり着くと、自然の景色は変わらないのに言葉が全く違う。まるで別の国に来たような感覚になりました」

     中でもチベットのダライ・ラマの亡命先でもあるダラムサラの印象は強烈だったという。チベット難民の生活、壁一面に貼られたチベット僧侶の焼身自殺の写真などを目の当たりにし、「初めて『平和』というものについて真剣に考えました」という。

     「インドの人たちは明日よりも今日、今日よりも『今』を大切に生きる人たちです。ホストファミリーは夕飯の献立や、明日見に行く映画を何にするかといった話題でも本気でけんかをします。最初はその様子に戸惑いましたが、彼らにとっては遠い未来のことよりも今何をするか、明日どう生きるかの方が断然重要なのです。今この瞬間の幸福度を最大限に高める生き方に感銘を受けました」

     その考えは帰国後も彼の意識に変化をもたらしたという。「本を読んでいるとき、今この本の内容は自分にとって必要か、それよりも先にやるべきことがあるのではないかと考えて行動するようになりました」。将来進むべき道はまだはっきりしていないが、「他人と関わることが好きなので、人を笑顔にする仕事に就きたいです」と話した。

     海外経験を持つ帰国生に刺激されて留学希望者が増える。帰国した留学生は、海外経験のない仲間に新たな刺激をもたらす。この好循環の勢いは止まりそうにない。

     (文・写真:安達悠 一部写真提供:東京都市大学付属中学校・高等学校)

     東京都市大学付属中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年10月01日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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