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    2年×3段階の教育で「社会の優等生」に…獨協

     完全中高一貫の男子校、獨協中学・高等学校(東京都文京区)は、男子の成長の特徴に注目して、2年×3段階の教育プログラムを実施している。飛躍的成長が期待できる中3~高1の「学力伸長期」を中心とした教育内容や、医歯薬系への進学対策、人間教育の理念などを渡辺和雄校長に聞いた。

    男子生徒の「隙間」をつなげる工夫

    • 「校則が緩やかで、おっとりとした雰囲気の学校です」と話す渡辺和雄校長
      「校則が緩やかで、おっとりとした雰囲気の学校です」と話す渡辺和雄校長

     獨協中学・高等学校(東京都文京区)は、日本近代哲学の父とも呼ばれる西周(にしあまね)を初代校長とし、創立から135年の歴史を持つ伝統校。第2次世界大戦後は、カント哲学研究者の天野貞祐が第13代校長となり、発展の基礎を築いた。現在も、天野校長が掲げた「獨協生全員を社会の優等生に育てる獨協の人間教育」を旗印に、男子の優秀な人材を世に送り出している。

    ――獨協の男子教育の特徴はどういうものですか。

     勉強方法にも男女の違いというものはあります。コツコツと隅から隅まで網羅するのは女子が得意とよく言われますが、男子は実に隙間が多い。脇道に()れ、いろいろなことを考えるからです。しかし、それがやがてつながってくる。だから、ある時、爆発的な成長をするのが男子の特徴です。

     その時期をただ待っていたらいいのではなく、つながるよう支援する工夫が必要です。いろいろな体験を通じ、物事を論理的に考えることや、一つのことを文章にまとめるなど、数々の工夫によって本校は男子生徒を伸ばします。

     本校は1997年、中高一貫化し、2000年に高校からの入学を停止して完全中高一貫校化しました。中高の6年間を2年ごとの三つの期間で捉え、生徒たちを見守っています。

     中学に入学してから最初の2年は「基礎学力養成期」です。学習習慣を身に付け、基礎学力を養成します。時間を守ることや相手のことを考えるなど、社会で生きるための基礎的な力を付けることも重視します。また、中高一緒に活動するクラブ活動や委員会活動などで憧れの先輩を見つけ、自分という土台を作っていく時期でもあります。

    • 医師として活躍中の卒業生を勤務先の大学に訪ね、話を聞く大学見学会
      医師として活躍中の卒業生を勤務先の大学に訪ね、話を聞く大学見学会

     中学3年から高校1年の2年間は、論理性を身に付け、学力を伸ばしていく「学力伸長期」です。海外研修や社会とつながる経験もどんどんやっていきます。

     最後に高校2、3年は、入学してからの4年間を集大成する「学力完成期」です。社会とつながり、貢献していくことを学びます。学力的には大学進学に向け、論理的思考力を統合していきます。

     2年ごとに段階的に成長を重ねることで、「社会の優等生」としての自信と誇りを身に付けていくのが獨協の教育です。

    第2段階は発見、成長する期間

    • ドイツ研修旅行で、ホームステイ先の現地生徒と保護者に対面する獨協生たち
      ドイツ研修旅行で、ホームステイ先の現地生徒と保護者に対面する獨協生たち

    ――男子生徒の「隙間」を埋めるにあたって、学力を伸ばす第2段階は重要ですね。

     中3から高1の第2段階で本校が行っているさまざまな工夫の一つに研究論文があります。中3時に、自分でテーマを選び、1年かけて掘り下げ、論文化していきます。最近では、電車のワンマン運転がどうしてできるかを技術的に掘り下げた生徒や、日本の庭について調べ上げた生徒もいました。

     テーマにかかわらず、調べるうちに新たな疑問が湧いて、もっと調べようと対象に近づき、理解を深めていく様子や、それについて知りたいという気持ちが、論文や発表を通じて伝わってきます。

     学年での発表の場には中学2年生も同席します。「先輩たちがあそこまでできたのだから、自分もあそこまで行きたい。もっと工夫したい」と、大きな刺激を受ける場になっています。近年はプレゼンテーションの方法が目覚ましく進化しており、目標とする先輩をまねて、さらに成長する良い循環となっています。

    ――第2段階で行う海外研修にはどんな目的がありますか。

     海外研修への参加ができるようになるのは中学3年生からです。夏休みに行うドイツ研修旅行では、ベルリンで、冷戦の象徴だった「壁」の歴史や戦争について考え、フランクフルトではライン川を見て中世以前のローマ時代の歴史に目を向けます。また、ギムナジウム(ドイツの中等教育機関)の授業に参加し、現地の生徒の家庭でホームステイするなどして、体験を通してドイツを学びます。今年はミュンヘンに行く予定です。

     旅の途中で生徒が「あっ、おれの知らない世界がある。えっ、こんなになっているの」と何かを発見し、それによって自らも変わる、そういう瞬間を目にします。先入観がないから吸収も早い。この瞬間を私たち教員は待っているのです。ですから中学3年、高校1年の2年間には、国内外で多彩な経験の場を増やし、新しい世界に触れていけるようにしています。

     高校1年生を対象としたアメリカのシアトルでのホームステイもあります。留学中にスタンフォード大学など、現地の大学をいくつか見学して講義も受け、起業家の話を聞くなど、獨協オリジナルのプログラムです。

    • 高1、2生が対象のイエローストーン・サイエンスツアー
      高1、2生が対象のイエローストーン・サイエンスツアー

     理系の、特に生き物に興味関心を持つ生徒を引きつけるのが、イエローストーン・サイエンスツアーです。モンタナ州立大学で研究していた方にガイドをお願いし、世界初の国立公園であるイエローストーンに、キャンプも含め1週間ほど滞在します。これもまた獨協オリジナルのプログラムです。保護者にも好評で「自分も行きたい」と声が上がるほどです。

     社会を知る活動は海外だけではありません。早稲田大学や慶応義塾大学を見学し、特別講義を受けたり、獨協医科大学、慈恵医科大学、東京医科大学などを見学して模擬授業を受けたりもしています。

    ――研究論文で論理や知識を深めていく一方、海外などの体験で知らない世界を広げていく。これが男子生徒の「隙間」をつなげることに役立つのですね。

    「社会に貢献できる人になる」

    • 母校で行われる卒業生の獨協ドクターズクラブによる講演会
      母校で行われる卒業生の獨協ドクターズクラブによる講演会

    ――大学入試改革などで問われる「新しい学力」についてどう考えますか。

     カントの「純粋理性批判」を初めて全訳した哲学研究者、第13代・天野貞祐校長は「獨協生全員を社会の優等生に育てる獨協の人間教育」という教育目標を定めました。この目標は、知識定着型の学力ではなく、今求められているアクティブラーニング的な「新しい学力」を実現しようとするものです。

     ただ、アクティブラーニングは手法ですから、その先にある人間像に着目することが大切です。社会で生きる土台を作り、社会を知り、社会に貢献できる人になる。それが獨協の教育です。学んで知識を身に付けただけでなく、社会に、あるいは世界に出て行く時に、どう行動していったらいいのか、獨協の生徒はそれがきちんとできるようになります。

    ――医学部への進学者が多いそうですね。

     医歯薬系以外の理系や文系への進学者も多くおりますが、本校には獨協医科大学や医学系に進んだOBの協力を得られるメリットがあります。

     同大の協力で、中学3年からドクターヘリや救急医療、集中治療室などを見学することができます。また、本校OBの教授に話をしてもらい、医学部とは、病院とはどういうところか、医師になるためには何が必要か、なってから求められるものは何か、ということを生徒は学んでいきます。

     さらに本校の同窓会には、獨協ドクターズクラブ、歯科医師獨協会に薬剤師さんを加えた「三師会」という組織があります。本校で年1回総会が開かれ、その時に講演会をしてもらうのですが、先端的な研究をしているOBたちの話は、生徒にも保護者にも大変な人気です。

     もちろん、医学部の受験は他の学部と違って2次試験があるので、その対策をしっかりしていることは言うまでもありません。

    (文:水崎真智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:獨協中学・高等学校)

     獨協中学・高等学校についてさらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年06月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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