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    「禅の教え」生かして豊かな心を育む…鶴見大附

     鶴見大学附属中学校・高等学校(横浜市)は、2024年の創立100周年に向け、「学びの心で世界を変える。」という教育宣言を行った。曹洞宗大本山総持寺によって設立された同校は、「禅の教え」に基づき、自立の精神と心豊かな知性を育み、国際社会に貢献できる人間を育てることを目標としている。2015年に赴任した亀山仁校長に、教育の特色を聞いた。

    心の教育はあいさつと黙念から

    ――鶴見大学附属は仏教系の学校ですが、亀山校長自身は僧侶の経験がありますか。

     自分の家がお寺だったのですが、中学1年の時父が他界したため、この頃から衣を着てお経を読むことがありました。一時はそういった環境に反発して理系の大学に進んだのですが、思うところがあり、大学卒業後、四国の瑞応寺(ずいおうじ)安居(あんご)し、その後、東京へ托鉢(たくはつ)をしながら歩いて帰ってきました。お経を読み、人々から食べ物や金銭の施しを受けながら旅をしたのです。

    • 1月の「耐寒参禅会」に参加する生徒たち
      1月の「耐寒参禅会」に参加する生徒たち

     その間、托鉢をする私の姿を見て路傍で手を合わせてくれる老人と出会うなど、実に貴重な経験がありました。やはり人に会う仕事がしたい、人を育てるのに役立ちたいと、宗門の学校に奉職することを決め、現在に至っています。

    ――建学の精神である「大覚円成(だいがくえんじょう) 報恩行持(ほうおんぎょうじ)」の意味を教えてください。

     これは、「感謝を忘れず真人(ひと)となる」ということを意味します。相手を尊重し、感謝する気持ちを忘れず、人として立派に育ってほしいという願いを表しています。中学生、高校生にとって、いい大学に進みたいという目標も大事ですが、人生はそれだけではない。自分を見失わず、相手の心を理解し、気持ちのうえで豊かな生活を送る(すべ)を身に付けてほしいのです。

     例として私は、日々のあいさつを大切にしています。私自身が生徒たちの中に入っていき、気軽に声をかけます。照れくさくて言葉が出ず、軽く会釈をするだけの生徒もいますが、人と接するときにはあいさつをするという態度が、次第に身に付いていくものです。

     また毎朝、各ホームルームで「黙念」(椅子に座って行う坐禅(ざぜん))をしています。ほんの30秒か40秒の間、黙って椅子に座り、呼吸を整えながら自分の心を見つめるというものですが、不思議と気持ちが落ち着き、集中して授業に取り組むことができるようになります。これを普段の生活の中に取り入れ、「入学試験の前に黙念をしたら、うまくいった」という生徒もいました。

     また、学校に隣接した総持寺で、毎年1月に「耐寒参禅会」を行っています。4日間毎朝、授業が始まる前に寺に赴き、約40分坐禅をします。参加は希望制ですが、ほぼ9割以上の生徒が参加します。保護者の姿も多く見られます。寒い中、早起きして坐禅を組むのは相当な覚悟が必要ですが、学校生活の中でも最も印象に残る体験となるようで、6年間毎年参加したことを誇りとする生徒も大勢います。

    「教科エリア」「ホームベース」「3ステージ制」が一体感を作る

    ――校舎が「教科エリア」と「ホームベース」に分かれた、非常にユニークな作りになっていますね。1500人を収容できる「60周年記念講堂」も見事なものです。

     2009年に新校舎が完成して以来、現在のシステムを採用しています。「教科エリア」には英語、国語、数学など各教科専門の教室があります。ホームルームをしたり昼食を取ったりするのは「ホームベース」と呼ばれる、クラス別の部屋です。

     教室で待っている生徒たちのところに教師が行くのではなく、生徒たちが自ら教室に向かうことで、自分から主体的に授業に参加する姿勢を養うことができます。また、各教室に専門の設備を置くことで授業の質が上がり、その教科に集中して取り組むことが可能になります。

    • 各教科の専門教室が入った「教科エリア」
      各教科の専門教室が入った「教科エリア」

     「教科エリア」には、授業のプリントや単元ごとの資料を置いた「メディアセンター」が設置されています。そのすぐ横に教科の教師の「研究室」があり、生徒は気軽にそこを訪れて質問することができるようになっています。同じ教科の教師たちが、学年の枠を超えて連携できることも大きな利点です。

    ――中学3年、高校3年と分けるのではなく、「中1・2」「中3・高1」「高2・3」と2学年ごとに分ける「3ステージ制」としているのはどうしてですか。

     2年という短いステップの中で到達目標を設けることで、やりがいと達成感を繰り返し体験します。勉強でつまずいたり伸び悩んだりしたときも、早期に発見し、対応することが可能です。「教科エリア」「ホームベース」と「3ステージ制」を同時に採用したことで、「中学」「高校」や学年の区別にこだわることなく、全生徒が一つの校舎の中で活発に行き来する環境を実現することができました。校舎の中はいつも活気があり、一体感に満ちています。

    • 60周年記念講堂で行う合唱祭
      60周年記念講堂で行う合唱祭

     中学1、2年は、毎年「60周年記念講堂」で合唱祭を行います。クラス対抗になっていて、皆非常に熱心に練習に取り組んでいます。中学3年と高校1年は、ここで弁論大会を行います。優秀者は仏教系の学校による全国大会に出場します。本校の生徒から2年連続優勝者が出ています。

    失敗を恐れずチャレンジしてほしい

    ――国公立や早稲田・慶応・上智、GMARCHへの合格者数が着実に伸びてきていますね。

     一人一人の生徒に異なる目標があることを理解し、それぞれの個性を大切にする教育の成果だと感じています。本校は、進学一辺倒ではありません。多くの生徒が、入学してから6年間のうちに自分のやりたいことを見つけ、目標に向かって努力することを学びます。勉強や行事、友人や教師たちとのふれあいの中で、自分で夢を見つけていくのです。

    • 学園祭で生徒と一緒にサックスを演奏した亀山仁校長
      学園祭で生徒と一緒にサックスを演奏した亀山仁校長

     私は、学園祭で生徒と一緒にサックスを吹いたことがあるのですが、実は、まだそれほど上手だというわけではありません。私自身、何か新しいことに挑戦したいと考え、「サックスが吹けるようになりたい」という目標を立てて練習し、その成果を生徒たちに披露したのです。

     生徒たちにも、「これがやってみたい」と思ったら失敗を恐れずチャレンジしてほしい。うまくいかないことがあっても落ち込まず、仲間と一緒に解決策を見つければいい。それができる子供は、大人になって社会に出てもうまくいきます。鶴見大附属での学校生活を、自分を磨くための糧としてもらえればと思います。

     (文・写真:足立恵子 一部写真提供:鶴見大学附属中学校・高等学校)

     鶴見大学附属中学校・高等学校について さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年09月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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