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    「のびやかな自立した女性」目指して学校改革…北鎌倉

     北鎌倉女子学園中学校高等学校(神奈川県鎌倉市)は、お嬢様学校のイメージを脱却する大胆な学校改革を進めている。改革を進めているのは2017年度から新理事長に就任した藤崎一郎氏だ。主要国の駐在大使や大学教授を歴任した藤崎理事長は、グローバル社会についての見識をもとに、新たな教育目標を「のびやかな自立した女性の育成」と定めた。学習システムから校舎リニューアルにまで及ぶ改革ぶりを紹介する。

    あらゆる関係者から聞き取りして練り上げた改革

    • 主要国の駐在大使や大学教授を歴任した藤崎一郎理事長
      主要国の駐在大使や大学教授を歴任した藤崎一郎理事長

     藤崎理事長は外務省の出身で、駐米大使などさまざまな国の大使や公使を歴任した。その後は大学教授を務め、中学や高校で講演を行う中で外交官としての経験やグローバル化について話してきた。

     昨年、北鎌倉の理事長に就任し、最初の数か月で行ったのは「この学校はどうあるべきか」ということをあらゆる関係者から聞くことだったという。50人ほどの常勤教員全員と個別に面談したほか、非常勤教員や学校職員、保護者会や卒業生会のメンバーとの懇談会も行った。登下校時や昼食時には生徒にも話しかけて生の声を聞き、全生徒へのアンケートも行った。さらに学校周辺の商店街に足を運んで学校の印象を聞いたり、改革に成功した学校を自らいくつも訪問したりした。

     「その上で見えてきたことがある」と藤崎理事長は話す。「周囲を緑に囲まれた得難い環境や、生徒と教員の距離感が近い家庭的な雰囲気は、本校の素晴らしい財産です。ただ現代の学校として、時代の要請に応えきれていない部分もあると感じました」

     他校の改革例も研究しながら、今後あるべき学校の姿を理事長自ら構想し、その年の秋に「ジエシカ」の4文字をキーワードとする学校改革案を発表した。

    改革のキーワード「ジエシカ」とは

     「ジエシカ」は改革の方向性を示すキーワードの頭文字を並べたものだ。

     最初の「ジ」は「自主性の尊重」を表す。「『しつけが厳しく、生徒はおとなしい』という本校の校風は、かつては世の中に合っていたかも知れませんが、現在は女性がどんどん社会に出ていく時代。自ら考え、動き、成長する女性の育成が必要です」

     象徴的なのは校則の改定だ。アルバイトやテレビ出演などの禁止項目を、保護者の承認と学校への届け出を条件に許可することにした。

     制服も「新しい北鎌」をイメージして刷新する。ファッションデザイナーのコシノジュンコさんに依頼し、生徒の声も取り入れつつデザインを進めている。

     授業にも自主性を育てる方針を反映させる。進路選択の幅が広がるよう、さまざまな大学の試験問題を研究・分析して受験に役立つ授業内容を整備する。また、問題解決能力を育てるアクティブラーニング授業を強化するために、教員の研修も進める。さらに、1人1台のiPad使用や全館Wi-Fi化を基本としたICT(情報通信技術)環境の整備も進行中だ。

    • 宇宙飛行士の山崎直子さんを講師に招いての特別授業
      宇宙飛行士の山崎直子さんを講師に招いての特別授業
    • 若いネイティブの英語教員による授業
      若いネイティブの英語教員による授業

     このほか、宇宙飛行士の山崎直子さんや世界的オペラ歌手の森麻季さんらを学校の理事に迎えた。年に1度ほど講師に招いて特別授業を行い、各界の一線で活躍する女性の姿を知ってもらうという。

     「エ」は「英語教育の抜本的強化」だ。30代半ば以下の若いネイティブの英語教員を常勤として4人採用し、日本人教員とのチームティーチング体制を整備する。中学校の普通コースでは週6日間のうち3時間はチームティーチング、1時間はネイティブの教員による授業を行う。また高校では、英語による思考力と発信力を養成するためエッセーライティングの授業を強化していく。

     英語教育を強化する拠点として校内に「イングリッシュルーム」を新設した。「リトルアメリカ」とも呼んでいるこの部屋には、放課後にネイティブの教員が常駐し、訪れた生徒は、英語だけというルールでコミュニケーションできる。英語文化に親しむためのゲームや本などを置き、自習やディスカッション、面接練習などを行えるスペースも用意した。机や椅子は理事長自ら選定した。書棚の絵本やアメリカ風の小物などは、理事長の私物を持ち込んだという。また、この部屋を一番多く訪れた生徒を毎月表彰することとしている。

    • 英語教育を強化する拠点として新設した「イングリッシュルーム」
      英語教育を強化する拠点として新設した「イングリッシュルーム」

     「シ」は「施設・備品の一新」。新たな教育に対応した環境づくりだ。校舎の内装や教室の机・椅子などの設備を大幅にリニューアルする一方、音楽校舎の新規建設なども順次進める。さらに、敷地内にあった古い日本家屋「千草庵」を改装し、「日本文化センター」と位置付けて活用する。主に茶道や華道、書道、礼法などの稽古場にする予定だ。

     50周年記念館の一角を占める図書室も、自主学習の拠点として活用を進める。閉館時間を16時半から18時に延長し、夏休みなどにも開館するなど利用時間を拡大し、書架に置いていた使用頻度の少ない大型の図鑑や事典は受験関連の参考書などに入れ替え、実用的な空間にする。また、新しい司書の主導で蔵書の充実やおすすめ本コーナーのリニューアルも進めている。

     さらに同館内の和室は机と椅子の部屋に改装して「第二自習室」とする。「従来の自習スペースでは私語の禁止を徹底しますが、第二自習室は、リラックスした雰囲気で友達と教え合える場所にしたいと思っています。近くにドリンクの自販機も用意します」

     このほか、教員室を拡張し、教員と生徒が座って面談できるスペースを設ける予定だ。「もともと生徒は質問や生活相談などによくやって来ますが、もっと教員を活用できる環境を整えたい」

    • 高校生有志が英語ボランティアガイドを務める
      高校生有志が英語ボランティアガイドを務める

     最後の「カ」は「鎌倉に密着した体験学習」。「地元の鎌倉市は史跡や文化財が多く、海外からの観光客も多数訪れます。校外学習の対象だけでなく、人間教育、グローバル教育にも役立てたいと考えました」

     鶴岡八幡宮の宮司や円覚寺管長の講話を聞きに行ったり、高校生有志で円覚寺や八幡宮境内の英語ボランティアガイドを始めたりするという。

     「鶴岡八幡宮の宮司は本校の評議員にお迎えしました。鎌倉でどのような学びができるか、さまざまなご意見をいただきたいと考えています」

    理事長が自分で改革の基本路線を作る

     学校改革への取り組みは過去にも度々あったが、ここまで大規模に進むのは初めてだという。

     「過去にも改革は試みられましたが、テーマごとに委員会を作って何をすべきか議論していたため、あまり進みませんでした。今回はそんなことのないよう基本路線は私が責任を持って作りましたし、プロジェクトごとに実施チームと責任者を決め、全教員に逐一説明する仕組みにしました。大胆な改革なので保護者会や卒業生からの反発も覚悟しましたが、むしろ『もっと早くやるべきだった』との声もあり、背中を押していただいています」

     学校内外で行われる学校説明会などの機会には、藤崎理事長自ら改革について語っている。その際、ネイティブの教員によるゲームや星占いなどのレクリエーションも交え、楽しさや自由な雰囲気もアピールしている。

     創立80周年の2020年までに、すべての改革やリニューアルを完了させる予定だ。「自由で、のびやかで、国際性豊か。明るく楽しい学校に生まれ変わりつつあります。ぜひ、多くの生徒に来ていただきたい」と藤崎理事長は力を込めた。

     (文・写真:上田大朗 一部写真提供:北鎌倉女子学園中学校高等学校)

    北鎌倉女子学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年09月04日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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