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    イエズス会姉妹校の輪で広がる国際交流…六甲学院

     イエズス会のミッションスクールである六甲学院中学校・高等学校(神戸市)は5月1日、フランスから修学旅行に来た姉妹校の生徒たちを迎えた。同校からもアメリカやインドの姉妹校への訪問を続けており、イエズス会の学校同士というネットワークを生かした独自の国際交流が展開されている。当日の交流の様子や、国際教育の取り組みについて紹介する。

    修学旅行でフランスの姉妹校から訪問

    • ニューヨークの姉妹校を訪問した高校1、2年生
      ニューヨークの姉妹校を訪問した高校1、2年生

     六甲学院の校舎は神戸の街並みと瀬戸内海を見渡す六甲山の麓の高台に立っている。1937年に創立されたイエズス会のミッションスクールであり、現在の校舎は創立75周年を記念して2012年に建て替えられたものだ。兵庫県の名門進学校として知られ、生徒の約半数が現役で国公立大学に進学する。18年春には国公立大の医学部医学科に22人が進学している。

     イエズス会の学校は世界各地にあり、国内では、上智大学、栄光学園、広島学院などが知られる。5月1日、六甲学院を訪れたのは仏マルセイユのエコール・ド・プロバンス校の生徒たちで、同校もイエズス会の学校だ。

    • 国際交流教育に携わってきた教頭の井坂保彦教諭
      国際交流教育に携わってきた教頭の井坂保彦教諭

     井坂保彦教頭によると、今回訪れた生徒たちは日本の高校にあたるリセの最終学年の32人。修学旅行先として日本の関西地区を選び、神戸に姉妹校の六甲学院があることを知って訪問を決めたという。

     迎える六甲学院も高校2年の4クラスから有志を各クラス8人、計32人選出し、フランスの生徒たちと1対1のペアを作って学校を案内した。井坂教頭は「この形式は、ニューヨーク研修で姉妹校を訪問した際に体験し、今回迎える立場になって大いに参考にしました」と説明する。

    クラスで一緒に英語の授業を体験

    • エコール・ド・プロバンス校の生徒を迎えてのグループディスカッション
      エコール・ド・プロバンス校の生徒を迎えてのグループディスカッション

     フランスの生徒たちはこの日、8人ずつ4クラスに分かれて英語の授業に参加した。六甲学院の生徒が、パワーポイントで資料を見せながら英語で学校紹介や日本語の特徴についてプレゼンテーションを行った。教室の周りでは、エコール・ド・プロバンス校の引率の先生が数人見学しているし、取材記者も来た。さすがに緊張して「僕は英語が苦手ですから」と弁解していたが、説明ぶりは丁寧だった。

     生徒が最後に質問を募ると、哲学を教えているバレリー・デュファイエ教諭が「好きな作家は誰ですか」と聞いた。生徒が少し考えた後「ミスター・ニシノ」と答えると、教室の生徒たちの顔に微笑(ほほえ)みが浮かんだ。さらに国語科の西野宏志教諭であることを説明すると、引率の先生たちも笑顔を見せ、納得の様子だった。

     英語科の鈴木史歩教諭によると、プレゼンテーションの人選は、英語能力ではなく、交流の機会を前向きに生かせることを重視したという。確かにネイティブのような流暢(りゅうちょう)な英語ではなかったが、分かりやすいプレゼンテーションだったし、なにより歓迎の気持ちとユーモアにあふれていた。

     プレゼンテーションの後はグループごとのディスカッションになった。生徒たちは「スポーツは何かしているの」「クラブ活動は」「どんな音楽が好き」といった質問や、アニメやゲームなどの話題を入り口に、共通の知識や情報を探り当て、話題を広げていった。

     「伝えたいことがあるのに、適切な表現がすぐに出てこなくてもどかしい」という感想もあったが、食堂で昼食をともにし、午後の授業までの時間を一緒にグラウンドで遊ぶうちに、すっかり打ち解け合って楽しんでいるのがよく分かった。

    春休みにはニューヨークの姉妹校を訪問

     六甲学院は、アメリカとインドの姉妹校とも交流を深め、国際理解を深めるプログラムを定期的に行なっている。

     毎年、春休みに実施する「ニューヨーク研修」は、アメリカのニューヨークとボストン訪ねる11日間の研修旅行だ。2012年にスタートし、この3月に6回目を数えた。

     ニューヨークには、日本の高校にあたる「フォーダム・プレパラトリー・スクール」や「クリスト・レイ・ニューヨーク高校」などの姉妹校があり、現地の高校生と一緒に授業を受けて交流する。姉妹校のフォーダム大学だけでなく、マサチューセッツ州の学園都市ケンブリッジにハーバード大学やマサチューセッツ工科大学を訪問したり、学問の世界や経済界で活躍しているアメリカ在住の卒業生を訪ね、職場を見学させてもらったりもする。また、ブロードウェーでミュージカルを観劇するなどニューヨークで異文化体験もする。

     今年の参加者は18人だった。この研修は英語力の短期的な向上でなく、リーダー育成を目的としていることから、多数の希望者の中から英語能力ではなく、それまでの学校生活の中でのリーダー経験や研修への意気込みで選抜するという。 

     参加した生徒は「自分が主役になるという意識の有無が、日本の生徒との大きな違い」と感じたという。また、他の生徒は、マンハッタンの街が一望できるオフィスに卒業生を訪ねて聞いた話から「自分から積極的にさまざまな機会を逃さず有効活用したいと強く思った」と感想を話していた。

    2年に1回、インドの姉妹校を訪問

    • インドの「ダミアン社会福祉センター」を隔年で訪問し、交流を深めている
      インドの「ダミアン社会福祉センター」を隔年で訪問し、交流を深めている

     隔年で夏休みに実施している「インド訪問」と呼ぶ研修は1985年に始まり、この夏11回を数えた。「インド訪問」も参加希望者が多いため、毎回選抜になるという。高校1、2年生を対象に、参加動機を記した日本語作文と英文での自己紹介文、面接によって約20人が選ばれる。

     今年はコルカタにある姉妹校の聖ローレンス学院を訪問し、現地の同世代の生徒と交流した。六甲学院の生徒は剣道の素振りを披露するなどして日本文化を紹介したり、サッカーを一緒に楽しんだりした。

     また、コルカタから電車で3時間ほどのダンバードという町にある福祉施設「ダミアン社会福祉センター」も訪問した。ハンセン病の親を持つ困窮児童・生徒のための施設で、生徒たちはハンセン病の人を見舞い、福祉施設で共同生活を送っている子どもたちと交流した。

     六甲学院の生徒たちは1977年以来、毎月募金をし、この福祉施設へ寄付している。「インド訪問」は、生徒の代表として自分たちの募金がどのように役立っているかを見に行き、帰国後、他の生徒たちと共有することも目的としている。

     現在、グローバル教育が花盛りだが、せっかく生きた英語に触れたり、異文化を体験したりしても短期的なモチベーションの向上だけに終わる恐れもある。その点、世界に広がるイエズス会姉妹校のネットワークを生かせる点で、六甲学院の国際交流には深さと広がりが期待できる。大きなメリットと言えそうだ。

     (文・写真:水崎真智子 写真提供:六甲学院中学校・高等学校)

     

     六甲学院中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年10月03日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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