文字サイズ
    中学受験サポートに協賛する会員校の特色や、会員校からのお知らせなどを掲載しています。

    世界に貢献できる科学的思考力を持つ女性を育てる…大妻嵐山

    • 六つの駅からスクールバスが出ていて、アクセスもいい
      六つの駅からスクールバスが出ていて、アクセスもいい

     (こく)(ちょう)オオムラサキが飛ぶ自然豊かな地にある大妻嵐山中学校・高等学校(埼玉県嵐山町)は、プログラミングを入試に導入し、中学3年全員が科学論文を書くなど、科学的に物を考える力を育んでいる。真下峯子校長の「学ばない人からは、人は学ばない」という哲学の下、教員の意識改革や公開授業研究会で、授業を進化させている。同校が取り組んでいる教育について真下校長に聞いた。

    人型ロボット、ペッパーのプログラミングを中学生が作成中

     「今、技術の時間にペッパーのプログラミングを中学生がやっています。自分でドローンを飛ばしたり、ロボットを作って動かしたりできるようになることを目指しています」と真下校長。

    • 「学ばない人からは、人は学ばない」と話す真下校長
      「学ばない人からは、人は学ばない」と話す真下校長

     米マサチューセッツ工科大学のメディアラボが開発したアプリ「スクラッチ」は、プログラミング言語を使わずに、「歩く」「跳ぶ」など簡単な命令が「ブロック」の形に視覚化されていて、この「ブロック」をコンピューター画面上で組み合わせれば、中学生でも簡単にプログラミングができるという。

     「プログラミングは、段取りを示して、段取り通りにやりなさい、と指示することです。段取りを考えて進める力は、将来大人になって仕事をするときにも役に立ちます。こうした力を持つ生徒に入学してもらおうと、本校では2017年度入試から『ORみらい力入試』を始め、プログラミングとプレゼンテーションを取り入れています」

     これまで2回の「ORみらい力入試」を実施し、プログラミングした曲を披露した受験生や、自分の考えを論理立ててプレゼンテーションした受験生らが合格したという。

     「英語が非常にできるとか、プログラミングができるとか、そういった金平糖のとんがった部分のようなものを持った生徒に入学してほしいのです。すると、生徒たちはそのとんがりを尊敬して、私もああなりたいと思う。自分の中のコンテンツを増やしていけるのです」

    教員全員で研究開発してきたアクティブラーニング型授業

     真下校長は埼玉の県立高校で生物の教師として36年間教鞭(きょうべん)を執り、教員を教える立場にも立って、県内の教育をリードしてきた。退学になりかけた生徒に寄り添って無事に卒業させた熱血先生だが、「先生の授業を録音させてください」と生徒に言われるほどの授業力を持つカリスマ先生でもある。

     「県立にいるときから、待ちの学習者から自立した学習者に生徒を変えていかなければならないと思ってきました。『馬を水辺に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない』というヨーロッパのことわざがありますが、水辺まで生徒を連れていくのが教師の仕事です。教師が直接教えてあげられることは、学ぶべきことのほんの一部で、残りは生徒が自分で取りに行かなくてはなりません。生徒が変わるためには、教師自身が学ぶ姿勢を持つことが必要です。『学ばない人からは、人は学ばない』のです」

     同校の教員たちは、立教大学の中原淳教授や河合文化教育研究所の成田秀夫氏のほか全国の中学や高校で卓越した指導力を持つ先生たちと共に、それぞれ工夫して授業の開発を進めてきた。昨年には公開授業研究会を開催し、170人が参観したという。

     「学び合い、アクティブラーニングを取り入れた授業に変えていく、そのための研究会です。職員会議でも先生たちに議論して考えてもらう取り組みをしています」

     こうした取り組みで、教員にも生徒にも変化が生まれた。若手教員らによる提案が取り入れられ、生徒が模擬国連練習会に参加するなど、教員も生徒たちも新しいことにチャレンジし、世界へ目を向けるようになってきた。

     「台湾からの留学生の歓迎会で、本校で学ぶ台湾からの帰国子女の生徒が、台湾語で堂々とウェルカムスピーチをしました。立派でしたね」

     サイエンス部が研究する「ウミホタルの発光条件」が埼玉県理科教育研究発表会で最優秀賞を受賞したときも、大学教授の質問に生徒が臆することなく答えたという。

    科学的・論理的思考と英語で最強女子になれる

     同校は「世界につながる科学する心、表現する力を育てる」を目標に掲げている。

     中1ではオオムラサキを飼育して研究、中3では理化学研究所を見学、全員が科学論文を書き上げ、発表する。高校生ではウニの受精の瞬間から幼生、稚ウニへと変態する過程を観察する。実験や観察を多く取り入れ、リポートを書かせることで、科学的思考力を育んでいる。

    • サイエンス発表会でオオムラサキの研究結果を発表する生徒たち
      サイエンス発表会でオオムラサキの研究結果を発表する生徒たち

     同時に、つくば言語技術教育研究所と連携して論理的思考力を育て、スカイプによるネイティブスピーカーとの英会話や英語劇で読む・聞く・書く・話すの英語4技能もバランスよく力を付けている。

     「順序立てて考え、仮説通りにいかなかったら検証していく、そういった科学的な力は大学受験だけでなく、人生の可能性を倍に広げます。理系分野に進まなくても、論理的、科学的な思考を経験していれば強いのです。そういった科学する心が世界につながると、世界へ出て行けるのです。英語は道具です。英語ができると世界が広がりますが、それで何を伝えるのか、コンテンツをいかに蓄積させるかが大事なのです。英語と科学とプログラミングができれば、最強女子になれると生徒たちに伝えています」

    世界へ貢献する心を育む

     中学1年から国際理解の授業を行っている。2年前には開発途上国の女性の支援活動をしている池上清子氏の講演で、アフリカの少女たちが低年齢出産を強いられ人身売買被害に遭っている現状を話してもらった。

     「自分と同じ世代の子がどんな人生を送っているのか。知って、考えて、行動しようと生徒たちに伝えてきました。すると、国連サミットで採択された『持続可能な開発目標』(SDGs)に向けて、生徒たちも行動し始めたのです」

    • カンボジア研修で小学生たちに音楽を教える生徒
      カンボジア研修で小学生たちに音楽を教える生徒

     高校生徒会の執行部の生徒たちは途上国の少女たちに向けた支援を考え、これを受けて昨年から始まったのが、カンボジア研修だ。生徒が現地でボランティアや小学生との交流をしている。今年の入学式でも、生徒代表の言葉にSDGsの達成へ取り組む決意があった。

     「世界中が幸せになるために、世界中の女の子が苦しくない人生を送るために、そのために学ぶ。それは大妻学院の創立者、大妻コタカの『学芸を修めて人類のために』という理念に通じているのです」

     オオムラサキが飛ぶ自然豊かな地から、世界へ目を向けて、活動し、学んでいる生徒たち。真下校長の情熱が生徒たちを行動する学習者に変えてきている。

     子供がやる気がないと嘆く親は多い。子供に勉強しなさいといいながら、親が学んでいなければ子供も学ばないのだ。「やる気スイッチ」は、親や教師など周りの大人の姿勢にあるのだ、ということを真下校長から学んだ。大妻嵐山には、「やる気スイッチ」があふれている。(文・写真:小山美香 一部写真:大妻嵐山中学校・高等学校提供)

     大妻嵐山中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年07月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP
    スクールヨミダス