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    米国の「Science Olympiad」に出場…栄光学園

    • 「科学の甲子園 全国大会」で優勝が決まる
      「科学の甲子園 全国大会」で優勝が決まる

     栄光学園中学高等学校(神奈川県鎌倉市)の有志生徒8人によるチームが3月、さいたま市のソニックシティで開催された「第7回科学の甲子園全国大会」で優勝し、米国コロラド州立大学で5月に開催された「Science Olympiad 2018」に日本代表として派遣された。その貴重な経験を共有するため、7月9日、同校で行われた報告会をリポートする。

    先輩の経験を受け継いでついに優勝

    • 小講堂で行われた報告会
      小講堂で行われた報告会

     「科学の甲子園」(科学技術振興機構主催)は、高校生がチームで理科・数学・情報分野の知識や技能を競う大会だ。2018年の第7回大会には、過去最多698校の8725人が出場し、都道府県を代表して47校の361人が本大会に参加した。

     栄光学園は第1回大会から毎年、神奈川県予選を勝ち抜き、全国大会に7回連続出場している強豪校。これまで先輩たちが出場するたびに反省を加え、後輩たちが受け継いできた蓄積によって今回、初優勝を飾ることができた。

     県大会に出場する前に、まず校内選抜がある。前年参加した上級生が、校内選抜の実務運営や予想問題の作成を担当する。選抜されたメンバーは大会までの準備期間に、優勝を目指す上で欠かせない傾向や対策などについて、経験者からアドバイスを受ける。

     今回、全国大会に出場したのはキャプテンの千吉良洋介君、田中匠君、大嶋俊之君、大島啓吾君、狩野友博君、吉開泰裕君(以上高3)、竹中涼君、永野寛君(以上高2)の8人だ。競技内容は6分野12問の筆記競技と、物理分野・生物分野・工作の三つの実技競技があり、メンバーそれぞれが異なる得意分野を生かしながらチームワークで頂点に挑んだ。

    • 顧問で理科主任の塚本英雄教諭
      顧問で理科主任の塚本英雄教諭

     大会に出場する意義について顧問で理科主任の塚本英雄教諭は「理科系の大会で団体競技は珍しく、協調性を養う良い機会だと捉えています。また、筆記に加え、実験や工作を含めた総合力が試されるため、本校の理科教育の目標とも合致していました」と話す。

     報告会は、同校の小講堂で行われた。当日は定期考査の最終日だったので、約200席の半分以上が生徒たちで埋まった。中学生の参加がとりわけ多く、大会への関心の高さがうかがえた。

     プレゼンテーションはメンバーの1人、田中君が代表して務めた。まず「科学の甲子園」の概要を説明し、次に各競技の内容と結果を紹介した。

     全国大会での成績は、筆記競技で1位、物理分野の実技競技で2位。生物分野の実技競技でも上位に食い込んだ。さらに「はばたけ!コバトン」と題した工作分野のワイヤレス給電はばたき機レースでは、予選上位8校による決勝レースで3位に入り、見事総合優勝に輝いた。成績が発表されるたび、会場の生徒たちからは歓声が上がった。

     田中君は、全国大会に参加した感想を「準備期間も含めて自然科学の知識と技能を深めることができ、それをアウトプットする場を得たことで、さらに成長できました。また、全国の理科好きな人たちと交流もできました。いろいろな知識、個性を持った人がいることを知り、刺激を得たことも有意義だったと思います」と話した。

    日本代表としてアメリカで競技に挑戦

    • 「Science Olympiad 2018」の会場
      「Science Olympiad 2018」の会場

     全国大会で優勝したチームはアメリカで開催される「Science Olympiad」に派遣される。この大会は、アメリカの50州から中学校60校、高校60校の生徒が集い、化学、物理学、生物学、地質学など23種目の競技を1日で競う科学のオリンピックだ。

     栄光学園チームは全国大会終了後、2か月弱の準備期間を経て、2018年大会の会場となったコロラド州立大学に向けて旅立った。その行程などについて引き続き、田中君が報告した。

     1日目は成田空港から約10時間のフライトの後、現地のプラネタリウムを見学。「ショーアップされた内容のプラネタリウムは初めて見ました。小さい子供たちの反応がとてもよかったので、発信の仕方は重要だなと感じました」と印象を話した。

     2日目はデンバー自然科学博物館を見学し、コロラド州立大学の学生寮を訪問。3日目は大学のキャンパスツアーに参加し、その後、開会式と参加者同士でグッズ交換を行う「Swap Meet」に参加した。「開会式はドライアイスがたかれ、ライブ会場のような盛り上がりで文化の違いを感じました。私たちは法被を着てパフォーマンスしました。Swap Meetでは、日本からの参加とあって、多くのアメリカ人生徒が集まってくれました」

     栄光学園チームは、今回、「Global Ambassador Team from Japan」として21競技のうち4競技に出場した。競技の具体的説明は田中君に代わって各競技に出場したメンバーが行った。

     事件現場に残された物的証拠を分析して犯人を特定する「Forensics(科学捜査)」の競技では、「座学では対応しきれない競技で、50分の制限時間内に指紋や血液、DNAなどを鑑定するには実験の手際が必要」とし、「競技内容の詳細を調べて臨む必要がある」と感想を話した。

     物理学者のエンリコ・フェルミにちなみ、実際に測定するのが難しい量を論理的に概算する「Fermi Questions(フェルミの問題)」では、「クッキー何個でグランドキャニオンを埋められるかなど、アメリカのローカルな常識を必要とする問題が多く、苦戦しました」と話した。

     「Scratch(スクラッチ)」というプログラムを使ってゲームを作成する「Game On」では、「アイデア出しから開発、デバッグまで50分という時間の配分に頭を悩ませた」とし、「時間内で作りやすいゲームを意識すべきだった」と反省していた。

    • 授賞式に臨む生徒たち(米・コロラド州立大で)
      授賞式に臨む生徒たち(米・コロラド州立大で)

     1人がオブジェを見て組み立てるための指示書を書き、それに基づいてもう1人がそのオブジェを構築していく「Write It Do It.」に出場した大嶋君は、「見慣れない材料、複雑な(ひも)の取り回しを説明するのに苦労しましたが、練習通り正確に、かつ細部にこだわりすぎないことを心がけました」と話した。自分なりに感じた手応え通り、総合順位も20位と健闘した。

     各競技の説明を引き取って田中君は「文化の違いや競技経験の差がハンデになり、全体的に上位は遠かったです」としながら、「国際性を高める刺激的な体験だった」「また、こういう場に参加したい」「日本の普通が世界の普通ではない」といったメンバーの感想を紹介。「環境が異なる海外の競技を経験して、普段からもっと視野を広く持つことが重要だと思いました」と、「Science Olympiad 」への挑戦体験をまとめた。

     最後に「『はばたけ!コバトン』のアイデアを実現するため、主催者と交渉してくれた塚本先生のサポートがなければ科学の甲子園の優勝はありませんでした」と、顧問の先生への感謝の言葉でプレゼンテーションを締めくくった。

    次の挑戦へ向けて早くも始動

     報告会の後、話を聞いた3人のメンバーは、それぞれに今後の活動について語ってくれた。

     田中君は「先日、日本地学オリンピックで優勝し、タイで行われる国際地学オリンピックに出場することが決まっています。良い成績を残すため準備を進めています」という。大嶋君は「『Science Olympiad』で英語力の必要性を痛感しました。夏休みにアジアサイエンスキャンプに出場することもあり、あらためて真剣に学ぼうと思っています。こちらは28か国から高校生が集まるので楽しみです」と。永野君は「数学の広中杯や数学オリンピックに出場したとき以上に、交友の輪が広がりました。愛知代表の1人とは一緒に国際数学オリンピックに出場しようと約束しました」と話した。

     今回、「科学の甲子園」全国大会で優勝したメンバーだけでなく、栄光学園の生徒たちは学外のさまざまな大会に挑戦し、成果を上げている。普段の勉強にとどまらず、実験や工作で手を動かし、その結果を考察、発表する学力が、彼らの将来に花を開かせることだろう。

    (文・写真:山口俊成 一部写真提供:栄光学園中学高等学校)

     栄光学園中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年09月12日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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