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    堅実な学びを重ねて「自立した女性」へ…江戸川女子

     江戸川女子中学校・高等学校(東京都江戸川区)は、87年の歴史を通して「教養ある堅実な女性」を建学の精神としながらも、時代の求めに柔軟に応じた教育を実践してきた。グローバル化に対しても、日本を知ることと国語教育を踏まえたうえで、実践的な英語教育を重ねるという独特の取り組みをしている。「自立した女性」の育成を目指す木内英仁校長に、同校の教育の特色を聞いた。

    日本をよく知ってから、世界に出ていく

    • ヨーロッパ風にデザインされた校舎
      ヨーロッパ風にデザインされた校舎

     「本校は創立時から堅実さを大切にしてきました。女性だからこそ、堅実さを身に付けて自立してほしい。勉強だけでなく、情緒的にも人間として成長すること、それが自立した女性になるために必要なことです」と木内校長は熱を込めて話した。

     同校は1931年に家政を学ぶ女学校として設立され、87年の歴史の中で「教養ある堅実な女性」の育成を一貫して掲げてきた。その一方、時代の要請に合わせて柔軟にその教育を変化させており、現在、重点的に取り組んでいるのは、やはりグローバル化への対応だ。

    • 「堅実さを身に付けて自立した女性になってほしい」と語る木内校長
      「堅実さを身に付けて自立した女性になってほしい」と語る木内校長

     「本校にも帰国生は多く、個性豊かで多様な生徒が集まっています。お互いの個性を尊重しながら学校生活をしていく中で、リーダーシップ、自主性、協調性を身に付けていってほしい」

     グローバル時代への対応を図る中で、「堅実さ」を重んじる同校が重要視しているのは、自らの足元である日本への理解を深めることだという。

     木内校長は、「現代のグローバル社会では、海外の人と話すときに、自国の文化や歴史を話せることが重要になってきます。中学では日本を知ることを重視し、高校では全員が海外体験をするなどのグローバル教育を行っています」と話す。

     日本を知るために中学では、特別活動として全員が茶道、華道、筝曲(そうきょく)を学び、校外学習では両国(東京)、鎌倉(神奈川)、京都、奈良などを訪れたり、農業体験をしたりして、日本についての学びを深めている。

    • カナダ修学旅行では、全員がホームステイを経験する
      カナダ修学旅行では、全員がホームステイを経験する

     高校ではその学びを発信する場として、多くの海外体験が用意されている。中学からの入学生は5年(高2)で「普通科」と「英語科」に分かれた後、「普通科」は5年次にカナダ修学旅行に出かける。全員がホームステイを経験し、現地の人とコミュニケーションを交わす。

     「英語科」は、アメリカ、イギリス、フィリピン、ニュージーランドでの語学研修を8~10週にわたって実施する。1年間の留学も可能だ。「英語科」は常にクラスの誰かが留学している状態なので、全員が(そろ)うことが少ないほどだという。

    スピーキング力を軸に英語4技能を鍛える

     高校で用意される豊富な海外体験を十分、消化できるように、英語の学習は中学のうちから徹底的に行われる。

     教科書は検定教科書よりも語彙(ごい)が多く、内容も豊富な「プログレス21」(エデック刊)を使用している。生徒たちが英語でプレゼンテーションをして、スピーキング力を高める「イングリッシュフェスティバル」を開催したり、4年(高1)からは全員がタブレットを使用し、フィリピン人講師とマンツーマンでオンライン英会話の授業を受けたりしている。

     「2020年の大学入試改革では英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)が必要と言われていますが、スピーキングが一番弱いのが現状です。本校では、こうした取り組みでスピーキングを強化しています」

     実用英語技能検定(英検)取得への取り組みも盛んだ。中3での目標は準2級取得で、昨年度は生徒の81%が取得しているという。中には中3で2級を取得する生徒や、高校で1級を取得する生徒もいるそうだ。

    コミュニケーションの基礎となる国語力を強化

     日本の文化や歴史について発信できるようになるには、英語力を強化するだけでなく、思考の基礎となる国語力が欠かせない。特に外国人とのコミュニケーションで共通の基礎となる論理的思考力は重要だ。

     「論理的思考力を養成するため、本校は中学の国語の1時間を『論理』という教科名の授業にあてています。テキストは出口(ひろし)さんが開発した『論理エンジン』です。それまでフィーリングで考えていた国語に、きちんと考え方の筋道があることを、生徒たちに気付かせることが狙いです」

     授業で学ぶ論理的思考力は、ビブリオバトルやディベート大会で実際に試される。ビブリオバトルとは、自分の薦める本をプレゼンテーションし合い、読みたくなった本(チャンプ本)を決定する知的書評合戦だ。ロングホームルームの時間に、クラスを5、6人のグループに分け、6週間かけてグループのチャンプ本を決めるクラス予選を行う。その後、クラス決勝、学年決勝へと進んでいく。

     「クラス予選では、まず全員がクラスメートの前で自分の気に入った本について熱弁を振るいます。これだけでもかなり盛り上がりますが、クラス決勝以後は、最初のプレゼンテーションの反省に基づいていろんな工夫を凝らしてきますから、学年決勝になるとかなり白熱します。良い経験になります」

     同様に白熱するのがディベート大会だ。始めに例題を示し、学年全員でディベートの流れを学習し、その年の題目を決める。「救急車の利用を有料化すべきである」「中学生以下のスマホ・携帯電話の使用を禁止すべきである」など、例年、身の回りの難しい問題が取り上げられている。

     ディベートではまず、4、5人の班を作り、題目を是とするか否とするか、立論・反駁(はんばく)・質疑などの役割を抽選で決める。事前準備の期間に自宅や学校のパソコンなどで十分に調べ、引用する参考資料を用意して試合に臨む。判定はディベートをする班員以外の生徒全員で行い、勝敗を決めるという。

     このほか、国語教育では古典の学習にオリジナルのテキストを導入して、指導している。

    • 体系的に古文・漢文を学ぶオリジナルの古典必携テキスト
      体系的に古文・漢文を学ぶオリジナルの古典必携テキスト

     「普通の文法書では、原文の隣に口語訳が付いているので、生徒はそれを読んで分かったような気になってしまいます。そこで口語訳は載せずに、自分で考えなければならないようにしたのが本校のオリジナルテキストです。3年から6年(高3)まで古文・漢文をオリジナルテキストで学びます」

     古文・漢文も意味を知るだけでなく、英語のように文法や語法を考えさせられるため、このテキストを使用することによって、古典の文法知識が定着する割合が高まったという。

    65分授業で効率的に先取り学習

     同校では、紹介した英語や国語だけでなく、数学、理科でも中学3年から高校の内容を学ぶ先取り学習をしている。6年間をトータルにとらえて大学入試に臨むためだ。

     この先取り学習を効率的に進めるために1994年から導入しているのが、「65分授業」だ。「一般的な50分授業と違って、理科の実験やアクティブラーニング型授業の発表などに余裕を持って時間を費やせるほか、英語・数学・国語の高度な内容も65分だから消化できるのです」

     授業は1日5コマ・週6日制だ。授業の時間をしっかり確保できるので課外講習が減り、その分、部活動も充実しているという。この学習環境を生かして、勉強にも部活にも全力投球した生徒、生徒会活動に熱中した生徒、塾に通わずに学校の指導だけで医学部へ進学した生徒がたくさんいる。

     みな、堅実にコツコツと取り組むことで、夢をかなえていったそうだ。江戸川女子の伝統である「堅実さ」の徳に、時代が求める新しい教養が加わることで、生徒たちは「自立した女性」に近付いていく。

    (文・写真:小山美香 一部写真提供:江戸川女子中学校・高等学校)

     江戸川女子中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年08月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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