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    建学100年の伝統 折れない心を育む…履正社

     履正社学園豊中中学校・履正社高等学校(大阪府豊中市)は、前身の学校創立から、間もなく100年を迎える。建学の精神を受け継ぎ、生徒たちは折れない心を育みながら、厳しい学習プログラムに取り組み、地域社会への温かいまなざしを身に付けていく。昨春、開放的なデザインの新校舎も完成した。同校の教育方針などについて小森重喜校長にインタビューした。

    ゆとり空間の新校舎 伸び伸びと能力を発揮

    • 教育方針などについて語る小森重喜校長
      教育方針などについて語る小森重喜校長

     昨年4月、4階建ての新校舎が完成した。白を基調としたクラシックなデザインで、周囲の木々の緑に映える。昨年9月には人工芝を敷き詰めた新しいグラウンドもできた。

     「校舎というと、これまでは東西に延びる長方形のつくりが一般的でした。ぎちぎちと詰め込み、効率性を優先したものです。しかし、履正社の新校舎は真上から見ると真四角で、新しい発想で造られました」と小森校長は話す。


    • 天井から日差しが降り注ぐ、明るく開放的な新校舎
      天井から日差しが降り注ぐ、明るく開放的な新校舎

     500人収容の講堂「釜谷記念ホール」や、90席の自習スペースのある図書館などを、生徒たちが交流しやすいように廊下がぐるりと囲み、窓の大きな開放的な教室が並んでいる。食堂にはオープンテラス席もある。デザインしたのは、JR大阪駅前の複合商業施設「グランフロント大阪」を手がけた設計事務所だという。

     「特に大切にしたのは空間です。天井は高く、ガラス張りの吹き抜けがあり、中庭など遊びも設けられている。そんなゆったりとした環境の中で毎日学ぶことで、生徒たちが自分の能力を伸び伸びと発揮してほしい」と期待を込める。


    大阪北部地震の朝、小学生に寄り添った生徒たち

     1922年に前身の大阪府福島商業学校が創立して以来、間もなく100年を迎える。現在の履正社高等学校に校名が変わったのは1983年。その2年後の85年に、履正社学園豊中中学校が開校した。

     「戦時中に空襲で丸焼けになり、焼け野原から再出発して、現在の文武両道の進学校にたどり着きました。しかし、創設者の釜谷善蔵先生が説かれた建学の精神は、今も変わっていません」と大阪でも有数の伝統を振り返る。

    • 建学以来の「履正不畏」など三つの校訓(新校舎の釜谷記念ホールで)
      建学以来の「履正不畏」など三つの校訓(新校舎の釜谷記念ホールで)

     履正社には三つの校訓が受け継がれている。勉学に励み、国家や社会に貢献する「勤労愛好」。初心に帰り、親や恩師への感謝を忘れない「報本反始」。そして、現在の校名の由来となっている「履正不畏」は、自分が正しいと信じたら、何も(おそ)れず進んでいく生き方を諭す教えだという。

     「知・徳・体」の中でも、とりわけ重視しているのは徳育だ。人間形成のうえで大切な中学・高校生の時期に、学校としてもきちんとしつけるべきだとして、日々の生活指導は非常に厳しくしているという。

     「どんなに勉強やスポーツができても、礼儀を知らず、人格が備わっていなければ社会で評価されません。例えば雨の日、歩いてきた人と傘が当たって、先に『すみません』と自分から謝らなかったら、見つけ次第指導します。登下校のマナーが悪く、苦情が寄せられたら、朝礼で『こんなことがありました』と担任の先生方を通じて生徒たちにも伝え、みんなで反省させます」

     そうした人間教育の中で、生徒たちは学校やコミュニティーで相手を思いやり、どう行動するべきかを学んでいく。

     小森校長が目を細めながら語った最近のエピソードがある。今年6月18日、震度6弱の大阪北部地震がちょうど朝の登校時に発生した。恐怖でパニックになった小学生に気付いた生徒たちが、寄り添って学校まで送り届けたという。また、7月の西日本豪雨のときには、「ゴミ置き場の生ゴミなどが散乱しているのを、朝、通りかかった何人もの生徒たちが、雨の中、率先してきれいに片づけました」

     「小学校の教頭先生や近所の方から、おほめの言葉をいただきました。良いことも悪いことも、自分の行いは世間の人がいつも見ている。将来、家族を持ったら、自分の子供たちに見られていることを自覚してほしいのです」

    放課後に100分講座 きめ細かい個別教育も

     履正社豊中中学校は、内部進学せず他の難関高校を目指す「3カ年独立コース」、履正社高校へ進む中高一貫「6カ年特進コース」に分かれる。いずれのコースも志望校合格を目指し、学習面でも厳しい指導を行う。指導の二つの柱は毎朝15分の「早朝テスト」と、通常授業後の100分間の「放課後進学講座」だ。

     「早朝テスト」では漢字や英単語、計算力などをチェックし、間違えた問題は反復して身に付ける。「放課後進学講座」は、その日の授業の復習を中心に行われる。徹底的に繰り返すことで基礎学力を固め、応用力につなげていくという。

     「放課後の講座を終えて生徒たちが帰るのは、平日だと夕方5時過ぎです。普通のことをやっていても、子供たちの能力を伸ばすことはできません。だから毎日これだけ長い学習時間を設けているのです」

     「3カ年独立コース」では厳しい全体教育に加えて、中学2年から生徒を三つの習熟度別クラスに分けて、きめ細かい個別教育にも力を入れる。

     「早朝テストで落第点だったり、授業で分からない生徒がいたりしたら、教師が声をかけて、その日の昼休みに、あるいは放課後に残ってでも解決します。1週間後では忘れてしまう。『その日のうちに』が大切です。その日、家に帰って、『ああ、あそこで間違えたんだ』と本人が分かるようにするのです」

     生活・学習面で徹底した同校の指導の厳しさは地元でも知られ、「うちを志望する子たちは、『あそこは厳しいけど、耐えていけますか』と学校や塾の先生方に念を押されるようです」とも明かす。

    一家でファンも 兄弟姉妹で通学は2割

     しかし一方で、その教育方針に賛同して履正社ファンとなり、きょうだいそろって同校に入学する家庭も少なくない。中学・高校合わせた在校生のうち、兄弟姉妹の割合は約2割に上るという。

     「履正社で学ぶ兄や姉を見て、『下の子も入れたい』と保護者の方々に思っていただいている。この学校なら厳しくしつけてくれて、安心して通わせることができる。子供の持っている資質を磨いて、開花させてくれる、という信頼や期待感があるのでしょう」と小森校長は自負する。

     勉強と生活のメリハリをつけるため、中学では13の運動・文化系のクラブ活動のほか、多彩な学校行事も用意されている。宝塚歌劇や落語など毎年ジャンルを変えて鑑賞する「感動の教育」、地域の人たちも参加して行われる毎年恒例の天体観測会「スターウォッチング」などユニークな催しも目立つ。

     最後に小森校長が強調したのは、履正社の教育方針の一つである「リベンジの教育」だ。いつも生徒たちには、次のように語りかけているという。

     「1回失敗して、うまくいかなくても、それが君たちの力でも何でもない。だれでも挫折がある。そこで負けたらあかんのです。『それなら、もういっぺん挑戦しよう』という気構え、気迫を持たないといけない。上を目指せば、いくらでも目指せる。そうでなかったら、人間一つも進歩しません」

     何事にも折れない心を持ってほしい――。厳しくも温かいまなざしで、小森校長は生徒たちを励まし続けている。

     (文・写真:武中英夫)

     履正社学園豊中中学校・履正社高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

    2018年12月10日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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