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    中学受験のプロ講師たち「マナビレンジャー」がアドバイスするコーナーです。

    学習の「定石」を身に付ける…塩沢茂樹

    ラストスパートするためには…先輩たちの言葉

     大阪のマナビレンジャーから今年初めてのアドバイスだ。関東ではまだまだ入試が続いているよね。受験生のみんなが全力を出し切れることを願っているよ。一方、大阪ではもう入試が終わり、入学に向けて制服の採寸が始まったり、宿題が出たり、入学に向けて講習が始まっている学校もあるんだ。

     そして「受験生」という役割も次の学年にバトンタッチだ。今回は、そんな入試まであと1年に迫った新しいチャレンジャーたちに向けてアドバイスをしよう。

     受験を経験した先輩たちが書いた「合格体験記」を読んだことがあるだろう。みんな良いことを書いてくれているから参考になる。直接、受験を終えた卒業生たちと話をしていると「もっと早くからやっておけばよかった」「あきらめずにやっておけばよかった」なんていう感想が結構多い。

     後輩たちへのアドバイスとして多いのが「今ならまだ間にあう」「ラストスパートするには競り合っておかないとダメ」ということだ。「ラストスパート」はかっこいい響きだし、なんだか最後に何とかしてくれる力を持っていそうな気がする。

     でも、よく考えてみてほしい。マラソンで42キロ歩いていて最後の195メートル全力疾走したって勝てないよね。ラストスパートが功を奏するのは、それまで競り合いに持ち込めた人だけなんだ。もちろん最後で気を緩めたらだめだけど、最後だけ必死になってもダメなんだということを知ってほしい。ゴール前で競り合いに持ち込むためにも、まずは一歩を踏み出さないといけない。

    徹底して学ぶべき「基礎」…「定石」とは何か?

     では、何をすればよいのか。これが今回の本題だ。君たちがやるべきことは「基礎」。「なんだ、そんなことは知っている」というかもしれないが、これがなかなか難しいことなんだ。「凡事徹底」という言葉を聞いたことがあるかな? 「凡事」とはありきたりなことという意味だから、「凡事徹底」は「ありきたりなことを徹底してやる」ということだ。

     これができる人は、実は大人でも少ない。やっていることはありきたりだが、徹底すればそれはもう「非凡」になるということでもある。

     その徹底していくべき基礎とは、「計算」「語彙(ごい)」ということがすぐに思いつくよね。もちろんそれも重要だ。でも、それはすでに君たちは徹底して学んでいるよね。もしやっていない人がいたら、まずはそこから踏み出そう。

     今回の話は、実は君たちがやっているようでやっていない、でもとても重要なことである「定石」を身に付けることだ。

     「定石」って知っているかな? 囲碁で使われる言葉で、「最善とされる手」のことだ。この定石を身に付けていると、君たちは素早く最善の一手にたどり着くことができる。では、学習における定石とは何なのかというと、これは簡単。テキストに載っている例題だったり、授業で先生が行う解説だ。これを身に付けるんだ。

    解説や例題を覚えるまで復習、演習…そして「考える」

     「そんなこと、普段からやっている」と思った子もいるんじゃないかな? そう、これこそが「凡事」だ。これを徹底するんだ。囲碁では、まず「覚える」ことから始める。でも、ただ覚えるだけでは定石は役に立たない。次に使ってみる。何度も使っていくと、使いこなせるようになる。使いこなしていきながら、定石が意味することを考える。この意味が自分で理解できると、「自分の身に付く」状態になる。

     これを学習に照らし合わせてみると、まずは解説や例題を覚える。「聞く」「見る」「読む」だけではなく、しっかり覚えるんだ。君たちは覚える時にどうするかな。何度も書いたり、何度も口で唱えたりするよね。学習も同じなんだ。覚えるまで何度もやってみる。つまり復習だね。そして使いこなせるように、ほかの類題も解きながら演習する。これを繰り返して、それぞれの解説や例題が意味するところを自分で考える。この考えるという行為には、実はすごく時間がかかるんだ。

     だから、塾では「宿題」という形で家に持って帰ってもらい、しばらく時間をおいてから考えてもらうわけだ。塾で宿題をやってしまうと、君たちもおうちの人も楽なのかもしれない。けれども、それでは「考える」ことができないので、効果が期待できないから注意しよう。

    毎日徹底して「凡事」に取り組む…「定石」習得への道

     この取り組みができたら、定石を身に付けることになる。解説や例題の意味について「わかる」あるいは「知っている」という状態になるんだ。学習において、定石そのもの自体はそんなに難しいものではない。

     むしろ、「覚える」「使う」「繰り返す」「考える」という取り組みを毎日徹底することが難しいんだ。「わからない」とすぐに口に出してしまう前に、「定石を身に付ける」という凡事を徹底していこう。

    たかが基礎、されど基礎…一歩を踏み出そう

     「千里の道も一歩から」という言葉もある通り、まずはきょう一日、徹底してみよう。 たかが基礎、されど基礎。君たちの努力の先に明るい、ワクワクする未来が待っている。一歩を踏み出す君たちの勇気を、大阪から応援しているぞ!

    ▽これまでのアドバイス

    ・過去問演習で発見「ここで間違う」

    ・受験ラストスパート 3つのポイント

    ・合格を勝ち取る「基礎の徹底」の真価

    ・物語文の読解練習、2つの方法

    ・国語のルール「どう質問に答える?」

    ・「正確な読解」3つのポイント

    ・国語の学習、語彙力が扉を開くカギ

    ・受験当日は「しっかり」緊張しよう

    ・「頭の整理」で最後のひと伸び

    ・「小さな目標」積み重ねよう

    ・「ワクワク」は無限のエネルギーだ

    ・受験で「自信をつける」ために

    ・やる気が出ない、どうしよう

    2016年02月02日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
    プロフィル
    塩沢茂樹  (しおざわ・しげき
     日本次世代教育総合研究所代表。大手進学塾で管理職、社員及び管理職研修を担当した経験を活かし「日本次世代教育総合研究所」を設立。また、健全な中学受験の実現を目指す「大東尚学館」の代表も兼ね、常に現場に立ち続ける。平成二十二年、二十七年度大阪府私立幼稚園PTA連合会会長。同二十七年度大東市立氷野小学校PTA会長、大阪ひがし幼稚園リーフサークル会長。一男二女の父。
     
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