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    中学受験のプロ講師たち「マナビレンジャー」がアドバイスするコーナーです。

    「付属の強み」アピールする明大明治と法政二中…広野雅明<2>

     この数年間、大学付属校の人気が高くなっています。一昔前は中学受験の段階で付属校に決めると将来の進路が狭まる、大学によっては学部の有無がある、エスカレーター式の進学なので中高で勉強しなくなる、などと言われていました。ところが最近は、特に都内の私立大学が定員管理を厳格化した結果、各大学が合格者数を絞り、特に難関私立大学の難易度は非常に高くなっています。また、各大学も付属校・系属校を重視し、さまざまな改革が各校で進んでいます。今回は付属校の様子を見ていきたいと思います。

    学習改革で女子人気集める明大明治

     まずは、ここ数年、難化が進む明大明治です。6月の志望校判定サピックスオープンでの志願状況は下記の通りです。

     合格可能性80%の判定偏差値は、2017年度は第1回が53、第2回が54でしたが、2018年度は第1回が55、第2回が56と2ポイント上昇しています。

     明大明治は1912年に東京・神田駿河台に開校し、長らく明治大学唯一の直系付属の男子校でしたが、2008年に調布市に移転し、共学校になりました。男子校時代はバンカラなイメージもありましたが、女子募集に伴って男子募集数を削減したことと、明治大学がブランドイメージを改革して女子人気が高まったのに伴い、人気が上昇しました。

     学校説明会で校長先生が、「明治中学校は、進学校ではなく名門校を目指す。大学付属校は『ゆるい』というイメージが強いが、明治中学校・高校はここ10年、大きく(かじ)を切り、勉強させる学校へと変わっていった。むしろ、大学付属校という強みを生かして、就職まで面倒を見るという心構えで、協力し合う精神を大切にしている」と述べた通り、かなり雰囲気も変わりました。

     まずは、高校への進学ですが、中学3年の2学期末において、全教科が40点以上、5教科(国・社・数・理・英)の平均55点以上、英検準2級(1次)以上に合格していることが条件になっています。明治大学進学には、英検2級、TOEIC450点、全教科で60%以上取らなければなりません。1学年の生徒の約9割が明大に内部推薦で進みますが、国公立大学や医学部など明大にない学部を持つ大学への進学希望者は、推薦権を保持したままでの受験ができる制度があります。この基準から分かる通り、特に英語の学習が重視され、授業も充実しています。

     基本的なカリキュラムは学習指導要領に準拠し、高校入学生と合流するため、極端な先取り授業はなく、比較的余裕があります。生徒は学校での勉強と部活動などの両立が十分可能です。また、成績不振者に対しては7時間目の指名制補習(英数)でフォローがあります。

     最近は高大連携の授業がさらに充実し、資格の取得、英語力の向上、進路決定の参考などの目的で、夏休み、春休み、高3の3学期に「集中講座」を実施しています。たとえば、「法学検定4級チャレンジ講座」「TOEIC講座」「簿記講座(2級・3級)」「実験講座(化学・物理)」「コンピュータプログラミング講座」などです。

     また、明治大学への進学後の学習につながるよう、高3の生徒に対して明治大学の教員が、各学部の基礎的な内容を年間を通して毎週2時間授業しています。

     「君たちはこれからは他人と競争する必要はない。なぜならば全員が明治大学に進学できるのだから」。校長先生のこの一言が印象的です。

    少人数できめ細かい学習指導の法政第二

     さてもう1校、法政第二中学校に注目してみましょう。

     合格可能性80%の判定偏差値を見ると、男子は2017年度の第1回が41、第2回が40でしたが、2018年度は第1回が43、第2回が42と2ポイント上昇しています。特に、女子では2017年度の第1回が42、第2回が41だったのに対し、2018年度は第1回、第2回とも45と大きく上昇しています。

     法政第二中学校は設立が1939年、長らく高校のみの男子校でしたが、1986年に中学校を設置。2016年に共学化し、同時に新校舎も建設されました。現代的な明るい校舎で教育環境も非常に充実しています。

     同校ホームページによると、中学から高校へは、「学校が定める成績水準に達したものは、生活上などの問題がない限り、全員が進学できます。毎年、ほぼ全員の生徒が必要な成績水準に達しています」。また、「国公立高校受験を希望する場合は、審議のうえ第二高等学校への進学の権利を維持したまま、受験することができます」と制度を定めています。

     また、高校から大学へは、「日常の成績が一定以上に達し、大学の指定する所定の英語試験(TOEIC Bridgeなど)および法政大学三付属校対象の『基礎的思考力確認テスト』で一定の成績を修めたものは、全員法政大学のいずれかの学部に進学することができます」となっています。こちらも、「法政大学への被推薦権を保持したままで、他大学を受験することが可能です。ただし、法政大学専願の生徒の志望学部が優先されます」とあり、進路選択に幅を持たせることができます。

     中学校は1・2年生が8クラス(1クラス28人前後)、3年生6クラス(37人前後)と少人数のクラス編成できめの細かい指導が行われています。中学生は毎日20分の「朝学習」の時間があり、特につまずきやすい英語と数学は、さらに半分の人数でより細かく指導を行っています。

     大学付属校なので、受験にとらわれないで勉強に取り組み、自由な時間を自主活動、課外活動、部活動などに活用することが可能です。法政大学が文部科学省の支援する「スーパーグローバル大学」に採択されたことを受け、付属校である同校も海外との国際交流を積極的に行っています。高校では夏休みの3日間を英語のみで過ごすという「イングリッシュキャンプ」を実施。中学でニュージーランド研修、高校でカナダ研修なども行われています。

     さて、今回は大学付属校を2校紹介しましたが、両校とも校舎は新しく、教育環境も充実しています。さらに共学校で、大学受験がありませんので、勉強と部活などの両立も容易です。大学が英語を重視しているため、中高でも英語が重視され、授業も大変充実しています。一方、推薦権を保持したままでの他大学への受験や、系列大学にない学部を進路とすることも可能です。

     ただし、両校とも大学進学を重視したカリキュラムにはなっていませんので、他大学を受験する際は自己責任で対策を立てるのが大前提になってきます。推薦権のある学部を選ぶ自由が少なくなってしまうことも要注意です。付属校受験にあたっては、将来の進路をよく考え、やりたい仕事に進める可能性が高い学部が大学にあるかないか、その大学の雰囲気にお子様が合うか合わないかもお考え下さい。

    プロフィル
    広野 雅明( ひろの・まさあき
     サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

    2018年07月30日 11時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
     
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