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    入試改革・新校舎・伝統を守りながら進化する男子校…広野雅明<3>

    理系の強化目指して改革進める鎌倉学園

     今回は男子校から2校取り上げたいと思います。まずは鎌倉学園中学校。1885年に鎌倉五山第一位の建長寺境内に創設された僧侶養成機関「宗学林」が前身です。1921年に鎌倉中学校として設立認可されました。北鎌倉の自然豊かな地にあり、今も建長寺と隣接して一体化しています。北鎌倉駅、鎌倉駅からは若干距離がありますが、ときには大勢の外国人観光客とともに歩き、生徒は通学時も外国語の学習ができそうです。緑と山に囲まれ、リニューアルされた校舎は男子がのびのびと3年ないしは6年を過ごせる場所です。

     鎌倉学園は、2015年入試から2月1日午後に算数1教科入試を導入し、話題になりました。それ以前も高輪中学校、攻玉社中学校などで1教科入試がありましたが、久々の新設です。初年度はかなり力の入った問題で難易度も高め。学校が理系を強化したいという思いが強く伝わりました。2018年入試からは2日・4日・5日の入試を1日・2日・4日に前倒ししました。志望順位の高いお子様を積極的に集めようとする学校の強い意志を感じます。

     今年6月のサピックスオープンでの志願状況は、以下の通りです。

    • ※2月1日・2日・3日の午前入試の学校は第1~4志望者の合計。午後入試および2月4日以後の入試は第1~4志望に加え、自由選択で登録した6校も合計しています。
      ※2月1日・2日・3日の午前入試の学校は第1~4志望者の合計。午後入試および2月4日以後の入試は第1~4志望に加え、自由選択で登録した6校も合計しています。

     校長先生いわく、「鎌倉学園の一番の特徴は、『放課後に元気であること』」。具体的には、教師が放課後、最初にすることは「生徒とのコミュニケーション」であり、採点や教科業務は後回しにするとのことです。さらに、「真」の文武両道を目指すために、教師にもそれを目指してもらい、勉学に偏ることなく部活動にも熱心に打ち込んでもらうように取り組んでいるとのことでした。

     学習面では、中1の数学の一部授業は習熟度別にクラスを2分割して学力強化を図っています。中2で中学校の数学と英語のカリキュラムをすべて終えて、中3から高校のカリキュラムに移行します。高校へ内部進学する際に、国数英の学習の習熟度を基に再度クラス編成を行います。2年後には国公立大学理系クラスを設置する予定です。

     仏教系の学校ではあるものの、学校の施設内に仏壇などは設けておらず、仏教教育といっても年に3回座禅を組む程度だそうです。

     最近はグローバル研修にも力を入れています。高校1年の夏休みに14日間、オーストラリア・メルボルンの姉妹校で英語研修(希望者対象)を実施し、現地の生徒宅にホームステイします。また、高校2年までの生徒を対象として、春休みに北米、ベトナム、ハワイへの海外研修(希望者対象)も実施しています。

     K-Labo(理科教育に特化したレッスン)、武道教室、歴史ある鎌倉の地での総合学習など、同校ならではの魅力ある授業や行事も多数あります。男らしく、さらに文武両道で頑張りたいお子様にはお勧めの学校の一つです。

    「努力する姿勢」重んじる巣鴨

     もう1校は巣鴨中学校。1910年創立の私塾巣園学舎を原点とする男子校です。硬教育(努力主義)を掲げ、厳しいイメージの学校ですが、2015年に新校舎も完成し、若手の先生を中心に、時代に合わせた日々新しい取り組みが進んでいます。

     2017年入試では2月1日・2日の第1、2期入試に加え、2月4日の第3期入試を導入しました。2019年度はさらに2月1日午後に算数1教科入試を新設します。ちなみに世田谷学園も1日午後に算数1教科入試を新設しますので、算数が得意な男子にとって、受験校の選択肢が大きく広がります。

     6月の模試の段階ではまだ1日午後の入試は反映されていませんが、他の日程の状況は以下の通りです。

     最近は、本郷、城北、東京都市大付属など他の男子校に押され気味でしたが、昨年度からは志願者が回復しています。もともと理系に強い学校、特に医学部に強い学校として、定評がありますので、来年度はさらに人気が回復すると思われます。

     巣鴨中学校の新校舎は特に堀内不二夫校長の、生徒に対する思いが強く込められています。新校舎の建設に際して、行政からの指示があり、構内の木を伐採しなければならなかったため、それを製材してもらい、天井などに使用しています。また、完成した校舎の外観は、太い柱が並んで上空へ伸びていくデザインとなっています。「将来、社会に向かって真っすぐ伸び、大きく活躍してほしい」という生徒への思いを形に表したそうです。

     昨今は英語教育にもさらに力が入り、マンツーマンのSkype(スカイプ)英会話を早々に導入し、英語4技能試験にもいち早く対応しています。また、英国イートン校のサマースクールは、首都圏の男子校では現在、巣鴨だけが参加できる特別な行事です。イートン校との太いパイプを生かして、オックスフォード大やケンブリッジ大の卒業者、セミプロの歌手でもある外交官など、多様な経歴の優秀な若い講師を招き、「Sugamo Summer School」を実施しています。

     巣鴨で大切にされているのは努力する姿勢を作ることとされています。

     少し長いですが、このことを説明する堀内校長の言葉を紹介します。「努力の先にしか栄光や成功はない。『硬教育』という言葉は、厳しすぎる印象で誤解を招きやすいので、『努力主義』と言い換えている。努力をする、ということは何かに挑戦すること。ある有名な英国のパブリックスクールの校章に、ラテン語で『Possunt quia posse videntur.(ポッスント・クゥィア・ポッセ・ウィデントゥル)』と刻まれている。これを元にした英語表現が『They can because they think they can.』で、『できると思うから、できるんだ』『諦めるな、がんばれ』と同じ意味。このフレーズも使っていきたい。昨今、『リーダー教育』と簡単に言われているが、自分からリーダーになる、と手を挙げるだけでは人がついてこない。真のリーダーとは、何事にも努力する姿勢を周りの人が評価して、『この人ならば』と押し上げられた人のことである」

     巣鴨には「勉強する空気がある」とも。中高生になるとさまざまなことにお子様は興味をひかれます。それはそれで大切なことですが、やはり勉強も重要です。そのときに一生懸命に頑張る仲間が多いことこそ学びのモチベーションになるように思います。

    プロフィル
    広野 雅明( ひろの・まさあき
     サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

    2018年09月03日 12時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
     
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