文字サイズ
    中学受験のプロ講師たち「マナビレンジャー」がアドバイスするコーナーです。

    まぶしすぎる東京女学館ライフ…辛酸なめ子<9>

     東京女学館は憧れの女子校の一つ。制服がかわいい上に進学実績もあり、青春を満喫しながら名門大に進めるというリア充感が漂います。実際東京女学館に通っていた方と縁があり、お話を伺わせていただきました。

     Web業界で働くTさんは30代前半で、脳内で女学館の制服と合成したらかなり似合っていたのではないかと思わせる美女。

     「今は普通の家ですが曾祖母の代は結構なお嬢様で、曾祖母も女学館に通っていたんです。自然な流れでお受験することになり、塾に通って女学館だけに受かりました」

     きっと曾祖母様がサポートしてくださったのでしょう。やはりお嬢様は多かったのでしょうか?

     「いろんな方がいらっしゃっていて、社長令嬢や医者の娘や芸能人の娘もいました。でも、わりと普通の家庭の方も多かったです」

     そこまでお嬢様発言をする人もいなかったそうです。

     「高飛車な人はいなくて、一人一人の個性が立ってる人が多い印象でした。おしとやかな子より活発だったりとか、発言をガンガンして行く人が多い印象です」

    セーラームーンに似ている制服のせい?

     女子校にだいたい共通している特徴なのかもしれません。女学館のイメージといえば、冬でも白いセーラー服です。制服の魅力については内部の人はどう感じていたのでしょう?

     「小学校の時は学校の周りに不審者が出没したこともありました。制服がセーラームーンに似ている、というのもあるかもしれません。小学生時代はとくに制服の魅力を意識していなかったのですが……」

     ある種の男性を高揚させてしまう魔力があるのでしょうか。

     小学校時代ダサい私服でバカにされた身からすると羨ましい思いでしたが、小学生からかわいい制服を着るのもいいことばかりではないようです。

     「制服の魅力に気付いたのは中学に入って青いリボンに変わった頃からです。やっぱり他の女子校は夏場は白いセーラー服でも冬は紺色だったりする。そんな中、冬場も白いセーラーなのは魅力なのでは?って思いました。セーラー服だけでなく、セーターもソックスもコートも校内で購入できる二つのメーカーのどちらかのものを着なくてはいけなくて、本当はセーターをダルダルさせて着たくても、別のブランドだと没収されたりしてましたね。セーターも可愛いですが、あえて着ないで白いセーラーの上にコートを羽織ったほうが街中で映えるのではと思って冬でもセーターを着ないときもありました」

     素敵な制服を日々着ていると美意識が高まるのかもしれません。街中で映える服など今でも気にしていなかったです。

     「でも毎日だと飽きるというか、青学が近かったんで みんな自由なスカートやセーターを着て男の子と楽しそうに帰ってる姿を見て羨ましかったです。ないものねだりですけど」

     想像するだけでまぶしいです。でもやはり白いセーラー服の輝きも負けていません。

     「渋谷の白鳥って形容がありましたが、渋谷の白豚っていう言葉も聞いたことがあって。制服が可愛い分目立つんで、白鳥とかいって全然じゃん、と揶揄されることも……」

     それは相手にされない男子の、愛情の裏返しというか負け惜しみみたいな悪口ですね。

    女学館の恋愛モチベーション

     そうは言っても女学館というとモテるイメージがあります。前に女学館出身の人に聞いたら、クラスでグループごとに、モメないように付き合う男子校のテリトリーを変えていた、という話があって驚きました。女子校の中でも男女交際の経験値が高いイメージです。

     「わたしは全然だったんですけど、男子校の文化祭に行くっていう文化があって、麻布や駒東、海城とかに行く子が多かったですね。やっぱり目立つグループの子が麻布と付き合ったり。一線を画してる空気がありました。麻布の子は交際なれしてる印象でしたね」

     たしかに麻布は男子校の中でも独特のポジションです。開成や武蔵の男子には接触できても麻布は手が届かない感が……。付き合う男子校のテリトリーを変えているというのはありましたか?

     「目立つグループの子は他の男子校の男の子とグループで遊んでいたりしていたけれど、そうじゃない子は塾で知り合った子と付き合ったりしていたような気がします。私は全然関係ない大学生と付き合ってました」

     Tさん、さすが同級生を一歩リードしてます。やはり付き合う男子校についての暗黙のルールがあったようです。でもそれでもときどきモメることはあったそうで……。

     「目立つグループの子を見ていると、彼氏を取られた取られない問題で殺伐としている感じもありました。印象に残ってるのは、誰かの彼氏を取っちゃった子がいて、授業中に携帯の電源を切ってないといけないのに、彼女の携帯が意図的に鳴らされて先生に没収された、という一件がありました」

     目立つグループも気苦労が絶えないですね……。

     「恋愛に対するモチベーションが高めな人が多かったです。女学館の文化祭は当時チケット制で、生徒が呼んだ人しか基本的に来れないようになっていました。1人5枚チケットがもらえたんですが、目立つグループの人が目立たない人からチケットをもらう交渉が行われることも。他校の男子と一緒に回ってアピールする子もいましたね」

     女子校でよくある光景かもしれません。あとは卒業してからわざわざ彼氏連れで母校の文化祭に行くというパターンもあります。

     彼氏がいる率はどのくらいだったのでしょう?

     「3、4割くらいでしょうか。交際経験がないと、目立つ子とかと対等に話せないように感じて、当時はとにかく彼氏を作りたいと思っていました」

     交際経験が少ないとわかりやすいイケメンをスキになってしまいがちですが、女学館の女子にモテるのはどんな男子だったのでしょう。

     「顔というよりかはイケてる風な雰囲気の人が人気だったように思います。皆渋谷で遊んだりするので一緒に歩いていると友達に見られることもあるから、そういう意味でも気を配っていました」

     恋愛のモチベーションが高い女子校だと、男女交際の経験値が立ち位置とかヒエラルキーに影響することがあるんですね。しかも相手のランクも重要だという。女子校によっては真逆の、男子と交際してると白い目で見られる校風のところもあるので、入学前に自分はどちらのタイプが見定めたほうが良さそうです。

     「女学館は早熟の子も目立つというか。かわいい子も多くて目を引くかわいい子がクラスに4、5人はいました。化粧はできないしマニキュアもだめだったんですが……」

     それは天然の美少女ということです。早熟な女学館出身者からすると、受験と勉強は両立できるものなんでしょうか?

     「交際しつつ受験している人もいましたよ。私も大学生の彼氏に勉強を見てもらっていました。私もそうでしたが、推薦で大学に行く人が多いというのもあるかもしれないですね」

     なんと……そんなに羨ましい高校生活が。女学館は推薦枠が充実していてそれで人気の大学に進む人が多かったとのこと。まじめな女子校だと、普通に受験で勝負する美学みたいなものがあって、母校でも推薦入試の人は隠れて出願してたりしましたが(そして結構枠が余っていたらしいです)、恋愛しつつ自己推薦ってそんな素敵な進路があったんですね。

     「恋愛と受験は両立できます」と、Tさん。世代なのか校風なのか、そんな調子で軽やかに、仕事と家庭も両立できそうなポテンシャルを感じました。不器用で頭が固かった当時の自分に教えてあげたい価値感です。

    プロフィル
    辛酸 なめ子( しんさん・なめこ
     漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉県育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著は「大人のコミュニケーション術」(光文社新書)、「おしゃ修行」(双葉社)、「魂活道場」(学研プラス)など。

    2018年09月18日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
     
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP