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    最難関大へ最短の名門女子校・桜蔭と豊島岡…広野雅明<4>

    「礼と学び」を大切にする桜蔭

     今回は、まず桜蔭中学校をご紹介させていただきます。桜蔭は1924年開校の伝統校で、東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大学)の同窓会・桜蔭会の会員の寄付によって設立された学校です。同じように鴎友学園は、東京府立第一高等女学校(現都立白鴎高校)の同窓会・鴎友会によって設立された学校です。特定の創立者や宗教などのバックボーンがない学校ですので、設立時の同窓会の会員の皆さまの思いが現在まで続きます。

     模試での、桜蔭中学校と後述する豊島岡女子学園中学校の志願状況は下記の通りです。

     昨年度から募集定員を5人削減し235人に変更した影響もあり、微減です。

     桜蔭では、「礼と学び」が大事にされています。中1では礼法の授業が毎週設定されています。和室・洋室など多様なシチュエーションでどのように振る舞うか、またどのように動けばよいか、動作の基本を学ぶことで、社会に出ても自信をもって行動できるとともに、なぜそのように動くかを考えさせることで、人を思いやる心も育てることができるそうです。

     また、東京大学に77人合格する(2018年)など、全国でも屈指の進学実績を誇る学校ですが、中学段階のカリキュラムは主要教科に特化することなく、音楽・美術・技術家庭・保健体育・道徳にも十分な授業時間数がとられています。OGの感想では、特に家庭科は熱心なようで一生家事で困ることがないとのことです。ただし、どの教科も課題は多く、進度も加速しますので、家庭学習をしっかりする必要があります(逆に言えば授業に集中し、家庭学習をしっかりしていれば勉強面ではまったく問題ないようです)。英数国は頻繁に小テストがあり、場合によっては指名補習、OGのチューターもおりますので、学習面でも十分なサポートがなされています。

     桜蔭中学校の説明会では進学指導や大学合格実績の話はほとんどありませんが、校長先生の話では、「進学校としてやるべきことは当たり前に全部やっています。大学入試改革などにも十分に対応できるよう校内でしっかり研究し、対処しています」とのことです。

     桜蔭は生徒の自主性を尊重し、進学先を決めさせる学校ですが、校内で毎年実施される独自の模試のデータや諸先輩方の過去の受験状況の蓄積があります。そのため、外部の模試の結果も参考にはしますが、校内での成績データなどの方が、精度が高いそうです。高3になると夏休みなどに受験対策の各種の講習があり、個々の生徒が自分の弱点・課題に合わせて先生に依頼し、それぞれに合った対策をしています。先生方も生徒が納得するまで熱心に応対しているそうです。

     また、英語4技能などの対策も、校内でGTECスピーキングテストを実施し、ネイティブの先生の英会話、スカイプ英会話の導入など早急に対応しています。

     桜蔭はクラブ活動が必須ですが、運動部の一部は卓球部1・2のように分かれ、週1回の活動日の部活と複数回の活動日の部活に分かれ、本格的に活動したい人とその運動を楽しみたい人が両立できます。進学実績がよいので競争が厳しい学校のイメージもありますいが定期テストの成績などで順位を出すこともありません。

     桜蔭の入試問題は、算数の問題が女子校の中で最も難しく、特に書き出したり、調べたり丁寧な作業を求める問題が頻出します。また国語も文章が難しいことが多く、記述式の問題の難度が高いことが多いです。ただし、どちらも問題文をしっかり読み、過去の入試問題を解きながら練習をすれば十分に対応できます。この入試問題にはどんな困難にぶつかっても負けない心と、自分の言葉で自分の意見を言える、そんな人を育てたいという学校のメッセージが込められていると私個人は感じています。

    「どのような児童も本校が好きになる」豊島岡

     もう1校は前掲の桜蔭との併願者が多い豊島岡女子学園。両校の併願者は極めて多く、合否の難易度も大きな差がありません。なかには桜蔭に合格しても豊島岡女子学園に進学する児童もいます。

     豊島岡女子学園は高校での募集もあり、学校全体の人数も1クラスの人数も桜蔭より若干多め。桜蔭が礼法を重視しているのに対し、こちらは1892年設立の女子裁縫専門学校が前身ですので、毎日の「運針」が学校の特徴です。運針は5分間、ひたすら針を動かす。先生方も教室で一緒に針を動かしながら、生徒の様子を見るそうですが、毎日続けると個々のお子さまのペースが分かるそうです。いつもに比べ、針の動きが異なると、それだけで何かあったことが分かるそうで、家庭での問題、友人関係のトラブルなど早期に発見できることもあるそうです。

     豊島岡女子学園は大学受験を見据え、中学段階から主要教科に時間数を多く配分したカリキュラムが特徴。英語は週6~7時間、数学も週5~6時間と大目にとり、小テスト・補習などを組み合わせ、しっかりと基礎学力を養います。

     2018年度に、文部科学省によってSSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されました。その一つとして、「モノづくりプロジェクト」があります。今年度は、「Fly High!~飛ぶ生き物を模倣せよ~」というテーマで東京電機大学の先生の講義を受講後、同校の生徒だけではなく、男子校5校・女子校2校の15チームが他校からも参加し、大変盛況だったようです。

     豊島岡女子学園は留学のプログラムも充実しています。希望者対象ですが、中2で国内のブリティッシュヒルズ、中3から高2でニュージーランド、カナダ、イギリス、アメリカなどへ向かいます。模擬国連活動も盛んです。校長先生に英語教育について伺うと、「本校は英語の授業はあえてオールイングリッシュにしていません。うちの生徒はなぜそうなのかを理解することを望みます」。さすが豊島岡生と感じます。

     豊島岡女子学園はあえて2月1日に入試日を設けず、2日から入試が始まります。第1志望の児童も最近は増えましたが、第2志望、第3志望の児童もいます。「どのような児童が欲しいかが問題なのではありません。どのような児童にも本校を好きになってもらえるからです。卒業時に後悔はさせません」。先生方の熱い思いを感じます。

     豊島岡女子学園の入試問題は算国それぞれが100点に対し、理社は50点ずつで、算国重視型の入試になっています。特に算数は女子校の中ではもっとも難しい問題を出す学校の一つで解答のみを答えます。女子校ではまだまだ少ない立体図形の問題も頻出で、丁寧に問題を読み、きちんと調べる力が要求されます。特に奇をてらった問題は出題されませんが、その分十分な基礎力・応用力が必要です。過去の入試問題をしっかり練習しておくことが非常に重要です。

     豊島岡女子学園は、学校を実際に見る機会が多い学校です。学校説明会・入試説明会・文化祭・部活体験会のほか、希望すれば見学可能日には校内見学が可能です。生徒行事ではいつも大勢の在校生が小学生児童を温かく迎え、保護者にも豊島岡のよいところを熱く語る。みんなこの学校が好きなんだなといつも感じます。

    プロフィル
    広野 雅明( ひろの・まさあき
     サピックス教育事業本部本部長。サピックス草創期から、一貫して算数を指導。算数科教科責任者・教務部長などを歴任。現在は、入試情報、広報活動、新規教育事業を担当。

    2018年10月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
     
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