こいのぼりを見かけない少子化だけじゃない理由

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 5月5日は端午の節句。さわやかな青空に泳ぐ、こいのぼりの姿があちこちで見られる季節でもあります。でも、最近は、こいのぼりを自宅で飾る方が少なくなっているそうです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」にも、息子が生まれたばかりなのに、夫から「こいのぼりなんて必要?」と言われたという投稿がありました。なぜ、飾る人が少なくなっているのでしょうか。調べてみました。

こいのぼりなんて必要?

写真はイメージです
写真はイメージです

 投稿したトピ主の「しずか」さんは静岡県出身。子どものころ、近所で男の子のいる家には、だいたいこいのぼりがあったと記憶しています。息子が生まれたので、夫に「こいのぼり、どんなのにする?」と相談を持ちかけたのですが、香川県出身の夫は、「え?こいのぼりなんて必要?」とつれない様子。夫の実家でも、こいのぼりはなく、近所でもあまり見かけなかったという話になったそうです。

 この投稿に、いろいろな反響が寄せられました。

 「山が好き」さんは、NHKの番組で取り上げられていた平家の落人が住んだと伝えられる地域の例を紹介しています。「敵の目を逃れるため、かつては犬を飼わない(鳴き声が聞こえるのを恐れて)などの風習があり、その一つとして人目に立つこいのぼりもあげなかった」といいます。

 自粛をしていた地域もあるようです。

 「私の(住む)市では、見栄(みえ)の張り合い防止とかで条例でこいのぼり自粛です」と書いてきたのは「50代」さん。どの家庭にもこいのぼりはなく、よそから移住した若い夫婦だけが「条例に強制力はない」と、こいのぼりをあげているそうです。 「ベル」さんからも、「子どものころ、うちは田舎の一軒家なのに、アパートのベランダ用の小さなこいのぼりを出していたので、母に聞いたところ、『見栄の張り合いでどんどん高く大きくなったので、(こいのぼりを)町が禁止した』と聞きました」という投稿がありました。

維持管理・手間が大変……

 自宅で飾るとなると、維持や管理、手間が大変そうと指摘する声もありました。「こいのぼりって実際間近で見るとものすごく大きいですよね。義理の両親が買ってくれると言い、見に行ったのですが、出し入れなども大変そうでやめました」(「通りすがり」さん)。「支柱を立てるのも大変、維持するのも大変(危険)、外に出したりしまったりするのも大変、布で外に出すものだから消耗するし……」(「レンのん」さん)。

少子化だけじゃない四つの事情

(こいのぼりの製造作業の様子(埼玉県加須市の「松本」で))
(こいのぼりの製造作業の様子(埼玉県加須市の「松本」で))

 日本(こい)のぼり協会(渡辺要市会長)の理事で、こいのぼりの製造を行っている「松本」(埼玉県加須市)の松本龍明社長に話を聞きました。

 松本社長によると、こいのぼりの販売数は具体的な数字がないものの、第2次ベビーブーム(1971~74年)をピークに徐々に減少を続け、最近ではピーク時の半分程度に落ち込んでいるそうです。

 厚生労働省の資料では、出生数は1973年に209万1983人だったのに対し、2016年に、はじめて100万人を割り込み97万6979人になりました。

 こいのぼりの販売数が減った要因の一つとして、少子化の影響は大きいのですが、それだけではありません。松本社長は、少子化のほかに、次の四つの事情が考えられると指摘します。

 〈1〉住宅事情

 若い夫婦がマンションなどの集合住宅に暮らすようになり、こいのぼりを飾る場所がない。一時はベランダに飾る家庭も多かったが、最近では、危険だとしてベランダにこいのぼりを飾るのを禁止する高層マンションなども増えている。

 〈2〉見栄の張り合いが嫌

 こいのぼりは、初節句に母方の実家から贈られるものだった。男の子が生まれると隣近所でこいのぼりのサイズを競うようになり、どんどん大きく、高くなっていく傾向があった。こうした見栄の張り合いを嫌う若い夫婦が、両親からの贈呈を断るようになった。

 〈3〉セキュリティー・個人情報

 外にこいのぼりを飾ることで、その家に幼い男の子がいるということが分かってしまい、それを危険と感じる家庭が増えた。吹き流しなどに子どもの名前を入れるサービスもあるが、個人情報の観点からためらう人もいる。

 〈4〉こいのぼりはイベント

 家庭に眠っているこいのぼりを集め、自治体や市民団体などが川や公共施設などで、盛大に飾りつけをするイベントが増えた。このため、若い人の中には、こいのぼりを家庭で飾るという意識が薄れている。

 松本社長は、「男の子の健やかな成長や立身出世を願う気持ちがなくなったわけではなく、家庭内に飾れる小さなこいのぼりや五月人形を贈るケースはあります」と説明します。ただ、「こいのぼりを見る機会なく育った若い親世代は、男の子が生まれても、こいのぼりを飾ろうという気持ちがなくなってしまっている」と気をもんでいます。

 日本鯉のぼり協会は今年、こうした状況を少しでも改善しようと、こいのぼりを外に飾ることを条件に、こいのぼりのセットを100世帯にプレゼントする企画を実施しました。これには、大きな反響があり、応募は殺到したそうです。来年以降もこの企画は続ける計画なので、これから、少しずつ、庭先でこいのぼりが泳いでいる家庭を見る機会が増えるかもしれません。

(読売新聞メディア局編集部・鈴木幸大)

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550697 0 発言ニュース 2019/04/24 07:20:00 2019/04/24 07:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190423-OYT8I50047-T.jpg?type=thumbnail

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