息子が婿養子に「取られる」!?…香山リカ

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 「婿養子」は本来、結婚に際して妻の両親と養子縁組する男性を意味するが、実際には結婚して妻の姓を選択する夫も「お婿さん」などといわれる。「一人息子が養子に取られます」というトピがあったが、この人は息子が結婚で妻側の実家と養子縁組しそう、と相談をしているようだ。

 このトピを見て私はまず、「そうか、婿養子に『なる』のではなく、『取られる』と表現するんだ」と驚いた。本文には「一人息子なので手放したくない」とあり、おそらく「盗(と)られる」という意味も含まれているのかもしれない。レスにも「悲しいですね、絶対阻止して」「相手の親は何を考えているんだ」など婿養子に否定的な人の同情や怒りの声が並んだ。

 いやいや、ちょっと待って。これが逆だったらどうなのだろう。養子縁組まではしなくても、9割以上の結婚では妻側が夫の姓に変更している日本では、もしかして夫の実家は心の中で「嫁を取った」「嫁の実家は娘を手放した」と思っているのだろうか。

 実際に昭和どころか平成が終わろうとしているいまになっても、診察室に「夫の親からつらい目にあわされている」と訴える女性たちがときどきやって来る。中にははっきりと「ウチの人間としてふさわしくない」などと言われることもあるようだ。その親たちも「息子と結婚してウチの姓を名乗るからには、あなたはこのイエのひとり」という前提があるのかもしれない。

 「息子が結婚するときには妻の姓を名乗らせたくない。まして婿養子なんてとんでもない」と思う人たちには、ぜひ「それ、結婚する女性の親も同じように思ってるかもしれませんよ」と伝えたい。結婚はあくまで本人どうしのもの、という原則を忘れないでほしい。

香山リカ(かやま・りか)
 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。
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556660 0 くらげっとろじ~ 2019/04/29 05:20:00 2019/04/29 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190426-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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