SNSで悪口 理由聞こう…香山リカ
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大学1年の授業では、必ず「SNSと私」というテーマでスピーチをしてもらっている。すると時々、「過去にトラブルがあってSNSはやめた」と話す学生がいる。多くは「自分の悪口が語られているのを見てしまった」というものだ。

トピにも「一緒に撮った画像をインスタにあげたら『ブス』という投稿があった。絶対、私のこと」という悩みがあったが、レスのほとんどは「完全にスルーしよう」だった。悪口らしき投稿があっても、放置するのが賢い態度かもしれない。しかし、「SNSが怖くなった」と語る大学1年生たちを見ていると、見て見ぬフリはそれほど簡単ではない、と思える。
では、どうするか。私は、基本的には「恐れずにもっと話してみるべきだ」と考えている。私たちはあまりにも議論を恐れていて、少しでもネガティブなことを言われたら、黙ってSNSから去ったり、スルーしたふりをしたりする。ただ、よく考えると、悪口を言われた方には非はないのだとしたら、消えたり黙り込んだりする必要もないはずだ。
「どうしてそんなこと言うの?」と理由を聞いたり、「そんな言い方はやめてほしいな」と気持ちを伝えたりして、そこから言葉の応酬になったっていいではないか。それで誤解が解けることもあれば、「やっぱりこの人とはムリ」となる場合もあるだろう。
もちろん、悪口を言われた人はショックを受けるから、言い返すパワーもなくなるかもしれない。そんなときは、まわりの誰かが「その言い方、おかしいかも」と意思表示してほしい。「いいね!」と言い合うだけがSNSの良さとは限らない。おかしいと思ったら「違うよ!」「やめて!」と言えるのもまたSNSならでは、ではないか。
香山リカ(かやま・りか) |
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精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。 |
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