儀礼慣習やめる難しさ…柴門ふみ

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 年賀状を出し続けることに疑問を感じながらやめ時がわからない、というトピを見つけました。お中元・お歳暮を続ける人の気持ちも理解できないと……。

 確かに年賀状・お中元・お歳暮は昭和の儀礼だったと思います。しかも日本独特の。

 西洋だと、クリスマスのカードとプレゼントが儀礼として浸透しています。ハリウッド映画では、家族や親せきへのクリスマスプレゼントに頭を悩ますシーンがたびたび描かれます。つまり、どんな国にも儀礼化された慣習に疑問を持ちつつ、やめられない人々が存在するということですね。

 私の夫はお中元・お歳暮は欠かさないけれど年賀状は出さないという人です。一方、私は、お中元・お歳暮廃止論者ですが、年賀状は印刷した自筆イラストに手書きで必ず一筆添えて出し続けています。

 というのも、私はもらったお中元・お歳暮の品でうれしかったものはほとんどなく、けれど一筆添えられた年賀状はとてもうれしいからです。夫は逆に、1枚数十円の印刷されたハガキのやりとりよりも高価な品物を贈り合う儀礼の方が、より心がこもっていると感じているのではないでしょうか?

 このように、夫婦ですらも年賀状・お中元・お歳暮に対する考えが異なるわけですから、日本中の人が、いっせいに年賀状・お中元・お歳暮をやめるということはまず無理でしょう。

 私は、恩師で哲学者の土屋賢二さんと大学卒業後もずっと30年以上年賀状のやり取りをしていました。ところがある年、彼からこんな年賀状が届きました。

 「この1枚をもちまして、今後百年分の年賀状を兼ねさせてもらいます。来年以降は送りませんのでよろしく」――。哲学者でも、年賀状のやめ時を悩んでいた? 

柴門ふみ(さいもん・ふみ)
 漫画家、エッセイスト。1957年、徳島県生まれ。お茶の水女子大在学中から漫画を執筆し、代表作に「東京ラブストーリー」など。働く女性や恋愛をテーマにエッセーも手がけている。
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838998 0 ピックアップ 2019/10/14 05:20:00 2019/10/14 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191010-OYT8I50027-T.jpg?type=thumbnail

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