夫が生きていてこその不満…香山リカ

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 アラカン(アラウンド還暦、つまり60歳前後)で、すでにパートナーを亡くした女性が、静かな生活を送りながらも時間と気持ちをもてあまし気味で、「毎日どんなふうに過ごしていますか?」というトピを立てた。すると同様の経験をしたという方々が「なんだか寂しい」「人生がしんどい」と胸の内を吐露するレスを投稿していた。

 おそらく普段は元気そうに振る舞っていても、心の中はまだまだ一緒にいられると思った相手が先立った喪失感でいっぱいなのだ。読んでいると自分まで胸がふさがれる思いがした。

 一方、診察室では「とにかく夫が嫌い」と、不満というか憎悪をぶちまけるアラカン女性が目に付く。「今さら離婚は考えていないが、このまま80歳、90歳まで一緒なのは耐えられない」と涙をこぼす人もいる。彼女たちの言葉もまた、うそではない。

 もしその大嫌いなパートナーが突然、世を去ったらどうなるのか。ひそかに快哉(かいさい)を叫び、残りの人生を謳歌(おうか)する人もいると思う。しかし、失ってみると寂しさや物足りなさがわき出てきて、トピ主さんのように思慕の感情をどこかで打ち明けたくなるかもしれない。

 「自分はどっち?」と問いかけても、パートナーが目の前にいるうちは“おひとりさまエンジョイ型”か、“やっぱり寂しい型”かはわからない。自分のことだって自分ではよくわからないもの。逆に、だからこそ人生は面白いとも言える。

 いずれにしても、いま夫や妻が生きている人は「この人にイライラするのも生きているからかも」と、ちょっと考えてみてほしい。そして、ひとりになってしまったというトピ主さんのような人には「自分の人生を大切に」と言いたい。そんな気持ちでいっぱいだ。

香山リカ(かやま・りか)
 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。
無断転載禁止
1001822 0 ピックアップ 2020/01/20 05:20:00 2020/01/20 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200115-OYT8I50053-T.jpg?type=thumbnail

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