いくつになっても母と娘…香山リカ

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 70代の母親が、これまでずっと面倒を見てきた50代の娘から「お金を(のこ)して」と言われて悩んでいる。そんなトピがあった。

 この瞬間、全国の読者から「いいかげんに子離れしようよ」という声が聞こえてきそう。実際にそんなレスが続いていた。この悩みへの回答は明らかなのだ。

 でも、本当にそうなのだろうか。私の診察室にも、70代、いやもっと上の母親が「娘のことが心配で」と相談に来ることがある。娘といっても40代か50代。子どもどころか孫がいるという娘もいる。それでも母親にとっては「かわいい娘」に変わりない。

 娘は、いつまでも干渉し続ける母親を「毒親」と思っているのかもしれないが、よく聞くと、娘も親に依存しているというケースがある。そういうときは、親子を引き離せば問題が解決する、というわけでもない。親子の問題は本当に一筋縄ではいかないな、と思う。

 診察室ではあえて「もう娘さんも50代なんだから」などと年齢の話はしないことにしている。親が子を心配なのもわかる、子が親の支配に悩むのもわかる。それを前提として話を進めるようにしている。

 すると、これまで誰に話しても「いいトシして」と眉をひそめられていた人が「私の悩み、おかしくないんですね」と安堵(あんど)し、「ではどうすればよいか」と前向きに考え始める。でも、「親でも子でも、大切なのは自分自身の人生」という答えにたどり着ける人はごくわずかである。

 そして、いつも思うのは母と娘それぞれの夫である男性の影の薄さだ。本当はそこが一番の問題なのだろう。母が娘に、娘が母に、ではなく、それぞれのパートナーに向き合えるよう、男性にはぜひ一役も二役も買って出てほしいと思う。

香山リカ(かやま・りか)
 精神科医、立教大教授。1960年、北海道生まれ。豊富な臨床経験を生かし、新聞やラジオ、テレビなど様々なメディアで、現代人の心の問題について発言している。
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1219842 0 ピックアップ 2020/05/18 05:20:00 2020/05/14 15:07:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/05/20200514-OYT8I50023-T.jpg?type=thumbnail

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