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[生活調べ隊]未就学児にプログラミング…幼稚園や教室 必修化受け保護者ら関心

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プログラミングソフト「ビスケット」の画面。「メガネ」の中の絵の位置や向きによって、「水槽」の中の魚の動きが変わる
プログラミングソフト「ビスケット」の画面。「メガネ」の中の絵の位置や向きによって、「水槽」の中の魚の動きが変わる

 未就学児向けのプログラミング教育が熱を帯びている。小学校で来年度から必修化されるのを受け、活動に取り入れる幼稚園があるほか、専用の教室も盛況だ。保護者の関心が高まっているためだが、子ども本人の興味などを見て、取り組ませる必要がありそうだ。(渡辺達也)

 堺市の認定こども園「菩提ぼだい幼稚園」で3月、園児約35人が、画像などを使ってプログラミングすることができるソフト「ビスケット(Viscuit)」を使い、基礎を学んでいた。タブレット端末の画面上で、魚など好きな絵を描き、「メガネ」の形をした枠に置く。置いた位置や向きで、「水槽」の中の絵の動きをプログラミングできる。園児からは「思った通りに動いた」などと声が上がった。

 活動を監修したIT企業・ナンバーワンソリューションズ(東京)の橋本雄さんは、「コンピューターにさせる仕事の内容や手順を指示するのがプログラミング。メガネの数を増やすなど工夫すれば、複雑な動きもさせられる。楽しみながら筋道を立てた考え方が備わる」と話す。

 同園は昨年度から年長の希望者にプログラミングの活動を実施。副園長の松本丈弘さんは「夢中になり、集中して取り組んでいる」と喜ぶ。

 プログラミング教育は、国際社会でITを巡る競争が激化することを見越し、人材育成を図る観点で必修化される。新学習指導要領では、どの学年から、どの教科で、どのように教えるか明確な規定はないが、必修化を前に保護者の関心が高まっている。民間の教室などが著名な技術者が開発した教材を使って長期的なコースを設けており、未就学児も多く学んでいる。

 東京都や神奈川県に展開する子ども向けプログラミング教室「LITALICOワンダー」では、未就学児も専用のソフトを使い、ブロックで作ったロボットを動かすプログラミングを学ぶ。運営会社の担当者は、「理科などの学びを促進することも期待できる」としている。月額1万1880円(月2回、入塾費など除く)。

 資格取得講座を開くヒューマンアカデミー(東京)が全国の教室で行う「ロボット教室」も、5歳から受講できるコースを用意。独自教材のブロックでロボットを作り、プログラミングの考え方を学べる。「メディアでAI(人工知能)などの話題に触れ、必要性を感じて問い合わせてくる保護者が多い」と担当の神野佳彦さん。月額9000円(月2回、入会費など除く)。

 幼稚園児の子どもを専門教室に通わせる神奈川県内の40代主婦は、「プログラミングのことはよく分からないが、AIが発展して今の仕事がなくなると聞き、不安になった。ゲームで遊ぶより、作る側になってほしい」と話す。

 デジタルハリウッド大学の南雲治嘉名誉教授は「これからの時代、IT技術を持った人材は不可欠で、海外でも積極的に育成をしている。ただ、ITに興味がない子どももいる。幼児のうちは無理強いせず、感受性を育むなど、個性に合った活動をさせる必要がある」と指摘する。

 

 ◆プログラミング教育=コンピューターに意図した動きをさせるのに必要な論理的思考力を身に付けさせる。どんな動きを組み合わせれば、意図した動きになるかなどを考えることで論理性を養う。

 

家庭で学べる玩具も

「キュベット プレイセット」は、コントロールパネル(左)に矢印の形のブロックをはめ、木製ロボットに動きの指示を送る(いずれも提供写真) 「トイオ」は命令カードを並べ、キューブ形のロボットに読み込ませて動きをプログラミングする
「キュベット プレイセット」は、コントロールパネル(左)に矢印の形のブロックをはめ、木製ロボットに動きの指示を送る(いずれも提供写真) 「トイオ」は命令カードを並べ、キューブ形のロボットに読み込ませて動きをプログラミングする
「キュベット プレイセット」は、コントロールパネル(左)に矢印の形のブロックをはめ、木製ロボットに動きの指示を送る(提供写真)
「キュベット プレイセット」は、コントロールパネル(左)に矢印の形のブロックをはめ、木製ロボットに動きの指示を送る(提供写真)

 家庭でプログラミングの考え方を学べる玩具も販売されている。専門家は親子でコミュニケーションを取りながら楽しむよう助言する。

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは3月、ロボットトイ「toio(トイオ)」(希望小売価格税抜き1万6980円)を発売。別売りセット(同5980円)があれば、「いっぽすすむ」「みぎをむく」などと書かれた命令カードを並べ、キューブ形ロボットを走らせて命令を読み込ませることでプログラミングもできる。

 英・プリモトイズ社の「キュベット プレイセット」は、進む方向を示す矢印の形のブロックを、木製のコントロールパネルに順番にはめ込むと、木製ロボットが指示を受信して動く。税抜き2万9600円。

 デンマーク・レゴ社の「WeDo 2.0 基本セット」は、ブロックでロボットを作り、専用のソフトウェアを使ったプログラミングで動かす。税抜き2万4200円。

 子どもへのプログラミング教育を実践するNPO法人「CANVAS」(東京)の理事長、石戸奈々子さんは「プログラミングで何を表現するかが大切。子どもの創造力を刺激するような玩具を選んだ方がいい」と指摘。「親子が一緒に取り組み、遊んだ方が子どももやる気が出る。ほめたり質問したりして、コミュニケーションを取りながら、プログラミングの考え方を学んでほしい」と助言する。

 

しばらく見守る…取材を終えて

 スマートフォンを手にゲームばかりし、勉強に手がつかない子どもを心配する親は多いだろう。我が家もしかりだ。

 いっそのこと、ゲームを作れるプログラミングの基本だけでも身に付けてくれたらと、小学生の息子に教室のパンフレットを見せてみたが、全く興味を示さなかった。取材では、皆が「プログラミング学習を強制しては意味がない」と口をそろえた。しばらくは見守ろう。

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527175 1 子育て 2019/04/09 05:00:00 2019/12/11 10:05:29 プログラミング言語「ビスケット」(東京都品川区で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190408-OYT1I50084-T.jpg?type=thumbnail

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