[生活調べ隊]多胎家庭に安心の子育て…経験者に悩み相談 孤立防ぐ

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 双子や三つ子など「多胎児」の子育て支援が広がりつつある。多胎児ならではの育児を学ぶ場や、大変さを共有できる機会が少なく、親は孤立しがちだ。安心して子育てができるためには、何が必要なのだろうか。(矢子奈穂)

 10月下旬、東京都東村山市で開かれた「ゆりかご多胎児の会」。同市が年4回、多胎児の親同士が語り合える場を設けている。保健師らに相談もできる。この日は、双子連れの母親2人と三つ子を妊娠中の女性1人が参加した。

 今年2月に男女の双子を出産した母親(32)は「子どもたちの寝る時間も授乳の時間もまちまちで、休む暇もない。悩みや愚痴を話せるとリフレッシュになる」と話した。

 1歳の双子をもつ母親(40)は「掃除や買い物も一苦労。一時預かりなどの費用やおむつ代などお金もかさむ」と語った。

 2人は、妊娠中の女性(30)に、周囲に頼る大切さや、役立つ育児用品などをアドバイス。女性は「帝王切開で早産で産む予定。不安だが、先輩ママの話が聞けてよかった。産後が楽しみになった」と笑顔を見せた。

        ◇

 厚生労働省によると、2017年の多胎児の出産件数は9914件。ほぼ100件に1件の割合だ。

 子育て支援事業を手がけるNPO法人「フローレンス」(東京)が今秋、多胎児の保護者1591人に尋ねた調査では、93%が「気持ちが落ち込んだり、子どもにネガティブな感情を持ったりしたことがある」と答えた。悩みに関する質問(複数回答)では「外出や移動が困難」が89%と最も多く、「自分の時間がとれない」「睡眠不足・体調不良」がともに77%に上った。

 愛知県豊田市で昨年1月、母親が生後11か月の三つ子の次男を畳にたたきつけ、死亡させる事件が起きた。事件を受け、多胎家庭を支える取り組みへの関心が高まってきた。

 岐阜県のNPO法人「ぎふ多胎ネット」は、出産前のパパママ教室を開いているほか、多胎児の育児経験者が入院中の妊婦を訪問して相談を受けたり、自治体の乳幼児健診に同行したりしている。

 埼玉県川越市は、妊娠中から子どもが1歳になるまで、無料で最大32回、ヘルパーが育児や家事を支援する制度がある。東京都荒川区は、タクシーや一時保育の利用料を補助している。

 一方、多胎児の親でつくる団体「ツインズエイド」代表の稲垣智衣さんは「多胎児の出産は早産などのリスクが高く、産後も負担が大きい。1人の子の出産を想定した『パパママ教室』はあまり参考にならない。多胎児に特化した妊娠や育児の情報を学べたり、悩みを相談できたりする体制を充実させてほしい」と訴える。

 厚生労働省は来年度、多胎家庭向けの補助制度を創設する方針だ。多胎児の育児経験者らと話せる機会や、乳幼児健診時に「育児サポーター」が自宅に出向いて付き添うなどの支援事業費を来年度予算に計上した。

 一般社団法人「日本多胎支援協会」代表理事で、十文字学園女子大教授の布施晴美さんは「まずは市区町村が、多胎家庭を孤立させないことが重要。医療機関や支援団体などと連携し、情報提供や支援の体制を整えるべきだ」と話している。

出産、発育、費用…困難多く

 厚生労働省によると、多胎妊娠は母体への負担が大きく、妊娠糖尿病などのリスクも高い。早産の割合も高く、出生時の子ども1人あたりの平均体重は、双子は約2200グラム、三つ子は約1700グラムと、一人だけの場合より小さい。

 出産後はおむつ代など一度にかかる費用の負担も大きい。双子を乗せたベビーカーを押して歩く際は、着替えなどの荷物も多く、重くなるため、家にこもりがちになりやすい。多胎児の親やその家族は、こうした課題を妊娠時から知っておくことが大切だ。

 日本多胎支援協会代表理事の布施晴美さんは、多胎児の親は、大きく四つの点で悩んだり困難を抱えたりしやすいと指摘する=表=。複数の要因が重なることも多い。

 同協会は、多胎児の育児のヒントをまとめた冊子「ふたごポケットブックシリーズ」(1部300円税込み)を作成。多胎妊娠中の過ごし方や出産、2人同時に授乳する方法や子どもの発育傾向など計3冊ある。ホームページ(http://jamba.or.jp/)で、全国にある多胎児の親のサークル情報も掲載している。

 多胎家庭の調査結果をもとに、大学教授や当事者らが作成した「ふたご手帖てちょう」(1000円税込み)は、父親への助言、多胎妊娠や出産、育児の情報をまとめた。双子の成長を一冊に記録できるノートも付いている。

 厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/index.html)でも、多胎児の親への助言を盛り込んだすごろく「ふたご、みつごを育てるあなたへ」を掲載。同省の担当者は「不安なことや分からないことは、自治体の窓口や保健センターに遠慮せずに相談してほしい」と呼びかけている。

当事者の声 大事

 ◎取材を終えて 取材中、「万が一に備え、哺乳瓶を9本買った」「双子用ベビーカーは大きい。家から一番近くのスーパーは通路の幅が狭くて利用できない」など、双子や三つ子の育児話を聞いた。

 年齢の異なる2人の子どもを育てているが、多胎児を育てる親の悩みや負担は想像以上だった。一方、多胎家庭が集まる場を児童館などに設けることが、多胎児の親の支えにつながることも知った。当事者の声に耳を傾ける大切さをあらためて痛感した。

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929969 0 子育てサロン 2019/12/03 05:00:00 2019/12/03 13:33:32 2019/12/03 13:33:32 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191202-OYT8I50057-T.jpg?type=thumbnail

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