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    スクールデイズ

    仕事と両立 35歳で大学へ…中江有里さん

    聞き手・中谷和義

    女優・作家

    • 中江有里さん(萩本朋子撮影)
      中江有里さん(萩本朋子撮影)

     出身は大阪市です。幼い頃から引っ込み思案で集団生活になじめず、学校は苦手でした。

     小学生の時、両親が離婚しました。母は働いていたので中学校では習い事もせず、家事は自分でしていました。本やテレビが好きで、ドラマ「男女7人夏物語」を見て、脚本家の仕事に憧れました。現実逃避だったんですね。

     学校では、先輩にいじめられたこともあります。校舎の裏に呼び出されたり。先輩に絶対服従、という理不尽さに納得できず、運動部に入らなかったので、生意気だと思われたのかもしれません。

     帰宅して泣いたこともあります。ある日、母に問いつめられました。話を聞いた母は学校へ行き、相手の先輩と話したようでした。その後、いじめはなくなりました。

     中学2年の時、親類が応募したオーディションで最終選考まで残りました。芸能界に入れば現実から抜け出せると思って挑戦を続け、高校1年でデビューできました。

     高校は、計4校に通いました。最初は大阪の女子校、次は本格的に仕事をするため東京の定時制高校、さらに午前部のある定時制に移りました。そこも、仕事との両立が難しくなり自主退学。最後は通信制高校で2年学び、卒業した時は20歳になっていました。

     高校は、やめた方が楽だと分かっていましたが、ある先生が「自分一人で頑張らなくてもいいんじゃないの」と励ましてくれました。友人にノートを借りたりして、何とか卒業できました。

     読書はずっと好きで、書評番組に出演していた時は、年に300冊を読みました。きちんと体系的に学びたくなり、35歳で法政大通信教育部の文学部日本文学科へ。手続きの時、高校の卒業証明書を見て「あの時、卒業していて良かった」と実感しました。教室には退職者、主婦、経営者なども多く、皆、学び直したいという純粋な気持ちでした。

     メディアや講演を通じて、本の楽しさを伝えることがライフワークになっています。自分は本に救われたので、恩返しだと思っています。

    プロフィル
    なかえ・ゆり
     1973年生まれ。ドラマや映画で活躍する傍ら、2002年に「納豆ウドン」で第23回NHK大阪ラジオドラマ脚本懸賞最高賞を受賞。NHK―BSの書評番組「週刊ブックレビュー」の司会も務めた。6月から読売新聞の購読者向けデジタルサービス「読売プレミアム」で小説「トランスファー」を連載中。

    (2018年7月12日付読売新聞朝刊掲載)

    2018年07月16日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun