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    スクールデイズ

    小3で執筆 小説家の原点…辻村深月さん

    聞き手・佐藤寛之

    作家

    • 辻村深月さん(高橋美帆撮影)
      辻村深月さん(高橋美帆撮影)

     山梨県石和町(現笛吹市)で育ちました。父は町役場に勤め、母は保健師でした。桃農家だった祖父母の桃畑でよく遊び、受粉などの手伝いをしたことも覚えています。

     私が生まれた時、司書だった大叔母が絵本を20冊プレゼントしてくれたこともあり、幼い頃から本が大好きでした。2週間に1回やってくる移動図書館も楽しみでした。

     小学校に入ると、図書室が広大な森のように感じられて、よく足を運びました。ミステリー、ホラー、ファンタジー、純文学と、何でも読みました。司書の先生とおしゃべりするのも楽しかったです。

     小学3年の時、初めて小説を書きました。当時のクラスでは、恋愛小説を書いて読み合うことがはやっていて、私は「さまよえる悪霊の中に」というホラー小説を書きました。あまり読んでもらえませんでしたが、最後まで仕上げたことが小説家としての原点だと思っています。

     アニメやマンガ、ゲームからも影響を受け、中学ではファンタジー小説も書き始めました。「おもしろい」よりも「続きを読みたい」と言われるのがうれしかったです。

     高校は私立の進学校に進みましたが、受験勉強に追われ、息苦しさを感じることもありました。深夜まで宿題に追われる中、夜中に小説を書くことで、うまくメリハリがつきました。もし、自由に書ける環境だったら飽きていたかもしれません。

     大学は、ミステリー研究会があることから千葉大へ。教員をしながら執筆活動をしようと、教育学部を選びました。4年の時、小学校の教育実習に行きましたが、周りの学生が真剣に教員を目指す姿を見て「かなわないな」と思いました。実家に戻って団体職員として働きながら、作家を目指しました。

     「なぜ、こんなに中高生のことを書けるんですか」とよく聞かれますが、覚えているんです。過去の経験から、大人をどう思っていたか、大人にどう接してほしかったかを書いています。学生時代に、教室の中に忘れたものを眺めているのかもしれませんね。

    プロフィル
    つじむら・みづき
     1980年生まれ。思春期の若者の揺れる心を描写する作品が、高い人気を誇る。2012年、「鍵のない夢を見る」で第147回直木賞を受賞。18年4月、「かがみの孤城」(ポプラ社)で本屋大賞を受賞。

     (2018年8月2日付読売新聞朝刊掲載)

    2018年08月06日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun