文字サイズ
    学校、受験など教育に関する掘り下げた記事をタイトルごとに掲載します。
    スクールデイズ

    深夜ラジオ 演芸に目覚める…神田松之丞さん

    聞き手・渡辺光彦

    講談師

    • 神田松之丞さん(高橋美帆撮影)
      神田松之丞さん(高橋美帆撮影)

     幼年の一時期を除いて、東京の池袋で生まれ育ちました。小さい頃、急に自転車に乗れた日のことを覚えています。時間がたつのも忘れて、毎日練習しました。コツコツと努力を続けると、急にできるようになる日がくるというのは、大きな発見でした。

     興味を持ったことには打ち込むタイプです。人気漫画「スラムダンク」の影響で、小学校から始めたバスケットボールは、休み時間もひたすらシュート練習をしていました。その反面、勉強面は一方的に教えられる授業に興味を持てず、数値で評価されることも嫌いで、成績は可もなく不可もなくでした。

     中学時代からラジオを熱心に聞くようになったのですが、高校2年生の時に深夜のラジオ番組で名人の落語を聞き、魅力にとりつかれました。自分は会社勤めに向いているとは思えず、死ぬまで続けられる仕事を見つけたいと思っていたので、落語を中心に演芸のことを調べました。

     歴史的な出来事や人情の機微を語って聞かせる講談や、落語などに足を運んで、自分が進むべき道を決めるために、大学の4年間を使おうと決めました。1年間の浪人生活を含む5年間、能や狂言、文楽なども含めて幅広く通いました。

     大学時代は、あくまでも演芸にたくさん触れるための期間のつもりでしたが、主体的に学ぶ楽しさについても知りました。所属した農業に関するゼミでは、農家などに話を聞きに行く機会がありました。話を聞くうちに、人の人生や人の歴史が面白いんだと気づきました。それは、既に目指そうと決めていた講談と同じなんだと再確認することになりました。

     卒業後、神田松鯉しょうり先生に弟子入りしました。寝食を忘れて打ち込み、評価してくれる人も増えましたが、最近は忙しく、限られた時間の使い方を意識しています。ここが正念場だと感じています。子供の頃に夢中になった自転車やバスケなど、同じことを繰り返しても苦にならなかった集中力が求められていると、自分に言い聞かせています。

    プロフィル
    かんだ・まつのじょう
     1983年生まれ。2007年、神田松鯉に入門し、12年に二ツ目昇進。TBSラジオ「神田松之丞 問わず語りの松之丞」のパーソナリティーを務める。CD「松之丞 講談―シブラク名演集―」「松之丞ひとり―名演集―」を出し、著書に「神田松之丞 講談入門」がある。

    (2018年10月4日付読売新聞朝刊掲載)

    2018年10月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun