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    スクールデイズ

    高2 映画の主役に抜てき…光石研さん

    聞き手・横山航

    俳優

    • 光石研さん(園田寛志郎撮影)
      光石研さん(園田寛志郎撮影)

     北九州市の黒崎という街で生まれ育ちました。製鉄会社の下請け工場が点在し、その労働者が遊ぶ繁華街。にぎやかで、荒っぽくて、おっかない人もたくさんいましたね。

     両親は共働きのサラリーマン。ふざけるのが好きで、人前でザ・ドリフターズの物まねをするような明るい子でした。勉強は嫌いで、中学からはやんちゃばかり。何とか入った高校も、1年生の時は行ったり行かなかったりで、自分でも、このままじゃ将来はまずいと思っていました。

     そんな時、人生で一番大きな出来事がありました。青春映画「博多っ子純情」のオーディションです。男子3人が主人公なので、2年生の7月、友達に誘われて3人で受けました。まあ、遊び半分です。会場にはたくさんの人がいて、数人ずつ呼ばれました。前日にケンカして額にばんそうこうを貼っていたのですが、それを見た審査員に「ケンカのまねをしてみて」と言われ、調子に乗ってやったら注目されたようです。その夜には主役に決まりました。

     片田舎の若者が、メジャー映画のプロジェクトに放り込まれたわけです。10日ほど後に博多ロケが始まり、毎日出番があるから夢中でした。周りがみんな標準語というのも初めて。スタッフがバスからどんどん荷物を降ろし、撮影が終わると一気に片付けて次の場所へ。現場のダイナミズムがあり、スタッフのラフなジーパン姿もかっこよくて、こんな世界に行きたいと憧れました。

     監督に言われるまま演技しただけですが、東京での撮影も含めて1か月半ほどの間、楽しくて刺激的でしたね。学校に戻った時には、どこか気持ちが落ち着いていました。俳優になろうと決心し、卒業後に上京。撮影時にかわいがってくれたスタッフの引きもあって、ドラマなどに出るようになりました。

     もう40年たちますが、あの時のわくわくした気持ちをまた味わいたくて、俳優の仕事を続けている気がします。現場に行きたい、次の現場に行けば味わえるかも、と思う。それほど強烈な思い出です。

    プロフィル
    みついし・けん
     1961年生まれ。78年に映画「博多っ子純情」でデビューし、幅広い役柄をこなす名脇役として活躍。映画「共喰い」(2013年)、「恋人たち」(15年)、TVドラマ「バイプレイヤーズ」(17年)など多数の出演作を持つ。

     (2018年11月1日付読売新聞朝刊掲載)

    2018年11月05日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun