[聞いてみました]高校での歩み 入試で評価を…順天中学高校長 長塚篤夫さん

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 文部科学省は2020年度からの大学入試改革で、授業での探究学習や部活動といった様々な経験を踏まえ、受験生を多面的に評価するよう各大学に求めています。評価材料として、生徒自ら高校時代の活動を記録する「e(イー)ポートフォリオ」が今年度の入試から活用され、高校の調査書を充実させる動きも進んでいます。こうした国の議論に現役高校長として関わった長塚篤夫さんに、学校現場の受け止めや課題を聞いてみました。(上田詔子)

1951年、茨城県生まれ。75年に私立順天高校(東京都)の理科教員となり、99年から順天中学高校長。2015~16年、文部科学省が設置した「高大接続システム改革会議」の委員を務め、大学入試の多面的評価についての議論に参加した。
1951年、茨城県生まれ。75年に私立順天高校(東京都)の理科教員となり、99年から順天中学高校長。2015~16年、文部科学省が設置した「高大接続システム改革会議」の委員を務め、大学入試の多面的評価についての議論に参加した。

 

 ――なぜ多面的な評価が求められるのか。

 「筆記試験による一発勝負で知識偏重の大学入試から脱却するためだ。高校は教科の学習だけでなく、部活動や学校行事などを通して全人的な教育を行う。それを入試の評価から除外するのはおかしい。また、受験生の資質や能力を総合的に評価するのは世界的な流れ。その方法として、生徒が自分で学習内容や活動を書き込むeポートフォリオの活用や、教員が作る調査書の充実が進められている」

 ――eポートフォリオの活用状況は。

 「今年度は群馬大や関西学院大などが、eポートフォリオを一部の入試で合否判定に使っており、今後さらに拡大するだろう。私の高校ではまだ入試で提出した例はないが、1、2年生が今後活用できるよう、授業や行事、部活動を通した学内での学び、資格取得や留学といった学外での成果をデータベースに蓄積し始めている。ただ記録するだけでなく、教育に生かすことが重要だ。生徒には学びや活動を通して、自分にどんな資質・能力が身についたか意識させ、教員はそれをみながら、生徒が次の目標に向かえるよう指導することを大切にしている」

 ――調査書はどう変わるか。

 「これまで1枚の表裏のみだったが、20年度から枚数制限がなくなり、学習や行動面の特徴に加え、留学経験や資格、表彰の記録など学内外の活動を具体的に書くよう求められる。電子化も検討されている。教員は課外活動を含む生徒の全てを把握する必要があり、負担は重い」

 ――ポートフォリオ、調査書ともに記載内容の点数化が検討されている。

 「これまで調査書は、大学に提出しても一般入試でほとんど活用されなかった。迅速に多数の合否を判定できないからだ。今、一部の大学が、部活動の部長は何点、全国大会の表彰は何点などと点数化し、合否判定に活用することを検討している。ただ機械的に点数化するだけでは、学校や生徒が得点のために行動し、主体性などを評価する本来の目的と逆行しかねない」

 ――大学に求めることは。

 「各大学が今後、記載内容をどう活用するか分からず、現場は生徒に何を書かせればいいのか戸惑っている。早く詳細が明らかになるのを期待している。また、記載内容を点数化するより、高校3年間の成長過程や将来伸びる資質があるかをしっかり評価できるよう、専門的な人材を育成してほしい」

eポートフォリオ 高校生らが探究活動、部活動、表彰といった学内外の活動履歴をパソコンなどで自ら入力する。今年度は大学出願時に提出できるシステムがスタート。文部科学省の委託事業で関西学院大が運営・管理し、今年度は11大学が一部入試で合否判定に使う。例えば、関西学院大は教育学部の一部入試で調査書と一緒に採点。合計点の約2%の10点を配分する。システムには既に全高校の6割程度の約3100校、生徒13万人以上が登録し、記入も始まっている。

 

成長の軌跡 見てほしい

 部活動のバドミントンに明け暮れた高校時代、ヒラ部員の私にはPRできる肩書や成果はなかった。ただ、格好悪くても諦めなければ一歩ずつ成長できることを学んだ。年70万人超の受験生がいることを思えば点数化も理解できるが、失敗や挫折を含めた成長の軌跡が、しっかり評価される仕組みにしてほしい。(上)

 

416828 1 教育 2019/02/01 05:00:00 2019/02/01 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190201-OYT8I50004-T.jpg?type=thumbnail

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