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個性を伸ばす

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 読売新聞朝刊教育面の第2、第5水曜日に「ニュースde道徳」を掲載しています。12日の朝刊は、義足のモデルのニュースを取りあげました。個性とは何か、個性を伸ばすきっかけなどを考えてもらう内容でした。関連したニュースには以下のようなものがあります。

教えすぎず、選手に考えさせる

 2019年のラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会は、日本代表チームの躍進などで国内でのラグビーへの関心を高めました。小野沢宏時さんは19年に発足した女子7人制ラグビーチーム「アザレア・セブン」(静岡県袋井市)の初代監督を務め、今は、チームディレクターとして、選手を支えています。

 小野沢さんはラグビー・トップリーグの強豪サントリーサンゴリアスなどで活躍しました。日本代表としてもW杯で、03年、07年、11年の3大会連続でトライを決めました。17年に一線を退いてからは、仲間とラグビーアカデミーを設立し、子どもたちの指導にあたってきました。

 アザレア・セブンの監督就任の打診は唐突でした。18年11月に静岡県教育委員として県庁を訪れた際、偶然、チームの代表理事を務めることになるラグビー界の名将・清宮克幸氏に会ったのです。そこで、「今から、お前を連れてアザレア・セブンの設立を知事に報告しに行く。監督やってくれるよな」と言われたのです。

 選手への指導理念は決まっていました。「『ああしろ、こうしろ』とかっちり教えることは窮屈。選手に考えさせる」ことでした。

 アザレア・セブンでも、教えすぎないことを徹底しています。「それぞれの個性をいかしながらボールをどう前に運ぶのか、選手自身が考えることが重要。自分は、その考える枠を設定するのが仕事」だそうです。指導を受ける選手は「同じ練習はほとんどしないので、毎回、自発的な言動が求められる。チームがまとまりを欠いたときには、解決に導くようにヒントをくれる」と話しています。

 昨年は、新型コロナウイルスの影響で、国内最上位リーグへの昇格につながる試合が中止になってしまいました。しかし、選手たちの意欲は衰えることはなく、チームの成長をひしひしと感じています。「うまくなりたい気持ちがあって、場所も時間もあるのは幸せなことだ。2倍、3倍に良くなる可能性しかない。新しいスタイルのラグビーを見せてほしい」と期待をかけます。

個性を爆発させられる生き方を

 井上香織さんは、祖父母が暮らした松江市で、宍道湖と中海を結ぶ大橋川などにある水辺エリアの活用方法を探ったり、廃校で大学生と漂着ゴミを使ったアート作品の展示を企画したりと、地域活性化に取り組んでいます。「街の中に市民自らが参加して楽しめる、ワクワクする場をつくりたい」と意気込んでいます。

 北九州市出身。高校時代、ベトナムで地雷除去に取り組むNGO団体のドキュメンタリー番組をテレビで見て、「自分もこんな活動をしたい」と夢を描き、卒業後、当時高度経済成長の真っただ中だった中国への留学を決意。「あいさつぐらいしか話せなかったが、直接肌で感じてみたかった」と現地に渡り、語学学校で3か月間学び、上海の華東師範大学に入学しました。

 急成長を遂げる街で、40階建て高層ビルと昔ながらの市場が隣り合う姿に心を躍らせました。夏休みはバックパッカーとして、中国国内やラオス、インドを巡り、大学3年の時には米ペンシルベニア大学に留学しました。

 「個性を爆発させられる生き方をしたい」と、大学卒業が近づいても「普通」には就職活動をせず、知人を介して上海の会社に就職しました。機械部品を手荷物などとして運ぶユニークなサービスで3年間、世界中を飛び回った後、帰郷しました。その後も、幼児教育を手がける団体の講師、中国人向けのチケット販売会社、京都の雑貨店の店舗スタッフ……。「ワクワクすることに挑戦したい」との思いで、さまざまな業界を経験して20代を過ごしたのです。

 ◇転機

 日々の生活は充実した一方、「自らの手で何かを生み出したい」との思いが芽生え始めた18年秋、転機が訪れました。

 松江市鹿島町に住んでいた父方の祖母の体調が悪化し、「ゆっくり話がしたい」と島根への移住を考え始めていると、友人から地域おこし協力隊を勧められ、市の隊員に応募しました。19年3月、引っ越し前日に祖母は亡くなってしまいましたが、「おばあちゃんの縁なのかな」と活動を始めました。

 1年目は「何でもしたい」と音楽祭や夏祭りなどに参加し、人とのつながりを広げたのですが「楽しいけど迷いや焦りの方が大きかった」そうです。自分のやりたいことと、協力隊員としてどのように貢献していくかに、日々葛藤しました。

 2年目に入り、ようやく漠然としていた思いが形となりました。市のイベントをきっかけに出会ったメンバー2人と有志団体「どっこい舎」を結成したのです。コロナ禍で松江の夏を彩る「松江水郷祭」が中止となった昨年、市内で疫病退散を願った花火の打ち上げをメンバーや地元の花火師らと一緒に企画しました。

 8月には、宍道湖と中海の間にある松江市西川津町の水田から、盆に迎えた先祖の霊を送り出す「送り火」として、花火を打ち上げました。その後、大橋川の工事で出来た空き地で、地域を盛り上げるため、たき火で温まりながらホットワインやチャイを楽しめるリヤカー屋台「ROKKAKU」を開店しました。

 「自分のやりたいことに挑む場を与えてもらった」と感じ、今後も松江での活動を続けるそうです。

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2032674 1 教育 2021/05/12 05:20:00 2021/05/13 09:45:11 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210506-OYT8I50030-T.jpg?type=thumbnail

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