民間英語試験、高校生に不安と負担「受けざるを得ない」
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高2 来年度向け不安
2020年度から始まる大学入学共通テストで活用される英語民間試験について、国の成績提供システムに参加する大学が4日、発表された。私立大を中心に各大学の対応は分かれ、高校生らからは「志望校の1校でも参加すれば民間試験を受けるしかないが、具体的な戦略は立てられない」などの声が聞かれた。
「志望校は青山学院と明治。参加、不参加で分かれたが、民間試験は受けざるを得ないと思う」
東京都内の私立高2年の男子(16)はこう語る。最終的な志望校の絞り込みはまだだが「入試の全体像が見えず不安だ」とこぼした。
この日、文部科学省が公表したのは国のシステムに参加する大学名のみ。参加校には大学入試センター経由で民間試験の成績が提供されるが、成績を一部の学部、学科だけで活用したり、活用方法を決めていなかったりする大学もある。参加は見送ったが独自に民間試験を課す大学もあり、受験生に十分な情報が渡っているとは言い難い。
別の私立高2年の男子(17)は「志望する2校は参加する。来春までに練習で3種類ほど受けたいが、負担も大きい」と話した。
民間試験では、実用英語技能検定が先月から予約申し込みを受け付けており高校も対応を迫られている。千葉県立高の英語の男性教諭(57)は「生徒には民間試験の受験を勧めるしかない」という。岐阜県立高の男性教諭(43)は「出願資格とするか、加点するかなど活用方法で戦略は変わるのに情報が足りない」と嘆く。
駿台教育研究所の石原賢一・進学情報事業部長は「今回の発表では学部・学科ごとの活用方針が分からず、受験生の求めに応え切れていない。結局、大半の受験生は民間試験を受けるだろう」とみている。
萩生田文科相は4日の閣議後記者会見で「もう少し多くの大学が参加する仕組みなら良かった」として、大学や高校の関係者らと会議を開き、改善に向けた協議を始める考えを示した。