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ウィズコロナ(コロナとの共存)で子供たちが自宅学習する時間が増える中、動画で学ぶ「教育系ユーチューブ」が人気を集めている。動画投稿者は塾講師ら「本職」にとどまらず、トーク術にたけたお笑いタレントにも広がり、200万回視聴を達成したケースも。一方で、正確性を欠く動画もあり、保護者に内容を見極める力が求められている。
小島よしおさんの小学校

「3+3+3は~?」
画面の向こうから問いかけるのは、お笑いタレントの小島よしおさん(39)。足し算をかけ算に置き換えることを問う出題に、大阪府東大阪市の女の子(4)が元気な声で答えた。「3×3!」
女の子が見ているのは、小島さんがコロナ禍の4月上旬からユーチューブで始めた「小島よしおのおっぱっぴー小学校」。小学生向けの算数を教える動画などをこれまでに19本公開し、視聴回数は累計約210万回。おなじみのギャグ「そんなの関係ねえ!」も織り交ぜ、わかりやすく伝える。
女の子の母親(41)によると、通園する幼稚園が3月半ばから休園となり、動画を見せたところ、夢中に。園再開後も見続けている。
小島さんは早稲田大教育学部出身。取材に「今後も笑って学べる授業を作れればと思います」とコメントを寄せた。
無料で視聴
「教育系ユーチューブ」は、児童向けから社会人を対象とするものまで幅広く、投稿者も大学生や医師ら多岐にわたる。動画の視聴時間に応じて得られる広告収入で生計を立てる人もいる。視聴は無料のため、生活困窮家庭の学習ツールとしても注目されている。
コロナ禍以降はお笑いタレントも続々参入。カズレーザーさん(36)が日本史や世界史を解説したり、ゴルゴ松本さん(53)が少年院での講演活動経験を基に道徳を教えたりしている。
チェックなし
内容を巡る騒動も起きている。視聴回数が毎回数十万回に達するある人気お笑いタレントが昨年4月に投稿したイスラム教の歴史に関する動画について、専門家が誤りを指摘。動画が削除される一幕があった。
文部科学省によると、学校の教諭は、教員免許を取得して採用試験に合格しなければ原則教壇に立てない。指導が不適切と認定された場合は教育委員会の研修を受ける必要がある。
「教育系ユーチューブ」は現状、指導内容の適正さをチェックする仕組みがない。小島さんは学習塾の協力を得て内容を監修してもらっているという。
内容の真偽 親が確認を
子供のインターネット事情に詳しい竹内和雄・兵庫県立大准教授(生徒指導論)の話「動画は学問に関心を持つきっかけとして意味がある。ただし、子供が内容の真偽を見極めるのは難しく、親は時々一緒に見てあげたり、動画の誤りがネットで指摘されていないか確認したりするべきだ」