広がる「地元で修学旅行」…観光事業者支援や地域の良さ発見に効果も

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 新型コロナウイルスを警戒して、修学旅行の行き先を遠方の観光地から学校の所在地と同じ県内に変更する動きが広がっている。コロナ禍の影響を受けている宿泊、観光事業者の支援につなげようと、補助金を出す自治体もあり、関係者は「地域の良さを知るきっかけになる」と期待している。(北瀬太一、今村真樹)

◆感染予防のため

 「写真撮って」「あっちの恐竜を見に行こう」

 福井県北部にある勝山市の県立恐竜博物館に1日、児童のにぎやかな声が響いた。修学旅行で訪れた同県南部の敦賀市立粟野小学校の6年生約90人。数人ずつのグループに分かれて、展示室中央にあるティラノサウルスのロボットの前で記念撮影をしたり、クイズラリーに挑戦したりした。来館は初めてという男児(12)は「友達と一緒にクイズの答えを考えて、盛り上がった」と笑顔を見せた。

 同校は例年、修学旅行で奈良市の東大寺や大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を訪れていたが、感染予防のため変更した。橋本ユミ子校長(57)は「子供たちは修学旅行に行けるか不安だったようで、行き先が県内でも大喜びしていた。地元の魅力を学ぶ機会になり、保護者にも、遠くに行くより安心と好評だった」と話す。

 福井県内の小、中学校の多くは例年、関東や関西を訪れている。県は行き先を県内に変更した小、中学校や高校に、児童生徒1人当たり最大1万5000円、県北部と県南部を行き来する場合はさらに1学級3万円を補助する。9月末時点で小中学校約220校が利用する見通しだという。担当者は「県内の観光地も客が減っているので、支援につながる」と話す。

◆支援広がる

 地元への修学旅行を支援する自治体は相次いでいる。

 鳥取県は、県内に行き先を変えた県立学校などに1人1泊5000円(2泊まで)を支援する制度を導入。三重県では市町立学校も含めて1人最大5000円を出す。

 福岡県や宮崎県は、県内を周遊する学校に、バス代の一部を補助。青森県北部のむつ市は、6時間以上の行程で市内の観光施設などを訪れた県内の学校にバス代を助成する。同市と近隣の5町村でつくる「しもきたTABIあしすと」は「むつ市を拠点に近隣の町村にも足を運んでほしい」としている。

◆新名所

 「地元重視」の流れのなかで、これまで修学旅行客の少なかった場所が注目される例もある。

 世界遺産・熊野古道の和歌山県那智勝浦町には、12月までに県内を中心に、修学旅行で100校以上が訪れる予定だ。町などが設立した那智勝浦観光機構の担当者は「交通が不便で敬遠されがちだったが、密になりにくい点が評価された。豊かな自然と歴史をPRしたい」と力を込めた。

 平和教育の場として、9月に受け入れを始めた兵庫県加西市の旧海軍鶉野うずらの飛行場跡には、年末までに県内や大阪府などの小中学校26校から見学の予約が入った。市担当者は「想像以上の反響。日程が合わず断った学校もある」と驚いている。

 滋賀県の琵琶湖や、京都府舞鶴市の舞鶴引揚記念館なども、同じ府県内や近畿各地から訪れる学校が急増しているという。

 文部科学省は修学旅行をいったん中止した場合も実施を再検討するよう10月2日、都道府県教委などに通知。萩生田文科相も「子供にとってかけがえのない思い出となり、教育効果も高い」と実施を求めた。

 立命館大の遠藤英樹教授(観光社会学)の話「足元の魅力を掘り起こすことで、観光振興だけでなく、子供の古里を大切にする心を育むことにつながる。修学旅行の新しい選択肢になる可能性を秘めている」

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1539657 0 ニュース 2020/10/11 05:00:00 2020/10/11 05:00:00 2020/10/11 05:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201011-OYT1I50040-T.jpg?type=thumbnail

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