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新型コロナウイルスの感染が再び拡大するなか、本格的な大学入試シーズンを前に各地の大学が対応を迫られている。東京での入試を取りやめたり、英語のスピーキング(話す)テストを中止したりするなど、感染のリスクを下げるため、各校は知恵を絞っている。

■密を避ける
福井県立大(福井)は、東京でも実施してきた2次試験を今回は中止し、県内2か所と大阪、名古屋、金沢の5会場とする。東京の受験者数は例年150人ほどだが、担当者は「東京会場には関東や東北の受験生が集まり、その分、感染リスクが高まる。今後の状況が見通せないことから、判断した」と語る。
東京都内のキャンパスに加えて、仙台、大阪、福岡など地方5会場で一般入試をしていた津田塾大(東京)は、地方会場での試験を取りやめた。担当者は「苦渋の決断だが、安全を第一に考えた」と語った。
受験生を分散させようと、京都外国語大(京都)は、地方試験の会場に「大阪」を加える。京都市右京区のキャンパス内には少人数教育に対応した教室が多いといい、大阪市中心部の多目的施設にも試験会場を設け、スペースに余裕を持たせる。
■飛沫防ぐ
試験内容を見直す例も。
東京外国語大(東京)は言語文化、国際社会両学部の2次試験で導入予定だった英語のスピーキングテストを見送った。約1500人の受験生が1会場に集まり、一斉に発話してタブレット端末に録音する方式で、安全面の確証が持てないことが理由という。
愛媛大(愛媛)は教育学部や医学部の一部学科の2次試験で、数人ずつで決められたテーマについて話し合う「グループディスカッション」を取りやめた。
■追試も予定
文部科学省は、各大学に対し、入試の際には▽前日に消毒液で机や椅子を拭く▽会場に入る受験生を収容定員の半数程度に抑える▽試験が1科目終わるごとに少なくとも10分間、換気する――ことなどを求めている。
受験生には、会場では昼食時を除いてマスクを着用することや、当日に37・5度以上の熱がある場合は受験を見送り、追試験を検討するよう呼びかけている。
文科省の集計(11月25日時点)では、国公私立大767校のうち698校(91%)が感染した受験生らへの追試験や別日程の試験への振り替えをする予定で、実施しないのは9校(1・2%)だった。2次試験で学力検査の見送りなどを決めたのは6校(0・8%)で、54校(7%)は「検討中」としている。
リクルート進学総研の小林浩所長は「例年とは違う特別な入試となる。感染状況によっては直前に変更がある可能性もあり、受験生はこまめに大学のホームページなどをチェックし、情報を確認してほしい」とアドバイスを送る。