【独自】「アルバイトを『特別活動』に」などずさんな運用…通信制高校の質確保へ文科省が対策
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文部科学省は、20万人が通う通信制高校の一部で不適切な教育がみられるとして、教育の質を保証するための対策に乗り出す方針を固めた。教育計画の策定や情報開示の徹底、施設の基準の強化を目指して、省令などを改正する考えだ。

通信制高校では、放送やインターネットを通じて学習でき、夏休みや週末などに学校で対面の「面接指導」(スクーリング)と試験を受け、単位を取得できる。面接指導は、校外の「サテライト施設」で受けることも可能で、学習を支援する民間の「サポート校」と提携する通信制高校も多い。
学校数は昨年5月時点で257校、生徒数は20万6948人。学校は最近30年間で3倍に増えた。不登校経験者の受け皿となり、自由な学び方を求める生徒らに人気となっている。
ただ、指導の年間計画や詳細な実施方法、学習成果の評価基準などを保護者らに明示する義務はない。文科省の調査では▽生徒が行ったアルバイトを「特別活動」の時間として扱う▽1人の教員が100人超の生徒を面接指導する▽サテライト施設が狭く理科の実験や体育などを十分に行わない――など、ずさんな運用が判明した。
そこで文科省は、各校に教育の実施計画の策定と、生徒や保護者らへの明示を義務づける。サテライト施設は認可する都道府県で基準が異なり、駅前のビル1室を使っている学校もある。こうした施設で教育活動を行うのは不十分だとして、国として統一した基準を示すため、保健室や職員室を備えるなど、学校と同等の施設や教員数を確保することを省令などに明記する。