児童「目がもうダメです」…学校支給の端末、土日は朝から晩まで使用し視力低下の子も

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 学習用端末を巡っては、長時間利用による健康への影響が不安視されている。海外では、教育のデジタル化を進めつつ、子供の健康に配慮し、部分的な端末導入にとどめる事例もある。

紙の教科書「書き込みやすい」デジタル「情報集めやすい」…文科省、小中学生アンケート公表

「黒板見えない」

 東京23区内の区立小学校4年生のクラスで昨年5月、総合学習の授業中、女子児童が「目がもうダメです」と訴えた。担任の女性教諭は、2コマ連続で植物について学習用端末で調べさせていたが、すぐに使用をやめさせた。

 同校では2020年に端末を導入したが、女性教諭はクラスの児童たちの視力の悪化を感じる。「席が遠いと黒板が見えない」と前列を希望する声が目立つようになり、席替えの際、視力の低い児童6~7人を前2列になるようにした。

 文部科学省の研究事業によると、デジタルの教科書を使うと「目に疲れを感じる」と答えた児童は21・8%となり、紙の教科書の14・2%を上回った。

 大阪府の小4男子児童は、学校から支給された端末を持ち帰るようになり、視力が1・2から0・3に落ちたという。学童保育から帰宅した午後6時頃から、母親が仕事から帰る午後8時まで端末のプログラミングアプリで遊び、土日は朝から晩まで使う。母親は「仕事があるので常に何をしているのか見張ることもできない」と嘆く。

 文科省の19年度の学校保健統計調査で視力1・0未満の子供は、小学生34・57%、中学生57・47%、高校生67・64%といずれも過去最多だった。

時間制限

 文科省は昨年3月に改訂したデジタル教科書に関する指針で、「目と画面の距離を30センチ以上離す」「30分に1回は20秒以上画面から目を離す」などの対応を求めている。ただ、成長段階への影響や家庭の使用状況も異なるため、利用時間は示していない。

 和洋女子大の原光彦教授(小児科学)によると、子供の身体は成長を続けていて、外部の影響を受けやすい。端末の使いすぎは近視や運動不足、生活リズムの乱れにつながる恐れもあるという。原教授は「小中学校にデジタル教科書を導入すべきなのか、長所と短所を今一度よく考える必要がある」と話している。

紙を維持

 デジタル化の進む台湾。学校では、健康に配慮しながら端末を活用する。

 台湾教育部(教育省)などの統計では、両目の平均視力0・9未満は、小学1年で26%、高校3年では82%に達する。12歳未満対象の調査で近視の子供は、そうでない子供の倍以上、パソコンなどを使っていた。

 台北市の南湖国民小学校は、12年からタブレット端末を授業で使う。同小の汪明芳校長(57)は「端末を使い様々なことを調べ、問題を解決する力が養われた」と語る一方で、端末の使用の目安は1日2コマまでにしている。1コマ当たりの使用時間は平均して十数分程度だ。子供が画面を見続けないよう、教員が様子を見守る。

 台湾では現在、小中高生12人に1台の割合で端末を配備し、今年9月から、3人に1台を目指して配布を始めるが、全ての授業での使用は想定していない。

 教育部幹部は「健康上の心配に加え、紙で学ぶ方が定着度合いが高い内容もある。紙とデジタルの良い部分を取り入れなければならない」と、今後も紙の教科書を維持するという。

 デジタル教科書や学習用端末に関するご意見、情報をお寄せください。あて先は教育部(メール  kyouiku@yomiuri.com 、ファクス 03・3217・9908)へ。

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