[ニュースde道徳]稀勢の里 なぜ愛されたか

[読者会員限定]
無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 大相撲おおずもう横綱稀勢よこづなきせさとが先月、現役げんえき引退いんたいしました。ただ1人の日本人横綱として、けがとたたかいつづけながら、最後さいごまであきらめない姿勢しせいつらぬき、その姿すがたは、多くのファンからあいされました。

    

2017年の大相撲春場所で、左胸付近のけがを押して出場し優勝した稀勢の里。痛みをこらえながら内閣総理大臣杯を受け取った
2017年の大相撲春場所で、左胸付近のけがを押して出場し優勝した稀勢の里。痛みをこらえながら内閣総理大臣杯を受け取った

 稀勢の里は努力どりょくの人として知られています。中学卒業そつぎょうと同時に相撲界すもうかいに入りましたが、中学校の卒業文集には「天才は生まれつきです。もうなれません。努力です。努力で天才に勝ちます」と書いています。

 その言葉通り、もうげいこにはげみ、2002年の春場所で初土俵はつどひょうむと、17さいで十両昇進しょうしん、18歳で新入幕しんにゅうまくたすなど異例いれいのスピードで出世しました。

 11年に大関おおぜきに昇進すると、足踏あしぶみが続きましたが、大事なところで勝てないという精神面せいしんめんでのもろさをえ、30歳の17年初場所はつばしょ初優勝はつゆうしょうしました。大関になってから31場所目の優勝で、昭和以降いこうもっとおそ記録きろくです。場所後に横綱に昇進し、19年ぶりに誕生たんじょうした日本出身の横綱に相撲界ががりました。

    

 稀勢の里は記憶きおくのこ対戦たいせんをいくつもくりひろげてきました。そのひとつが、平幕ひらまくの時、横綱白鵬はくほう連勝れんしょう記録を63で止めた一番です。稀勢の里について白鵬は、「あの黒星があったからここまで頑張がんばれた」とかえっています。横綱昇進後の春場所でも左胸付近ひだりむねふきんに大けがを負いながらも、千秋楽で逆転ぎゃくてん優勝しました。

 しかし、そのけがのため、よく場所から途中とちゅう休場をくり返し、横綱だった12場所中10場所が途中休場や全休でした。きびしい声の一方、けがとたたかいながらあきらめない姿勢を応援おうえんするファンも多くいました。

 稀勢の里は引退記者会見で「わたしの土俵人生、一片いっぺんいもありません。やりきった気持ち」と話しました。今は親方として力士りきし育成いくせいにあたり、「一生懸命いっしょうけんめいに相撲を取る力士、けがに強い力士」を育てたいそうです。

    

【日本相撲協会きょうかいの八角理事長の言葉】「(横綱で)優勝1回だったが、努力は人のいないところでもやっていただろう。むねって引退でいいんじゃないか」

 [みんなで考えよう]

〈1〉「努力」と「天才」、二つの言葉を比べて、そのイメージを話し合おう。

〈2〉稀勢の里の卒業文集の言葉を読んで考えたことを発表しよう。

〈3〉横綱になってから途中休場や全休が続いた稀勢の里が、人々から愛され続けた理由は何だろうか。

〈4〉どんな生き方をすれば、「悔いのない人生」と言えるようになるだろうか。

 [指導のポイント]

【道徳項目】希望と勇気、努力と強い意志 

【指導目標】稀勢の里の姿や卒業文集の言葉から、目標の達成のため、くじけず努力する意志と実行力を育てる。

【はじめ】黒板に「努力」「天才」と書き、〈1〉を問う。イメージを話し合った後、「この言葉に関係のある人です」と稀勢の里の写真を見せる。稀勢の里について知っていることを発表させ、前文の内容を伝える。

【なか】Aを読み、〈2〉を問う。稀勢の里はどんな思いでこの言葉を書き、どう実行したか、などに焦点をあてる。

 Bを読み、〈3〉を問う。称賛の声ばかりではなく、横綱としての成績に批判があったことも触れる。それでも稀勢の里を応援し続けた多くの人々の思いについて考え、意見交流を行う。

【おわり】Cを読み、〈4〉を問い、人生にどんなところが生かせそうか話し合う。最後に格言「努力に勝る天才なし」を伝える。

    ◇

 監修・佐藤幸司さん 

 山形県村山市立袖崎小学校校長。小学校用だけで500本以上の道徳教材を開発し、全国に約500人の正会員のいる教育研究団体「道徳のチカラ」代表。近刊に「とっておきの道徳授業16」(日本標準)。

《あわせて読みたい》
ニュースde道徳プラス「一片の悔いなし」と言って去りたい

440375 1 新聞@スクール 2019/02/13 05:00:00 2019/02/18 15:30:34 2019/02/18 15:30:34 手負いの新横綱が奇跡を起こした――。大相撲春場所千秋楽の26日、左肩付近のけがを押して出場した稀勢の里関(30)が、大関照ノ富士関との取組を2番連続で制し、劇的な逆転優勝を果たした。「よくがんばった」「ゆっくり休んで」。満員札止めの会場は、快挙をたたえる歓声とねぎらいの拍手に包まれた。2017年3月26日撮影 同月27日東京朝刊掲載 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190212-OYT8I50040-T.jpg?type=thumbnail

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ