[新聞@スクール]月刊ワークシート…5月1日 天皇の代替わり

[読者会員限定]
無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

政治的権力のない「象徴」

 4月30日に天皇陛下(85)が退位され、5月1日に皇太子さま(59)が第126代天皇として即位されます。天皇が代わることを「代替わり」と言います。明治以降、天皇は退位できない仕組みでしたが、2017年に成立した法律で、今の陛下に限って可能になりました。天皇の退位は江戸時代以来、約200年ぶりです。

 天皇とはどのような存在でしょうか。憲法は、「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴」と定めています。元首ではなく、象徴としているのは、政治的な権力を持たないためです。

 天皇の仕事は3種類に分けられます。一つ目は、憲法で定められた公務(国事行為)です。国会が指名した人を内閣総理大臣(首相)に任命したり、法律や条約を公布(広く知らせる)したりしています。全て内閣が決め、天皇に拒否権はありません。

 二つ目は、憲法には書かれていませんが、象徴としての公的な活動(公的行為)です。具体的には、来日した外国の元首をもてなし、文化やスポーツなど様々な分野で活躍する人をねぎらわれています。また、障害を持つ人や、自然災害の被災者に優しく声をかけられます。昭和の戦争で亡くなった戦没者を追悼することも「象徴の務め」として大切にされてきました。

 三つ目は、天皇家の私的な活動(私的行為)です。歴代の天皇は、神々に国の安定や国民の幸せを祈ってきました。今の天皇陛下も年に20回ほど、皇居内の宮中三殿で祈られています。

新元号で新しい時代へ

 皇太子さまは、今年2月の記者会見で、即位を前に「国民と共に喜び、悲しみながら象徴の務めを果たしていきたい」と決意を示されました。代替わりで平成という時代は終わり、新しい元号の時代になります。新元号は4月1日に決定されます。

 

寄り添う心 感じた伴走…パラリンピック銀メダリスト 道下美里さん 42

 みちした・みさと 山口県出身。2016年リオ・パラリンピック視覚障害者マラソン女子で銀メダル。所属は三井住友海上。
 みちした・みさと 山口県出身。2016年リオ・パラリンピック視覚障害者マラソン女子で銀メダル。所属は三井住友海上。

 皇太子こうたいしさまとはじめてお話ししたのは2017年11月。リオデジャネイロ・パラリンピック視覚障害者しかくしょうがいしゃマラソンの銀メダリストとして皇室こうしつの園遊会に招待しょうたいされた時です。

 緊張きんちょうして何を話したのかあまりおぼえていなかったのですが、数か月後、宮内庁くないちょうから「皇太子こうたいしさまが一緒いっしょに走りたいとおっしゃっている」と連絡れんらくが来てびっくり。どうやらわたし、園遊会で皇太子こうたいしさまに「ぜひ一緒いっしょに走りたいです」と話していたそうで、思いを受けとめてくれたことに感激かんげきしました。

 昨年さくねん6月26日。お住まいの赤坂御用ごよう地(東京都港区)をたずね、皇太子こうたいしさまに2キロ強を伴走ばんそうしていただきました。わたしの目は光を感じるだけで、物は見えません。伴走者ばんそうしゃ一緒いっしょに持つ1本のロープをたよりに走ります。

 皇太子こうたいしさまは伴走ばんそうはじめてということで、最初さいしょは少し戸惑とまどわれたご様子でしたが、すぐにれて「右曲がります」とか「はい直線」とか声をかけてくださいました。ロープを引っらないように気を使ってくださり、足元の不安ふあんなく走れて、ロープを通してすごいやさしさが伝わってきました。

 天皇てんのう即位そくいされても、わたしたち国民こくみんの間に分け入り、ってくださると思います。(聞き手・坂場香織かおり、写真・中嶋基樹なかしまもとき

 

[新聞教室]新聞の読み方<10>未来のための震災報道

 「新聞やテレビが被災地ひさいちに向けてくださるまなざしが、3月12日に日付ひづけわる時、しおが引くようにはなれていきはしないか……」

 東日本大震災だいしんさいから5年がたった2016年3月11日、1面コラム「編集へんしゅう手帳」で紹介しょうかいされた読者のお便たよりです。

 3月11日が近づき、多くのページで多角的たかくてき震災しんさい特集とくしゅうが始まっています。被災ひさいから8年。ほうつづけるのはなぜでしょう。

 「第一に、災害さいがいによる犠牲ぎせいを少しでもらすために、東北の教訓きょうくんわすれてはならないからです」。震災報道しんさいほうどうたずさわってきた読売新聞の清水美明しみずよしあき編集へんしゅう委員は説明せつめいします。ただ、復興ふっこう作業が進むまちを見て、あることに気づいたそうです。

 「まち建物たてものつくり直して終わりではなかった。(震災しんさい後に)まちはなれた人が、行政ぎょうせいのぞむようにはもどってこない」

 被災地ひさいち再生さいせいむずかしさです。こうした課題かだいは「まだまだつたわりきっていないと感じている」といいます。

 もう一つの平成へいせい大災害だいさいがい阪神大震災はんしんだいしんさい(1995年)を知らない世代が、現地げんちで年々えています。東日本大震災だいしんさいでも、冒頭ぼうとうのお便たよりのように、風化を心配する声があります。

 震災しんさいかたぎ、被災地ひさいちの「今」をつたえる記事。「とくに地方都市の人たちにとって、この困難こんなん復興ふっこうはよそごとではないのです」(清水編集しみずへんしゅう委員)。3月11日をぎても、震災報道しんさいほうどうつづけていきます。(編成部へんせいぶ

 

[記者より]

 「日本の象徴しょうちょうは?」と聞かれて、さくら富士山ふじさんおもかべる人もいるでしょう。しかし、生身の人間が「象徴しょうちょう」をつとめるのは非常ひじょうむずかしいことです。天皇陛下てんのうへいかは、全国を訪問ほうもんし、国民こくみんが何によろこび、悲しんでいるかを直接ちょくせつ見聞きすることで、象徴しょうちょうのあるべき姿すがたもとめてこられました。

 新天皇てんのうとなる皇太子こうたいしさまも国民こくみんとのいを大切にされています。どのような象徴しょうちょう姿すがたしめされるのか、注目してください。

 太田おおた 雅之まさゆき 1998年入社。福島支局しきょく編成部へんせいぶて、2007年から社会部。現在げんざいは、天皇てんのう代替だいがわり取材しゅざいなどを担当たんとうしている。

474594 1 新聞@スクール 2019/03/06 05:00:00 2019/03/06 05:00:00 2019/03/06 05:00:00 皇太子さまの伴走で走ったときの思いを語るリオデジャネイロ・パラリンピック視覚障害者女子マラソン銀メダリストの道下美里さん(24日、福岡市中央区で)=中嶋基樹撮影 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190305-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ