悩んだらSOS 授業で学ぶ…心の異変把握 深刻化防ぐ

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 悩みやストレスを抱えている子供たちが周囲に助けを求める方法を学ぶ「SOS教育」が小中学校で広がってきた。児童生徒の心の異変を周りの大人がいち早く把握し、深刻化する前に対処するのが狙いだ。国も自殺予防対策の一つとして重視している。(石川純)

相談方法明示

 今年1月、さいたま市立大成小4年の教室で、「『いのちの支え合い』を学ぶ授業」が行われた。

 テーマは、仲間外れにされた級友にどう話しかけるか。子供たちは教員らの寸劇(ロールプレイング)を見た後、2人1組で対処法を話し合った。「学校のアンケートに書くように言う」といった意見も出た。

 さいたま市では2012年から、全市立小中学校の小5~中3の児童生徒を対象に、この授業を実施している。年1回1時間で、「自分が悩んだ時の相談の仕方」(小5)、「ストレスの発散の仕方」(中1)、「自分や友達の深い悩みへの対処の仕方」(中2)など学年ごとに学習内容を示している。

 いずれのケースでも、保護者や教員ら身近な大人に悩みを直接打ち明けたり、国や自治体が設置する電話相談窓口を利用したりして、一人で抱え込まず、助けを求める重要性に気付かせることに主眼を置いている。

あおぞらポスト

子どもたちは、悩みを持つ友達をどのように助けるか考えた(1月、さいたま市立大成小で)
子どもたちは、悩みを持つ友達をどのように助けるか考えた(1月、さいたま市立大成小で)

 大成小では、市のモデル校に指定された昨年度から、この授業を全学年に広げ、悩みがあれば1年生から声をあげる意識付けを図ることにした。

 一方、子供たちが心の内を明かしやすい環境作りにも力を入れ、昨年の2学期以降は毎月、悩み事などのアンケートを実施している。

 子供たちが相談事を書いた用紙を入れられる「あおぞらポスト」も設置しており、用紙を置く場所をそれまでの1か所から4か所に増やし、図書館など子供の目に付きやすい所を加えた。ポストへの相談は例年5、6件だったが、昨年度は32件に急増した。

 長島淑子校長は「授業などの効果があらわれ、子供たちは少しでも悩んだら相談しようという意識が高まった」と話す。

自殺者数横ばい

人口10万人あたりの自殺死亡者数(年代別)の推移
人口10万人あたりの自殺死亡者数(年代別)の推移

 厚生労働省の調査によると、人口10万人あたりの自殺死亡者数は17年、40歳代(19.4人)、50歳代(22.8人)とも08年比で約4割減になった。20歳代(17.7人)、30歳代(18人)も減少傾向にある。しかし、10歳代以下(2.6人)はほぼ横ばいだ。

 17年には、国の自殺総合対策大綱が改定され、子供・若者向けの対策では、悩みを抱える子供に周囲や大人への発信を促す「SOSの出し方に関する教育」(SOS教育)の推進が掲げられた。

 北九州市は昨年度から全市立小中学校で小6、中2の児童生徒を対象に心の状態を自己点検する授業を始めた。

 教員とともにスクールカウンセラーが指導を担当。「イライラしてすぐけんかしたり人にあたったりする」「自分の気持ちは誰にもわかってもらえない」といった選択肢が書かれたシート(心のもやもや度チェック)を使い、つらい時には周囲に相談するよう促す。子供たちを過剰に刺激しないように「自殺」や「自殺予防」といった言葉は極力使わないという。

 中学校で「SOS教育」の出前授業を続ける北海道教育大教職大学院院長の井門正美教授(学校教育学)は「自殺対策には互いに信頼し合い、仲間と学ぶ楽しさを実感できるクラス作りが求められる。学校、教員が子供のSOSに早期に対応できる態勢を整えることも欠かせない」と指摘する。

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