いじめられている君たちへ… 「独りじゃない」届け 名古屋のバンド

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

体験つづった曲 若者ら共感

「スロウハイツと太陽」の4人。左から2番目がリーダーのシミズさん
「スロウハイツと太陽」の4人。左から2番目がリーダーのシミズさん

 名古屋を拠点に活動する4人組ロックバンド「スロウハイツと太陽」が、代表曲「本当につらくなってしまったあなたへ」で注目を集めている。いじめに苦しんだ経験を持つメンバーの実体験をもとにした曲は、一人一人が大切で、かけがえのない存在だということを、飾らない言葉で訴えかける。道徳の授業に取り入れる学校もあるなど、共感が広がっている。(沢村宜樹)

 「スロウハイツと太陽」は2013年、リーダーでボーカルのシミズフウマさん(25)とギターの山田楓記(ふうき)さん(24)が中心となって結成された。後にベースの浅井洸亮(こうすけ)さん(20)、ドラムの瀧田恵太さん(26)が加わり、名古屋市中区のライブハウスを拠点に、年間約50回のライブをこなしている。

 曲はすべてシミズさんが作詞作曲したオリジナル。16年冬に発表した「本当に――」は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公式動画が紹介されると、「涙がとまりません」「つらかった時に出会っていればよかった」などのコメントが寄せられた。

 曲は、小学6年~中学2年の頃にいじめを受けたシミズさんの実体験がモチーフになっている。小学校低学年の時から吃音(きつおん)があったシミズさんは、言葉がうまく出ないことを同級生にからかわれ、その後、いじめを受けるようになった。

 誰にも相談できず、親に心配をかけまいと、つらい気持ちを隠して学校に通い続けた。だが、内心は「何度も死のうと思った。地獄のような日々だった」。

 曲を作るためとはいえ、当時のことを思い出すのはつらかったという。それでも、「あの頃の自分のように、誰にも話せず苦しんでいる子に届けたい」との思いで詞を書き上げた。

 「居場所なんてどこにもないこと 目を合わせてはいけないこと 痛くても痛いと言わないこと 親や先生には話さないこと」

 「でももう生きていけないと思ったこと もう生きてちゃいけないと思ったこと」

 自殺も頭をよぎった当時の気持ちを率直につづり、苦しみの中にある子どもたちにこうエールを送る。

 「あなたは決して独りではないこと 誰かに望まれて生まれてきたこと」

 「あなたがここにいてもいいこと ただ生きていてほしいこと」

 他のメンバーが「言葉の強さに圧倒される」と評した詞はあえてメロディーに乗せず、「ポエトリーリーディング」と呼ばれる技法で心の叫びをストレートに表現した。2月に三重県松阪市でライブを聴いた三重大生の竹中真菜さんと沼田真理さん(ともに19歳)は「心の底から出るような言葉にグッとくる。体験に基づくものだからこそ、共感できるんだと思う」。

 同県桑名市の津田学園中学・高校(6年制)では今年度、このバンドと「本当に――」を道徳の授業で取り上げる。中学校の寺本豊校長(60)がライブを見たのがきっかけで、学校に招いて体験を語ってもらったり、曲を演奏してもらったりする計画だ。

 寺本校長は「いじめの残酷さ、悩みを抱える誰かに思いを寄せることの大切さを学んでほしい。きっと教諭にも有意義な授業になると思う」と話す。

 昔の自分に手を差し伸べるような気持ちで、寺本校長の申し出を引き受けたというシミズさん。「いじめられて自暴自棄になっている子に、自分も周りと同じように大切な存在なんだと気づいてもらえたら」と話している。

スクラップは会員限定です

使い方
「教育・受験・就活」の最新記事一覧
745308 0 特集など 2019/08/16 15:15:00 2019/08/19 10:34:46 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190815-OYT1I50058-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)